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見えている景色
メガネのレンズを綺麗に水洗いした後の景色は澄んで見える。
見えなかった遠くのところまで見える気がする。だがその景色も少しずつ汚れていき、どこを見てもどこか曇った靄がついてくる。
汚れだということに気づかず見える景色をそれだと認識してしまっている。
あるときにふとレンズの汚れだと気づきメガネのレンズを拭く。
「今見えている事はなんだろう。」
目の前の事実がたまに浮遊する時がある。一瞬、自分の置かれている状況を俯瞰する。
この人たちは?この場所は?ここにいる自分は?
記憶喪失的感覚ではなく、事実に疑問を抱き自問する感覚。
いつも自答する前に事実を受け入れいつも通りになる。
あの感覚は非日常であるといってもいいかもしれない。
一気に気持ちが軽くなる。まるで風船のようにふわっと上に上がっていく感覚。
その後に戻った現実はすごく重たい。
「見えている景色が全てではないだろうな」そんなことをいつも考えている。ずっとこの場所にいるわけじゃないんだろなとなんの根拠もないことを頭の中で巡らせている。
どうも曇っている。メガネの汚れのように。拭いても拭いても取れない。どこを見ても汚れが付いてくる。早くこの汚れを落とさなきゃ。
そう思いながらも怠惰に甘え汚れたままのメガネをかけている今日だったりする。