グルテンフリー食について(腸内細菌叢脱線編)
様々な目的でグルテンフリー食を推奨している人がいる.
そういった人たちは,体調が改善する,皮膚トラブルが改善する,腸内環境がよくなる,うつ病が改善する,などの効果を謳っている.
個人的には,「効く人には本当に効く」,ただし現代の医学では根拠は不明な部分が多い.というところではないだろうかと考える.
グルテンフリー食が有名になったのは世界的テニスプレイヤーのジョコビッチ選手がグルテンフリー食をはじめて体調が良くなったという発信をしたところからであるように思う.
ジョコビッチ選手はセリアック病という疾患であり,本疾患は欧州に多い遺伝性自己免疫疾患である.男女比は1:2で女性に多い.
セリアック病はグルテンに含まれる成分に対する過剰な自己免疫が原因のため,セリアック病患者がグルテンフリー食で体調が改善するというのは疑いようのない事実だろう.
しかし,そうでない人に対するグルテンフリー食の効果はどうであろうか?
これは一つの報告であるが,グルテンフリー食によって腸内の善玉菌が減り,悪玉菌を増加させたという報告もある.
人によってはグルテンフリー食によって体調などが改善する可能性もあるのかもしれないが,全員に推奨できる食事法ではないだろう.
リーキーガット症候群(腸管透過性亢進)の予防のためにグルテンフリー食を推奨している人がいるが,そもそもその疾病概念自体が現代の医学では否定されているため,それを根拠にグルテンフリー食を行う必要はないだろう.
また,今回の内容と少しずれるかもしれないが,うつ病は脳内セロトニン濃度が強く関与する.
セロトニンに関する栄養学としては,セロトニンの前駆物質である「トリプトファン」の摂取が重要である.ちなみに腸管で産生される「セロトニン」は血液脳関門を超えることができないため,脳内セロトニン濃度に影響を与えない.脳内のセロトニンは,先ほど挙げたトリプトファンを材料に,脳幹にある「縫線核」という部位で産生される.
体内で産生されるセロトニンの90%が腸管で産生されるので,腸内環境をよくすることがうつ病を改善させる!という主張は間違っていることを覚えておいてほしい.
個人的には最近は朝にバナナとナッツを食べている.
実際に,睡眠の質が向上しているように思う(最近よく運動しているからかもしれないが).
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