東京五輪で〝メンタルお化け〟を見つけました
東京五輪が始まりましたね。
開会式当日、家で仕事をしていたらブルーインパルスの音が聴こえてきました。世帯視聴率は実に60%近かったそうです。
僕が放送作家として五輪に携わるのは、アテネ、トリノ、北京、バンクーバー、ロンドン、ソチ、リオ、平昌、そして東京と9回目です。
今回はリモートワークなので、局にも現場にも行っていません。家でザッピングしながら観戦しています。
きょうは、印象に残った3競技について書こうかなと思います。
①体操
4大会連続金メダルを目指していた内村航平選手が、鉄棒でまさかの落下。しかし、その後が凄かったなと。
日本の団体メンバーは動揺するどころか、予選トップ!
その流れをもたらしたのは、まだ19歳の橋本大輝選手でした。
「ここで僕が勢いづけられれば、このまま6種目いけるだろうなと思っていたので。日本代表の一員として、笑顔で引っ張っていこうと思いました」
個人総合で予選トップ!
それに呼応するように、ほかのメンバーも会心の演技を連発しました。
実は橋本選手、大会前に『報道ステーション』で取り上げたとき、代表での役割を尋ねるとこう答えていたんです。
「もちろん柱ですけど、中々倒れない柱だと思ってます」
「例えば鉄とかだったら、揺れたらすぐ倒れるじゃないですか。でも柔らかいゴムとかだったら、ちょっと柔軟性があってみんなを支えながらやっていけたらとか」
この若さで、この有言実行。ほんと、メンタルお化けですね。
②ソフトボール
若さ溢れるメンタルお化け、この種目にもいました。
20歳の後藤希友(みう)選手。
今大会はしびれる場面でとんでもない投球を見せています。
メキシコ戦では同点の最終回、無死一二塁でリリーフ。そこから、なんと3連続三振でピンチを切り抜けると、延長でのピンチも凌いでサヨナラ勝ちを呼び込みました。
きょうのカナダ戦でも、同点の7回からマウンドに上がると、そこから6連続三振を奪って、またまたサヨナラ勝ちに繋げました。
レジェンドである上野由岐子選手のあと、勝負を左右する場面で登板するだけでも重圧がかかるのに、鬼がかった結果を出したのです。
その原点について『TOKYO応援宣言』で取り上げたことがあります。
「めちゃめちゃけなされて育ってきたっていうか、私が負けず嫌いなのが強くていつも泣いてたので『おい泣き虫』とか。それも悔しくて、ひたすら『いつか絶対見返してやる』って思いながらやっていました」
実は後藤選手、中学1年までは目立った選手ではなかったんです。しかし、彼女の才能と負けず嫌いを見抜いた恩師から、2年間とにかく反骨心をあおられることで、成長していったといいます。
褒めるだけではない、メンタルお化けの育て方です。
③バレーボール
きのう、男子日本代表がベネズエラにストレート勝ちし、実に29年ぶりに五輪で白星を挙げました。
注目していたのは主将・石川祐希選手です。
チームで唯一、世界最高峰のリーグであるイタリアでプレー。通算1000得点オーバーは日本人初、所属クラブに初のタイトルをもたらすなど、結果を残してきました。
その石川選手、無観客で開催される今大会ならではのポイントがあると『報道ステーション』で語っていたんです。
「自分たちで流れを作ったりできるチームが有利なのかなって思います。流れのスポーツなので、表現ひとつだったりでも、流れが大きく変わったりするんですよ。1点取った後に、自分の表現で今のはやったぞ!みたいな。チームもそういう風に士気が高まっていくので、より表現が強くなったなとは思います」
得点後、強い表現でチームを鼓舞し、自ら流れを作っていく。イタリアで学んだ、チームを勝たせるためのマインド。今までの日本に足りていなかった部分だといいます。
実際、試合ではコート上の誰よりも熱い雄叫びをあげていました。
チームをメンタルお化けにする、ひとつの工夫だと思います。