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亜系統コガネグモ上科(クモ目)におけるプローブ捕獲戦略と有効性のイン・シリコ評価(Li et al., 03 Mar 2022)

抄録:被約表現シーケンシング(RRS)〔訳注:参照となる全ゲノム配列を必須としない縮約ゲノム解析〕により,非モデル分類群における系統仮説の検証のための系統解析に必要な数百から数千の遺伝子マーカー〔訳注:生物個体の遺伝的性質,もしくは系統の目印となる個体に特有のDNA配列〕を同定することが可能になった.また,遺伝子マーカーを捕捉するためのカスタマイズされたプローブの使用(すなわち,超保存要素(UCE)アプローチ)により,遺伝子マーカー収集の効率はさらに向上している.クモ(クモ目)のUCEプローブセットは,クモ目から分岐したハラフシグモ亜目(初期に分岐したクモの集団),クモ目,クモ綱の3種類が発表されている.本研究では,クモにおける上科であるコガネグモ上科に特化したプローブセットを開発した.さらに,コガネグモクモ上科,クモ目,クモ綱の3つのプローブセットを組み合わせて,4つのプローブセットを作成した.4つのプローブセットの有効性を検証するために,15種のクモのゲノムの捕捉遺伝子座をイン・シリコで使用した(コガネグモ上科から6つ).その結果,結合したプローブセットは,捕捉した遺伝子座の数で他のプローブセットより優れていた.また,コガネグモ上科のプローブセットは,含まれるコガネグモ上科のほとんどの種でクモ目とクモ綱のプローブセットよりも優れていた.4つのプローブセットから捕捉した遺伝子座と50%および75%占有率から作成したデータ・マトリックスを用いて系統樹を再構成したところ,ムレイワガネグモ属+RTA(後側脛節突起)クレードにリンクしたノードはブートストラップ値,gCF,sCFにおいてノードの支持が不安定であることが示された.この結果は,系統の起源が古い場合(例えば、クモは3億8千万年前)には,亜系統のための暫定的なプローブセットを開発することが重要であることを強く示唆している.

Li, Y.-Y., Tsai, J.-M., Wu, C.-Y., Chiu, Y.-F., Li, H.-Y., Warrit, N., Wan, Y.-C., Lin, Y.-P., Cheng, R.-C., Su, Y.-C. 2022. In silico assessment of probe-capturing strategies and effectiveness in the spider sub-lineage Araneoidea (order: Araneae). Diversity, 14(3), 184(1-14).


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野口 大介(のぐち だいすけ)
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