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同床異夢の自民党と公明党・柿崎明二著『権力の核心「自民と創価」交渉秘録』(小学館新書)

小選挙区の自民党候補者が公明党の支援を受けるかわりに支持者に対して、「比例代表は公明党と書いてください」と呼びかけるのだ。このバーターのおかげで自民党の候補者は平均2万票、一方、公明党は比例代表で数十万票も上積みされていると見られる。

『権力の核心~「自民と創価」交渉秘録~』
柿崎明二 著(小学館新書)

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で裏金(不記載)問題に揺れた衆議院議員選挙の結果について雑感を書き留めましたが、その後、四半世紀に及ぶ自民党と公明党との協力関係に変化の兆しがみられるという報道が散見されたので、今月出版された柿崎明二氏の『権力の核心~「自民と創価」交渉秘録~』(小学館新書)に目を通してみました。

(※ 昨年、公明党の創立者である池田大作氏の逝去の数日後に岸田文雄前首相が発信されたメッセージは、政教分離の観点から、一部で批判されました。)

自民党総裁(内閣総理大臣)が池田大作氏の訃報に接し心より哀悼の意を表した自公政権ですが、自民党と公明党が相互に支援する体制が確立される以前は、(一時的に野党に転落していた)自民党が、政治と宗教の問題(政教分離)を盾にとりながら、公明党を国会で吊し上げていた時代もありました。万年与党(自民党)vs 万年野党(社会党)の55年体制が終焉した後(民主党に政権を奪われた数年を除き)自民党が政権与党であり続けることができたのは創価学会のお蔭かもしれません。(18歳未満の青少年を加えても全国で10万人しか教会員がいない旧統一教会には(この記事の冒頭にも引用した通り)一つの小選挙区で2万票も下駄を履かせることはできません。)

まず、野党時代を含むこの自公の四半世紀を、連立政権ではなく選挙協力を基盤とする「政党ブロック」という切り口で捉えなおす。下野した後、さらに政権復帰後も続いたあり方こそが自公関係の本質だからだ。

自公の選挙協力は、それ以上ないほどの緊密さである。小選挙区で自公側の候補者を絞り、自民党候補を公明党が、公明党候補を自民党が相互支援する。しかし、公明党が小選挙区での候補者を10人程度に絞っているため、ほとんどの小選挙区では自民党候補が公明党の支援を受けることになり、相互支援は自民党側に有利なアンバランスとなる。

支援が一方的にならないように行われているのが、小選挙区と比例代表の票のバーターである。小選挙区の自民党候補者が公明党の支援を受けるかわりに支持者に対して、「比例代表は公明党と書いてください」と呼びかけるのだ。このバーターのおかげで自民党の候補者は平均2万票、一方、公明党は比例代表で数十万票も上積みされていると見られる。野中氏が「これをやらないと連立政権が長続きしない」と党内の反発を押し切って推し進め、2000年の衆院選に間に合わせてスタートさせた選挙協力だ。

自公は野党時代、白紙状態になった政党ブロックを再構築し、いったん失った政権を奪還した。1999年の連立政権樹立を起点に自公が協力して国政選挙を戦い、政権を維持、獲得している自公政党ブロック(以下、自公ブロック)時代を自民党一党優位体制である「55年体制」になぞらえて、「99年体制」と呼ぶことも可能ではないかとも提起した。

『権力の核心~「自民と創価」交渉秘録~』
柿崎明二 著(小学館新書)

今回の選挙でも自民党と公明党の相互支援は一応機能していたようですが、自民党に対する逆風が凄まじかった一方、公明党(創価学会)の集票力の漸減も相まって、与党は大敗を喫しました。

尚、長年に渡って共同通信社の政治部で取材活動を続けられた後、菅義偉内閣で内閣総理大臣補佐官を務められた柿﨑明二氏の著作は自民党と公明党の関係を振り返る上でたいへん参考になります。

出版後間もない書籍からあれこれ引用することは差し控えますが、小学館のマネーポストWEBに4回に渡り内容の一部が紹介されています。お時間があれば...




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