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ナガコガネグモArgiope bruennichiのクモ毒ペプチドによるN型Cavチャネル阻害作用(Hwang et al. 06 Nov 2020)

背景:クモ毒は様々な生理活性ペプチドで構成されており,細胞溶解作用や神経毒作用などのよく知られた生理的特性を持つ.しかし,韓国の国内原産種のクモに由来する神経毒ペプチドに関する研究はほとんどない.
目的:本研究では,国内原産のクモであるナガコガネグモ(Argiope bruennichi)からのゲノム解析による毒ペプチドのキャラクタリゼーションと同定を目的とした.よく知られている毒素ペプチドとの相同性解析と,システインパターンやジスルフィド結合による二次構造解析を行い,毒素様ペプチドを選択した.電位依存性カルシウム(Cav)チャネルの変化は,蛍光色素を用いたCa2+の流入により測定した.
結果:新規ペプチドAranetoxin-Ab1aが,N型Cavチャネルの不活性化を介して,ヒト神経芽細胞腫細胞株SH-SY5Yの細胞内Ca2+レベルを有意に低下させることを発見した.また,本ペプチド処理による細胞内Ca2+流入量の減少は,細胞外制御プロテインキナーゼ1/2およびサイクリックAMP応答性因子結合蛋白経路を不活性化した.
結論:今回の結果は,クモ毒由来の新規ペプチドがN型Cavを阻害することを示し,クモ毒由来の新規ペプチドを用いた医薬品の開発に有益な情報を提供するものである.

Hwang, I. -W., Shin, M. K., Lee, Y. -J., Kim, S. T., Kee, S. Y., Lee, B. Jang, W., Yeo, J. -H., Lee, S., Sung., J. -S. 2021. N-type Cav channel inhibition by spider venom peptide of Argiope bruennichi. Molecular & Cellular Toxicology, 17(1), 59–67.


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