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話題の『あかね噺』を読んで「それな!」と思わされました。

先日、『次にくるマンガ大賞 2022』の発表がありました。

コミックス部門のTOP3には……、

1位『メダリスト』(つるまいかだ/講談社)
2位『ウィッチウォッチ』(篠原健太/集英社)
3位『あかね噺』(原作:末永裕樹 作画:馬上鷹将/集英社)

週刊少年ジャンプの作品が2つ。

ひとつは2位の『ウィッチウォッチ』

篠原先生は流石ですねー。これで『スケットダンス』『彼方のアストラ』に続くヒット!

一方、3位の『あかね噺』は初連載の先生方による作品です。

しかし、単行本の帯を見るに、ただの新人ではないことがわかります。

1巻では『ワンピース』の尾田栄一郎先生が……!
そして、2巻では『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が……!!
この作品を推薦しているではありませんか!!!

中身は、確かにおもしろいんです。

女子高校生が父親の無念を晴らすため、落語の世界に挑んでいく物語。

少年誌らしからぬ題材なのに、少年誌らしいんです。むしろジャンプらしい〝王道〟の香りさえ漂わせています。

目指すべき大きなゴールがある。
ヒロインの朱音は芯が強く、前向き。
キャラごとの個性を生かしたバトル。

そして、なにより朱音の成長にワクワク。

1巻の最後、朱音は課題を突き付けられます。

老人ホームでの高座。それまでは高校生離れした演技力で周囲の度肝を抜いてきたのに、思ったほど笑いが起きない。

その様子を見ていた兄弟子は、こんな指摘をしました。

「君の落語は 身勝手極まりない」

「150km/hでボール球を投げ続けているように感じた」
「球が速いからすごいとは感じるが ストライクゾーンに入らないから おもしろいとは思わない」

この高座、朱音は身につけたものを出し切ればウケると考えていました。しかし、それだけではお客さんを喜ばせることはできないというのです。

学ぶべきは〝気働き〟――。

相手のことを考えて気を回して動くこと、機転を利かせること、といった意味だそうです。一体、落語にどう落とし込めばいいのか。朱音はちょっと意外な場所で修行することになるのですが……、

この先は読んでみてください😊

僕は最初の課題が〝気働き〟という点がとても素晴らしいと思っていまして。

なぜなら、そこは僕が放送作家としてとても重視しているところだから。

実は普段、仕事をしていると〝あるある〟なんです。

ディレクターが「せっかく撮れたから」「なんとなくおもしろいから」と入れているブロックが、流れを悪くしてしまうことは。

視聴者にどう伝わるかより、自分の欲を優先した場合に起こる現象です。

漫画などでもあるでしょう?

設定とか用語を説明するばかりで、ストーリーが流れていかないケース。どれだけ個性的なアイデアも、うまく伝えないと読者への押し付けになってしまうんです。

そんなとき、僕はこうなるように努力します。

「視聴者作り手の欲」⇒「視聴者作り手の欲」

どうにも入れられないときは、こう。

「視聴者作り手の欲」

だからこそ『あかね噺』で教えてもらった〝気働き〟はわかりみが深く、まさに「それな!」と思ったわけです。

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