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視点の自由研究No.97「視点_ローカルは映像の実験場」

広告映像の世界でローカルと東京を行き来していると、しばしば感じることがあります。それは東京の方が作り方が古風、より伝統的な作り方をしているなと感じること。もちろん最新の開発機材などもありますが、高額な予算を仕切るため数多くのスタッフが入る必要性もあり、大きく制作手法から冒険をすることができないのは間違いないと言えるかもしれません。

今回はそうした視点からローカルの制作環境を考えてみようと思います。

「ビデオグラファー」

写真、すなわちフォトと呼ばれるコンテンツ。それを撮るカメラマンのことをよくフォトグラファーと呼ぶことがあります。昨今の一眼レフの動画撮影機能の向上により、フォトグラファーの方も動画を撮影するのが一般的になりました。従来のテレビカメラマンと違い、一枚絵で魅せる写真のセンスはかつてからCMの世界では重宝され、東京の案件でもフォトグラファーの方が動画を撮影することが常でしたが、こうした一眼レフの進化はローカルのカメラマンたちを動画の世界へ導きやすくしてくれました。

そうした環境下で、今こうした撮影業界に入ってくる若い人たちは写真と動画を同じ地平で撮影する感覚に進化してきていると思います。まさにフォトグラファーに対するビデオグラファーと呼ばれる人たちです。

一眼レフを使いこなし、写真も撮りながらも動画を主軸にとる方が増えてきています。機材の進化は、かつての徒弟制度のような仕事の覚え方を全く必要としないレベルにまで到達し、センスと度胸で成立する世界になってきているのかもしれません。

「ローカルは制作の実験場」

そうしたビデオグラファーの方達、当然ながら編集も行っています。もちろん複雑な編集やアニメーション編集は行いませんが、センスを頼りに新たな映像を作っています。

我流の方も多いので一概に全ての方がいいなとも思いませんが、見事な出来栄えの作品もあり、自分たちも勉強する材料としていることもあります。

惜しむべきは、企画演出面。撮ることに集中してしまっているが故に、全体の構成や、役者の見せ所、お芝居の演出まで行き届いていないと感じることも多いこと。しかし、それを補ってあまりある撮影量で美しい映像が撮影されているのも事実です。

ローカルは限られた予算でもあるため、機材も最上級ではなく一般ユーザーが買えなくもない機材を工夫して使ったり、カメラ一つを3人で回すような大掛かりな作業ではなく、一人の人間が撮影することで機動力を上げ、撮影量自体を上げていくといったトライを行いやすいのは間違いありません。実はこれほど実験的な制作手法を行っているのはローカルなのかもしれません。

「つながる仕事、つなげる仕事」

自分が20年来の古参になってしまったのもありますが、こうした方とつながる機会にも恵まれてもいます。プロデューサーという職種柄、より多くの方とつながることで自身の映像作品に反映もできる。これからのAI時代を考えると、こうしたつながることで新たなコンテンツを生み出すことが生き残り戦略の手がかりになるのでは?と考えています。

さらに自分の経験からこうした若い方への知識を伝えてもいける機会にようやくなってきたのだとも思っています。

自身の強みでもある東京という最上級からローカルという低予算帯での創意工夫まで、ここをどうつなげていくか?自分自身への実験がさらに加速度を増しているなと感じる今日この頃です。


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