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子どもにとって親は環境そのもの③

「子どもの健やかな成長のために大人ができること」は、その子の心身が健康でいられるような営みを支え、その子らしく活動できたり、必要な社会生活に参加できるための「環境を整えること」だと、昨日と一昨日の投稿でお伝えしたつもりです。

将来のために、何かを勉強させたり、親が必要だと思うことを特訓したり、苦手の克服をさせるのでもなく、子どもの主体性を尊重した成長を支えることが、本人にも保護者にも大事です。
全ての子どもに共通することですが、発達障害や不登校といった大人からしたら問題だと感じる言動をする子どもたちには、とくに大事だと感じます。

この子には「これがあればもっと幸せになるだろう」という親や支援者の何かをしてあげたい気持ちや、よりよく導いてあげる意識もとても尊いことですが、「この子に何をしてあげる」を考えるよりも、「その子がどんなことに困っているのか」や「何を望んでいるのか」を知ろうとする、子どもの気持ちを主体に関われる大人であることが、子どもの可能性を広げる関わりだと私は確認しています。

学校であれ、家庭であれ、「自分らしくいていい」ことを許されていると感じている子どもは、ストレスを過剰に感じることがなく、安心して自分の可能性を伸ばしていこうとします。

一方で、日常で関わる人にSOSを出せない、信用できる大人がいない…等の環境にいる子どもたちは、生きることだけで精一杯なのだと思います。

「これをしたから、これができるようになる」というHOWTOではなく、「子どものが伸びていける環境」を親や大人は整えてあげればいいを私は信念にしています。

親は子どもの環境そのもの

子どもにとって、親の存在は「環境そのもの」です。
家庭生活は、親の価値観で動いています。
絶対強者の親に養ってもらうしかない子どもたちの多くは、無意識に親の顔色をみて生活しているし、大好きな親に好かれたくて一生懸命なので、発達障害の特性をもたない子どもたちの多くは親に従ってくれるでしょう。

親も、かわいいわが子を幸せにしたくて、自分の理想の環境を子どもに与えてあげようとしたりします。

ですが、子どもの個性がでてくると、親との違いが明確になってきます。
主体性が出てくるほどに、親は戸惑うかもしれません。「親と子は別人格」という当たり前に、子どもが成長するほどに気づいていきます。
そんなときには、自分が幸せだと思う道を歩くことを進めるのではく、子どもが行きたい方向にいける環境を整えていける親が増えてほしいと切望します。

例えば…
明らかに間違えていると感じる主張を子どもたちがしたとしても、「あなたはそう考えるんだね」という共感を示す態度が大事なのです。そのうえで、すぐに正しい道を教えるのではなく、「子どもがなぜそう考えるの?」を聞いてみてください。それから、「私はこう考えるけど、君はどう思った?」など意見を求めていくことで、対話が生じ、相互理解が深まります。

時間はかかりるし、とても面倒くさいやり取りですが、これは子どもたちの生きる上で武器になるいろいろな力、
・自己理解する力
・自分を言葉で表現する力
・人の話を聞く力
・他人の意見を尊重する力 etcを養ってくれるでしょう。

子どもの生まれ持った気質や特性は、親の責任が及ばないことですが、子どもをどう育てていくか、親が子どもににとってどんな環境になるかは、選択することができます。
親に限らず、子どもと関わる大人は、「子どもにとってどんな環境なるのか」を選択できるのです。

セルフエスティーム(自分を自分で評価)の影響

また、ICFでは、個人因子のリストはないのですが、昨日の②で紹介した冊子では、「その子のセルフエスティームの高さも、支援を考えるときの個人の要素として重要なポイントである」としています。

何かの活動に制約があっても他の部分では制約がない場合(例:勉強はできないがスポーツはできる)では、それなりに受け入れられているという状況の場合、自分をどう評価するのかという姿勢の違いで、「活動」の仕方、「参加の仕方」が変わってきます。自分に自信があって積極的に参加しようとするのか、やっぱり自分はダメなんだと思うのかという姿勢の違いにより、質や成果は異なることが容易に想像できます。
また、ダメな自分…というセルフエスティームを持ち続ていると、心身機能にもストレスによる諸症状といった影響がでてくるでしょう。

ICF(国際生活機能分類) -「生きることの全体像」についての「共通言語」-より

つまり、↑の図のすべてが、相互に影響しあって、その人の「健康状態」に表れていることがわかります。

ですから、子どもが「自分は、いいところもダメなところもあるけど、自分のことが好き」と本気で感じている大人に在れるような育ちをしてほしいのです。

どこかが不調になったとしても、「自分はこれでいい」と思えることは、人が生きていく上で最強のスペックになりますから。

親にできることとは

こんなことを言っていると、子どもの主体性を伸ばすために子どもの要求は受け取らなきゃいけない、と勘違いしてしまう方もでるようです。

子どものその子らしさを伸ばせる親であるために何ができるのか…という話をしていると、「それって貴方、子どもの奴隷になっているのでは?」と感じる保護者の方に出会うことが少なからずあります。

不登校になっているお子さんの保護者の方や、発達特性と環境とのマッチングがうまくいってないお子さんの保護者の方の中には、「子どもの嫌がることをさせない」「子どもの主張はすべて従う」を実行されてるのかしら??と感じる言動をされてるがいらっしゃいます。

こうした対応が必要な時期もあるのかもしれません。
子どもとの信頼関係を作り直す時期には、子どもの心を癒すことが最優先されますから。
ですから、その接し方が絶対に間違えている、とは思わないのですが、その結果がどうなるのか…を長期的に考えて子育て(支援)した方がいいと私は思います。

子どもの言いなりになることは、今は親子どちらにも楽なのかもしれません。
傷ついてしまっている子に、新しい刺激を与えない方が安定してますから、子どもも親もその時は楽でしょう。

だだ、親は先に死んでしまうのですから、時に厳しく、成長にプラスになるかかわりをすることも大事です。

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以上、伝える力がまだまだ熟していないために、伝えたいことが伝えられていないもどかしさはありますが、「親は子どもの環境である」ということを、ICFを軸にして3回に分けて書いてみました。

親は、子どもの衣食住を与えたり、学びのサポートをしたりはしますが、基本的に子どもは自ら育っていく存在です。
また、親は子どもとの時間を過ごすことで、子どもをサポートすることを通して、子どもに親にしてもらっています。
どちらも伸び代いっぱいな育ちあう関係です。

今度も、子どものために勉強している保護者の方や、支援者の方に向けて、『子どもと保護者のWell-beingウェルビーイング)のための情報』を発信していきますので、よかったら、フォローしていただけると幸いです。

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