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藤原定家。 駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野の渡りの雪の夕暮 馬を止めて袖に降りかか…
(つづき)源氏が恋をした朧月夜がじつは政敵・右大臣の娘で、それが右大臣に発覚し、いろいろ…
袖に吹けさぞな旅寝の夢も見じ思ふ方よりかよふ浦風 定家 詞書に「和歌所にてをのこども、旅…
旅人の袖ふきかへす秋風に夕日さびしき山のかけはし |定家 この日の歌会のルールは、五句目…
忘れずはなれし袖もやこほるらむ寝ぬ夜の床の霜のさむしろ |定家 氷点下の詞が並ぶ。上句で…
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ |定家 まつほの浦(松帆浦)は淡…
さむしろや待つ夜の秋の風ふけて月をかたしく宇治の橋姫 定家 この日の歌会のテーマは「花と月」を百首、だった。 定番中の定番。直球とカーブだけで完封しなさい。今風に言えばフォーシームとスライダーでねじ伏せよ。 そこで定家は考えた。スライダーをどこに決めたらいちばん効果的か。過去の全データを記憶から呼び出す。ハイライトされた一首が「古今集」のなかから浮かび上がる。 さむしろに衣かたしきこよひもやわれを待つらむ宇治の橋姫 |詠み人知らず 「脱いだ衣を寝床に敷いて、今宵もわた
名もしるし峰のあらしも雪とふる山さくら戸のあけぼのの空 朝の空気を吸おうと思って少しだけ…
いづくにて風をも世をも恨みまし吉野の奥も花は散るなり 定家25歳。父・俊成と並ぶ和歌界の…
白妙の袖の別れに露落ちて身にしむ色の秋風ぞ吹く 定家 白妙(しろたへ)は白い布という意味…
さくら色の庭の春風あともなし訪はばぞ人の雪とだにみん 定家 風が色に染まる。これだけでも…
駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野の渡りの雪の夕暮 定家 馬を止めて袖にかかった雪を払い…
梅の花にほひをうつす袖の上に軒もる月の影ぞあらそふ 定家 袖の上で今たいへんなことが起き…
春の夜の夢の浮橋とだえして峰にわかるる横雲の空 定家 複数の別音源を重ねる現代のDJ mixのような一首だ。一つめの音源は古今和歌集、壬生忠岑の「風吹けば峰にわかるる白雲のたえてつれなき君が心か」。二つめは源氏物語最終巻の「夢浮橋」。そして三つめが『文選』に収められた「高唐賦」という物語詩だ。村尾解説* によると、巫山を訪ねた王が不思議な美女と出会う。一夜を共にした美女は、自分は雲の化身であると告げる。朝には山の雲となり、夕べには雨を降らすので、それを見て自分を思いだしてほ