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たまにやる仕事は楽しいものだった

仕事が「つまらない」と感じるようになって久しいわけですが、なぜそう感じるようになってしまったのか深く考えたことないな、と思いました。

同じことの繰り返しに飽きた。
そもそもビジネス(金儲け)がアホらしくなった。
みたいなことは以前のnoteにも書いてきましたが、もっと単純なことを見落としている気がしました。
それは、仕事の動作が変わったことです。

まず思いつくのは、仕事の道具がパソコンからスマートフォンにシフトしたこと。
かつては仕事といえば、ワードで文書を作成したり、エクセルで数字と格闘したり、パワポでプレゼン資料を作ったりしていました。その頃のパソコン使用率(労働時間に占めるパソコンと向き合っている時間の割合)は、80%くらいだったでしょうか。

時代とともに、書類を作成する機会が減ってきました。
ERPやITツールの導入により、エクセルなどの手作業manual workが減ったことと、情報の形式formatにこだわらなくなったこともあり、通常業務はずいぶん簡素化されました。

その代わり、Outlookなどのメーラーと、Fioriのようなアプリケーションを使う機会が増えました。
OutlookもFioriも、スマートフォンでじゅうぶん操作可能です。
その結果、パソコン使用率とスマホ使用率が逆転しました。
現在の私の仕事では、
パソコン使用率:40%
スマホ使用率:50%
どちらも使わない時間:10%
といったところです。
職種によっては、もはやパソコンを使わない人もいるでしょうね。


昨日、久しぶりにパワポのプレゼン資料を作成したんですよ。
1年ぶりのことです。
15年前は月2回くらいプレゼンしてました。
5年前は年に数回といったところ。
そして現在は滅多にしなくなりました。

プレゼン資料を作るためにパワポを開こうとしたら、指が震えました。
私にまだできるのだろうか。
あの頃を思い出せ・・・
いきなり書き始めてはいけない。
まずは全体の構成だ。
紙のノートを開く。
ペンでExecutive summary, Background, Business objectives, Strategic options, Financial analysis, Alternatives, Risk assessment, Proposalと書いた箱を作り、絵コンテを描いていく。
キラーワードをうんうん悩みながら捻り出す。
貼り付ける画像を1つのフォルダーに集める。
ノート上のストーリーをひと通り追ってみる。

よし。これでいこう。
と、完成形がイメージできたところでパワポの制作に入る。
何をどう話すかブツブツ言いながら。

この一連の作業が思いのほか楽しかったのです。


仕事に夢中だったあの頃の自分、そしていま現在仕事に夢中になっている人たちの気持ちがわかった気がしました。

もうひとつ気づいたことがあります。
いくら世の中が便利になり仕事がラクになったとしても、何かを作り上げる作業はあったほうがいい。
そんな仕事ばかりなのも疲れちゃいますけどね。
でも、スマホでメールに返信するだけの軽作業では人間はもたないと思います。

さて、パワポの作成はあくまで準備。プレゼンは文字どおり発表こそが本番です。
私はいま、早く発表したくてウズウズしています。
そこでもうひとつの気づき。
顔と顔を合わせて対話してこそ仕事は楽しいってこと。

基本的に私はミーティングが嫌いでしてね。
時間のムダ。余計な仕事の創出。茶番感。
むかしに比べたら、くだらないミーティングはだいぶ減りましたけどね。
それでも、現在の職場では会議室やTeamsでミーティングばかりしている社員をたくさん見かけます。つくづく、ヨーロッパ人って話すのが好きなのかねえ。
そんな冷やかな目で見ていたのですが、彼らはなぜそんなにミーティングをしたがるのか、考えてみました。

単に、楽しいからではないか?
独りで作業してるより、メールで文字のやりとりしてるより、人と人が顔を合わせ、リアルタイムの音声を交換し、表情を読み、ユーモアを交えながら真剣に話し合う。そんな営みが好きでやっているんじゃないか?

穿った見方かもしれませんが。
テクノロジーの進歩によって仕事がどんどんつまらなくなっていくなか、敢えてアナログでヒューマンな働き方を残すことで、メンタルヘルスを保っているように見えるのです。
ヨーロピアンらしいメンタリティだと思いました。
日本の会社員はどうでしょう?


たいていの仕事には「辛い」と「楽しい」が同居しているもの。
末期のブルシットジョブ患者のような私でも、仕事が楽しいと思える瞬間がまだありました。
様々な仕事のスキルのなかでも、自分なりの楽しみを見つけるスキルは大切ですね。
来週は、何をしようかな。

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