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イタリアの伝統的なオリーブ生産地におけるクモの分類学的および機能的な生息環境の差異(Picchi et al.,22 Jan 2020)

抄録:一年生作物は一般に,周囲の景観からの移入に依存した簡素な節足動物群集を宿すと想定されている.しかし,オリーブ畑のような多年生作物は,他の生息地からの移入種にあまり依存しないと考えられる.本論文では,オリーブ園に隣接する3種類の生息地(伝統的なオリーブ生産地における森林,ガリグ〔矮性低木群系からなるきわめて貧弱な植生景観〕,その他の栽培オリーブ園)における樹上性クモの群れを調査した.夏期にクモを採集し,3種類の生息地を種,科,機能グループの観点から比較し,多様性の違いとクモの波及の可能性を明らかにした.一年生作物についてしばしば報告されるように,オリーブ園ではより自然な生息地に比べて種の面でαおよびβ多様性が低く,単一種であるサラグモ科の一種Frontinellina frutetorum (C.L. Koch, 1834)が強く支配的であった.オリーブ園と自然の生息地間の多様性の違いは,科や機能群レベルでは有意ではなかった.造網性クモを除いて,本研究は,オリーブ園でよく見られるクモが,より自然な生息地でより高い密度で発生することはないことを示している.このことは,多年生作物と他の後期遷移生息地との間の漏出が限定的であることを示している.したがって,害虫駆除のためのオリーブ園でのクモの増強は,移入種の源となる半自然生息地の存在よりも,地域の管理に依存する可能性がある.

Picchi, M. S., Bocci, G., Petacchi, R., Entling, M. H. 2020. Taxonomic and functional differentiation of spiders in habitats in a traditional olive producing landscape in Italy. , European Journal of Entomology, 117, 18–26.


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