何者でもない
人は皆、「何者かになりたい」と思ったことがあるんではないだろうか。
それは例えば、仮面に覆われバイクにまたがる常人離れした改造人間だったり。
髪の毛が逆立って変色して、倒されるほど力をつける異星人だったり。
野球選手だったり、サッカー選手だったり。
お医者さん、パイロット。
弁護士、エトセトラ。
他にもあげればキリはないが、多かれ少なかれ、遅かれ早かれ、「何者かになりたい」という意思を抱いた人は少なくないはずだ。
しかも、俺ならやれる。私ならできる。
と、何の根拠もなく、どこか自身を過大評価している部分もあり、【何者かになる検定】を事あるごとに自分の中で行い、また他との競争で思い知らされ、それは「夢」と名前を変えて猛威を奮い、「現実」と呼ばれる場所に追い返される。
夢と現実。子供と大人。このようなワードを巧みに操り、未来ある何者でもない少年少女はその未来に近づこうともせず距離を取っていくのが世の常だ。
こんなのが現実だなんて、なんて寂しいんだ。と、特に何者でもなく、何者にもならないような私はこれから何にもならない何かを書いていこうと思う。
この行為が特別な何かにならなくていい。特別な誰かだという認識も欲していない。
ただ、自分が思い立った時にその時のリアルを書き記して、自分への道標にでもなるといい。
少年よ、大志を抱け!
という言葉を大事にする傍ら、
少年よ、現実を知れ!
という無言の圧力が蔓延る我が国へのアンチテーゼになるともっといい。
私からの言葉はこれだ。
少年よ、何者でもない何者かになれ!
きっと、あなたの事を分かってくれる人は出現する。きっと、自分が何をすればいいか分かる日が来る。
30代半ば、何の経験もない私だが、何者でもないからこそ書ける言葉があると思っている。
本音を言うと、言葉遊びがしたいだけである。
私も、今できることはこれしかない。
最もっぽい事を言って雰囲気出して、日々の暇を蹴散らしてやることだ。
今日も一日が過ぎていく。
今日も一日何者でもなかった。
明日も一日何者でもない自分を腹の底から笑ってやろう。