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『神様の暇つぶし』を読んだ、恋に堕ちていく想いの強さに引っ張られた。

ここ最近恋愛小説を読み漁っている。
なんとなく自分の中での恋愛観に悩んだり考え込んだりすることが多く、
小説の中にヒントを探すように、
共感したり納得したり、時に指南されながら読み進めている。
 
千早茜著『神様の暇つぶし』を読んだ。

読んでいると私の中に、人を想う気持ちの熱がじわじわと広がっていくような感覚に陥る小説だった。
 
自分より若い女の子(女子大生:藤子)と、
親よりも歳を重ねた男の人(カメラマン:全さん)との恋愛を描いたものだったので、
ちょっと受け入れがたいかなぁと思いつつ、
段々惹かれあっていく二人から目が離せなかった。


帯のコピーは「あのひとを知る前の自分にはもう戻れない」。
恋愛とは縁遠かった藤子がどんどんと恋にのめり込んでいく。
全さん、罪な男過ぎるな…と思いつつも、
こういう男の人の魅力なんとなくわかる気がする。
 
巻末の解説で写真家の石内都さんが食べることの描写について言及している。
たしかにこの小説は食べるシーンが多い。
 
藤子はよく食べ、よく眠り、そして全さんと性を貪り合う。
三大欲求を力強く表現していると気付いた。
人間の原動力を凝縮したような非常に生々しい小説だった。
 
読み終えた後の読後感がずっしりとしている。
人に溺れていく様、忘れられない恋、それでもその過去を背負って生きていこうとする姿。
人が人と関わっていくエネルギーを強く感じる一冊でした。

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