ミュージカル「スリル・ミー」を観てきたんだな
またもや何だかスゴイ舞台を観て参りました。
ミュージカル
「スリル・ミー」
です。
「ミュージカルにする必要あるんか?」問題は、個人的にありますが(日本語のミュージカルは難しいと言うのが持論)、オリジナル版からミュージカルですし、
日本版も
2011年からほぼ毎年上演されている人気舞台なのです。
更に更に調べてみたら
1924年にアメリカで実際に起きた
レオポルドとローブ事件
を基にしているそうで、
かつ
巨匠ヒッチコックも映画化しておりました。(写真のジェームズ・スチュアートは犯人でなく、犯人たちに疑惑を抱く大学教授役。)
早速、映画版を観てみましたが、
正直言って、舞台版の方が怖いです。
もう何回も何回も上演されている舞台なので書いちゃうんですが、
ネタバレ的になってしまいますが。
誘拐し殺される被害者が
事実: 16歳の隣人ボビー・フランクス
映画版: 大学の同級生
舞台版: オリジナル版ではyoung boyと書かれていて年齢不明、日本版は小学生(10歳?)
とバラバラなところが興味深い。
韓国版があるらしいのだが、韓国版での被害者の年齢は何歳ぐらいなのだろうか?
そうです。
なぜ日本版は小学生を被害者にしたのか?
殺害方法の残虐性に加えての被害者の年齢…小学生って…。ワタクシはこの時点で、劇場を出ようかとさえ思いました。
ワタクシは児童虐待、児童誘拐、児童殺害など、被害者が児童というだけで怒りが爆発しそうになるんです。耐えられません。
そして、舞台に於いて描かれた世界はそれだけではなかったのです。
舞台は
19歳で逮捕されて34年後のレイが、仮釈放のための審議を受けていて、登場人物は事件当時と現在のレイ、そして事件当時の〈彼〉のみ。
(あとは、ピアニストがいます。ピアノの楽曲が実に素晴らしい。)
この舞台では現代の日本でも問題になっている
今回は同じ年齢の間でですが、
グルーミング
モラハラ
執着愛
と言ったキーワードが見えてくる。
その上、サイコ殺人犯に見られる
超人思考とでも言うのか、自己正当性主義な思考性。
自分は素晴らしい、自分が正しい。
京アニ事件の犯人にも見られる思考性ですね。
現代起こっている猟奇事件、理由なき殺人事件などに通じる犯人像が、このストーリーではてんこ盛りで描かれているのです。
2023年版では3組の俳優たちにより演じられました。
ワタクシが選んだのは
尾上松也 x 廣瀬友祐
バージョン。
ミュージカル「マギ - バルバッド狂騒曲」で廣瀬友祐さんのファンになって、早速チケットを手に入れたってわけです。どんな内容かも全くチェックもせずに…。いやはやいやはや。幅の広い俳優さんです。
おふたりのインタビュー記事を発見。
写真以上に舞台での廣瀬友祐さんのプロポーションには驚愕です。
正に9頭身!
184cmの身長の上、白人系の容貌で、スパダリ感を隠しきれない全身オーラ。
そんな廣瀬友祐さんがSっ気溢れるサイコパスを演じる。思い出すだけで恐ろしい。
大魔王かよ!
そんな彼の上を行くのが、粘着質気味に〈彼〉に執着する〈私〉。
演じるのはドラマも積極的に出演するが、元は女形もする歌舞伎役者の尾上松也さん。
だからでしょうか?粘着質気味に愛し執着する様が、四谷怪談・お岩なのか、阿部定事件の阿部定なのか…、ジェンダー論的にはココで女性的と言うと問題がありそうですが、そんな様相さえ感じられる恐ろしさ。
コワイコワイ。
もういろんな意味で
コワイ〜!
まだ地方公演は続く模様。
<公演情報>
ミュージカル『スリル・ミー』
【東京公演】
2023年9月7日(木)~2023年10月3日(火)
会場:東京芸術劇場シアターウエスト
【大阪公演】
2023年10月7日(土)~2023年10月9日(月・祝)
会場:サンケイホールブリーゼ
【福岡公演】
2023年10月11日(水)・12日(木)
会場:キャナルシティ劇場
【名古屋公演】
2023年10月14日(土)・15日(日)
会場:ウインクあいち 大ホール
【群馬公演】
2023年10月21日(土)・22日(日)
会場:高崎芸術劇場 スタジオシアター