憑祈祷に関する説明等で前置きが長くなったため、お急ぎの方は末尾の大河ドラマ『光る君へ』からの引用へ進んでください。
一昨日放送された『光る君へ』第10回「月夜の陰謀」の中で(段田安則が演じる)藤原兼家(ふじわらのかねいえ)一門が(本郷奏多が演じる)花山天皇を追いやる計略を実行に移しました。哀れ、花山天皇は即位後2年も経たないうちに19歳で出家し退位しました(退位させられました)。
武力や毒薬による暗殺も濫用しながら血で血を洗う権力闘争の末に外戚(王の母方の親族)が国を牛耳る様子は、例えば、韓流史劇(映画やドラマ)で頻繁に描かれますが、戦国時代に朝廷の権力が急激に衰えるまでは、日本においても帝と朝廷を取り巻く公家がドロドロの抗争を繰り広げていたことに思いをはせる機会となりました。
このクーデター(?)に至る一連の計略は第8回「招かれざる者」と第9回「遠くの国」で視聴者へ徐々に明かされましたが、寵愛され懐妊したにも関わらず急死した弘徽殿の女御・藤原忯子が成仏していないと花山天皇に思い込ませる準備段階で行われた憑祈祷(よりぎとう、僧侶が憑坐(よりまし、霊体が憑依する肉体または憑依された人間)に神霊等を乗り移らせ、正体を語らせた後に調伏する密教の修法)(第8回)他が陰陽師・安部晴明によるやらせであった(かもしれない)と明らかにされた際(第9回)には少々驚きました。仮病の病床で藤原兼家がシナリオを書いた陰謀の片棒を安部晴明がかつぎ、(花山天皇に寵愛され懐妊したにも関わらず急死して藤原兼家に取り憑いた(真っ赤な噓))藤原忯子の霊を救うために(旧統一教会のように)金銀財宝ではなく帝の地位を投げ出させるという前代未聞の霊感商法?の先駆けですが、古今東西の覇者たちと同様に、平安時代の権力抗争の当事者たちは手段を択ばなかったようです。
近世に自然科学が急激に発展する以前の人類は世界中で呪術や宗教に依存していたと考えられますが、呪術や宗教を生業としていた人々は一種の詐欺師であった(かもしれない)と脚本家(大石静)は解釈しているのかもしれません。
陰陽師がもてはやされるようになって以降、小説や映画やアニメの中で陰陽師が魔法使いやスーパーヒーローのように描かれることは珍しくありませんが、『光る君へ』ではユースケ・サンタマリアがキャスティングされた時点で怪しげな人物であることが確定していたようです。
オンエアから2週間以上が経ち見逃し配信(NHKプラス)も終了してしまったので、第8回で描かれたやらせ(霊感商法?の先駆け)の場面を下記に引用します。