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クモArgiope bruennichiのクチクラおよび網の脂質の同定(Gerbaulet et al., 01 Sep 2021)

抄録:クモのクチクラ〔表皮を構成する細胞がその外側に分泌することで生じる,丈夫な膜〕や糸の脂質は,昆虫のものに比べて構造的に多様であることが明らかとなってきたが,これまでに調査された種は比較的少数にとどまっている.昆虫と同様に,このような脂質はさまざまな文脈でシグナルとしての役割を果たしているのかもしれない.ナガコガネグモ(Argiope bruennichi)は,メスの性フェロモンの構造が知られているなど,クモの中では最もよく研究されている化学的コミュニケーション系である.最近,我々は,ナガコガネグモの血縁認識が,炭化水素とより大きな割合のワックスエステルからなるクチクラ化合物を介して行われることを示した.これらのエステルは,MSや様々な誘導体化法を用いて,2,4-ジメチルヘプタデカン酸テトラデシルのような,様々な鎖長の2,4-ジメチルアルカンエステルおよび1-アルカノールエステルであることを確認した.この化合物の代表的なエナンチオ選択的合成を行ったところ,同定は証明され,天然のエナンチオマーは(2R,4R)立体配置であることが推測された.メスの糸と外皮のクチクラのプロファイルは類似していたが,オスのクチクラのプロファイルはメスのそれとは定量的に異なっていた.さらに,少数のメス特有の4-メチルアルキルエステルが検出された.

Gerbaulet, M., Möllerke, A., Weiss, K., Chinta, S., Schneider, J. M., Schulz, S. 2021. Identification of cuticular and web lipids of the spider Argiope bruennichi. Preprint from Research Square, 1–30.



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