「From Q」24年8月11日回 文字起こし(後編)
菊地: これも多分、おそらくいろんなところでインタビューで聞かれてると思うんですが。
高橋: はい。
菊地: やはり映画やテレビドラマに出演されるに際して、お好きな監督だとか、この生涯の1本だとかいうの聞かれることがあると思うんですけれども。
高橋: 僕やっぱり改めてそうですね、最近は監督はタルコフスキーが好きで。
菊地: タルコフスキーね。
高橋: はい。
菊地: タルコフスキーだと何か、映画マニアの間では「ソラリス派」「ノスタルジア派」「ストーカー派」とかちょっと…。
高橋: 僕多分「ストーカー派」ですね。
菊地: 「ストーカー派」ですか。僕も「ストーカー派」です、結構。
高橋: 「ストーカー」素晴らしいですよね。
菊地: 「ストーカー」素晴らしいですよね、ほんとに。
高橋: うーん。
菊地: 「ストーカー」って今ストーキングのことを…
高橋: 想像しちゃいますよね(笑)。
菊地: しちゃうよね。そういう意味では、ちょっと時代に翻弄された言葉ですけど。あのストーカーが出てくるわけじゃなくて。
高橋: そうですね。
菊地: とにかく徹底的に追い詰める人のことを「ストーカー」って言うんですけど。
高橋: うん。
菊地: かなりキリスト教的な映画ですよね。
高橋: そうですね。
菊地: 奇跡が最後にちょっとだけ起こるっていうね。
高橋: そうですね。ほんとに少しだけ。素晴らしいですね。
菊地: まあ、「(惑星)ソラリス」とかもね、素晴らしいですけどね。どんどんどんどん時代が4K、8K…磨き直してもっかい観れますよっていう時代ですけどね。
高橋: そうですねえ。
菊地: やっぱり海外では、どちらかというと北の方が好きっていうか。
高橋: はい。
菊地: フィンランドが。
高橋: フィンランド、すごく楽しかったです。お仕事でそれも行かせてもらって、でも結構フリーの時間もあって、いろんなところを回れたんですけれども。
菊地: はい。
高橋: ちょっと北側のペリンキって、バルトの内海の方…
菊地: バルト内海ね。要するにヘルシンキの方じゃなくて。
高橋: じゃなくて。そっち側に行くとペリンキという群島エリアがあって。
菊地: はいはい。
高橋: そこは割とヤンソンがよく…
菊地: トーベ・ヤンソン。
高橋: はい。トーベ・ヤンソンがよくいたところらしくて。
菊地: ムーミンの原作者ですね。
高橋: はい。本当にムーミンの世界なんですよ。
菊地: はあ〜。
高橋: 海なんですよ。確かに海で、舐めると全然…そこまでしょっぱくないんですよ。内海で多分塩水濃度が薄まっちゃって、あんまりしょっぱくないし。
菊地: はい。
高橋: 普通、海って日本のイメージって崖みたいな…あって、崖、海という感じじゃないですか。
菊地: はいはい。
高橋: 砂浜があっても砂浜があって海という感じでザバーンという感じなんですけど。あそこは内海で波が全部緩衝されちゃっているのか、波が全然なくて。ともすれば湖なんですよ。
菊地: はいはい。
高橋: で、その中に突然白鳥止まっちゃったりとかして。「これ海なんだよな?」と思いながら見ると、ここにクラゲいるし。
菊地: はいはい。
高橋: 不思議なところだ。ここでムーミンとか生まれたんだなという雰囲気のところで、すごく好きでしたね。
菊地: はい。
高橋: でも僕行ったのは夏の終わりぐらいだったんですけれども、多分あれは冬になっちゃうとほんとに…犬橇をやっているって地元の人が。
菊地: 凍っちゃいますからね。
高橋: すごく面白かったです。あそこは好きでしたね。
菊地: 大きくどこが好きだっていうエリアも、もうドカーンって「北米」っていう方もいるし。だからそれも一つの言っちゃちょっとあれですけど、センスっていうか。
高橋: はい。
菊地: ポジショニングていうか、「南米好きです。」とかね。なんだかんだってあると思うんですけど、「北欧」って出てくるところはイメージ通りって感じですよね(笑)。
高橋: なるほど。良かった(笑)。
菊地: ま、ま…でも高橋さんだったら「アルゼンチンが好きです。」って言っても、「はあ、なるほど。」ってなりますけどね。
高橋: (笑)。
菊地: 何でびっくりするのかな。オーストラリアでも驚かないしね。「タンザニアが…」って言われたら、ちょっと驚きますけどね。
高橋: 「タンザニアですか!」って(笑)。
菊地: じゃあ、フィンランドの…北欧のあっちの方ですよね。
高橋: そうですね。
菊地: 我々にはちょっと想像もできないような自然のあり方、あそこら辺に。
高橋: はい。あそこはすごいですよ、ほんとに。自然享受権というのがあって、どこでもキャンプできるんですよ。
菊地: ですよね。
高橋: だからすごく楽しい場所だなと。今はどうなっちゃったか…僕、コロナ前に行ったので、どうなっているかはわかんないですけど。
菊地: 多少変わっているかもしれないですね。
高橋: はい。
菊地: でもタルコフスキー、フィンランド、どっちかっていうと寒い国の話…
高橋: 寒いのが好きなんですよ、基本的に。
菊地: なるほど。
高橋: 身体が熱いんですよ、僕。とにかく。
菊地: わかりますよ。
高橋: 代謝が…熱いんですよ、常に(笑)。
菊地: めちゃくちゃわかります(笑)。
高橋: 本当になんか…(笑)。
菊地: 代謝がすごい高そうですよね。
高橋: はい。代謝がすごくて。こないだも漢方屋行ったんですよ。
菊地: はい。
高橋: で、脈測ってすぐ分かるらしいんですけど、もう、すぐ「体がオーバーヒートしているんで。」って言われちゃって。「やっぱそうですよね。」って言って。それに良い、熱をヒートダウンする漢方を思いっきり処方されました。45日分。
菊地: わかります。見るだに分かるんです。何で分かるかっていうと、僕、代謝異常なんですよ。高すぎるの(笑)。
高橋: ああ、そうなんですか。
菊地: 食っても食っても焼けちゃうんで。
高橋: 同じです。同じです。
菊地: ものすごくびっくり…「そんなに食うの?」ってぐらい…
高橋: 言われます。言われます。
菊地: でしょう。食べるんですけど、全く付かないんですよ。
高橋: そうですよね。
菊地: 中で燃えちゃうんで。
高橋: はい。
菊地: だから高橋さんは、おそらく代謝が異常値で、ものすごい代謝の高い人だなと思ってたんですよ。
高橋: そうなんです。本当に素晴らしい、すごい…すごい見抜いてらっしゃる(笑)。
菊地: もうなんか、声質とかが代謝の高い声ですよね。
高橋: そうなんですか(笑)。
菊地: はい。代謝低い人の声ってあるんですよね。なんか響きが。ものすごく意外と近くでも、遠鳴りっていうんですけど。太くて響いてるんで、全身が。
高橋: はい。
菊地: 「これは代謝高いよね。」ってのは思ってたんですけど、やっぱそうですか。
高橋: そうなんですよ。
菊地: いっぱい召し上がる…
高橋: いっぱい食べますね。
菊地: なるほど。
高橋: 止められます、大体。食べ過ぎだつって。
菊地: それこそね、タルコフスキーがね。まあまあ…亡命と言うか、共産党と仲悪くなって…共産党というか政府と仲悪くなって亡命するじゃないですか。
高橋: はい。
菊地: で、「ノスタルジア」撮る時にイタリア行きますよね。
高橋: はい。
菊地: トニーノ・グエーラっつって、フェリーニの懐刀の脚本家と、打ち合わせしていたステーキハウスがフィレンツェにあるんですよ。
高橋: はい。
菊地: で、僕、フィレンツェに仕事で行った時に、「ここタルコフスキーとトニーノ・グエーラが打ち合わせしてた席ですよ。」って言われて。
高橋: はい。
菊地: で、僕もタルコフスキー好きなんで。フェリーニが好きだからなんですけど。そこへ行ったら、もうTボーンがこんなバカでかくて。
高橋: そうなんだ(笑)。
菊地: 「食べらんないだろ。」って言われて。なんかちっちゃい子ぐらいに思われて、向こうの人が見ると。「食べられないでしょう。だからカットして半分を持って帰って…」「いやいや、食います。」っつって全部食ったら、すごいびっくりされたんですけど。
高橋: ああ、ああ。もう同じようなエピソードがあります、僕も。
菊地: ですよね。細くてがっちりされてますけど、いっぱい食べても太んない感じの…代謝高い感じの。
高橋: そうです。
菊地: でも漢方で代謝下げる薬を処方されているっていうのは本物ですよね(笑)。
高橋: 実際どうなるのか分からないんですけどね。「悩みがありますか?」って言われて、「とにかく寝る時、手足が熱いです。」って言って。「熱くて眠れないんです。」って言って。
菊地: わかります、わかります。熱いですよね。
高橋: 熱いんですよ。
菊地: いつも燃えてますもんね(笑)。
高橋: 燃えてます。困っちゃって(笑)。
菊地: いや、そのことがつまびらかになっただけでも、今日かなり価値があったんじゃないかなっていう(笑)。だからって大声で大騒ぎしてる方ではないので。その燃え方がね、なんかとても素敵な感じでした。
高橋: ありがとうございます。
菊地: なんかちょっともう巻きが入ってるんですけど。
高橋: そうですか。
菊地: ということで、何かもう…何となく何の話もなく、「代謝がすげえんだ。」ってことで終わりますけれども。
高橋: (笑)。
菊地: 燃えてんだっていうね。
高橋: 燃えてんだっつー話でしたね。
菊地: 川島雄三の有名な「しとやかな獣」という映画の中で、伊藤雄之助さんって人が「燃えてるものは何でも綺麗なんだ!」っていう名ゼリフがあるんですが、まさにそういう感じですね(笑)。
(曲)
菊地: えーと、こちらのショールームは、ウルトララグジュアリーっていうね、考え方というか、コンセプトを標榜しているわけですが。「高橋一生さんにとってのウルトララグジュアリーとは?」ということですが。
高橋: 僕にとってのウルトララグジュアリー…
菊地: それはもう体験でも、モノでも気分でも。
高橋: ほんとに何にもしないことじゃないですかね(笑)。
菊地: やはり(笑)。
高橋: ごめんなさい。やはりな答えで(笑)。でも本当に最近って、みんな何か何かしなきゃいけないって感じが、何かちょっと怖くなってきちゃって。大丈夫かな。
菊地: 皆さん、高橋さんより代謝が低いんですよ。
高橋: (笑)。
菊地: 何かして燃やさないと。
高橋: ああ、なるほど。
菊地: 達成感がないんじゃない?
高橋: ああ、僕、何もしなくても…
菊地: でも代謝って生きてるだけでも、言っちゃ寝てる間も代謝してるわけなんで。
高橋: そうですね。めちゃめちゃ代謝してますね。
菊地: で、その間燃えているんだから。今更何がラグジュアリーってことですよね。
高橋: (笑)。
菊地: 一種のラジエイティングっていうか。
高橋: そう、そうですね。
菊地: 代謝が高いと何もしないで、少しずーっと…してた方が、贅沢っていうね。
高橋: うん。いいと思います。僕にとっての贅沢は「何もしない」。
菊地: でも、まあ…お忙しい身でしょうから、なかなか何もしないってことが贅沢化されるとは思いますけども。
高橋: うーん。
菊地: 高橋さんにとってのウルトララグジュアリーは、何もせず代謝を少し冷ますんだっていう。
高橋: 冷ます。こんな贅沢な時間はないですね。
菊地: というわけで、「結局なんだかんだで音楽家と主演俳優で番宣なんじゃないの?」っていう話に近いですけども。
高橋: になっちゃいますね。
菊地: おしまいに高橋一生さんからお知らせがあります。
高橋: はい。
菊地: これはもちろん音楽を担当した私にとっても大事なお知らせではあるのですが、高橋一生さんを主演に迎えて実写ドラマ化され、大きな反響を呼んだ「岸辺露伴は動かない」。その制作チームが再集結し、日本とフランス、パリのルーブル美術館での大規模ロケを敢行して挑んだ劇場長編映画「岸辺露伴ルーブルへ行く」のブルーレイDVDが発売中ということですね。
高橋: はい。今、絶賛発売中ですね。
菊地: そうですね。多くの方に買っていただきたいですね(笑)。
高橋: そうですね。そうだし、すごい長いんですよ、メイキングが。
菊地: ああそうですか。
高橋: はい。確認したら最初6時間あるって言ってたんですよ。
菊地: (笑)。
高橋: 「そんなの誰も観ないですよ。」って言ったら、3時間ぐらいに縮めたらしいです。それでも3時間あるんです。
菊地: 3時間あるのね。だから本編と同じ尺のメイキングがあるんですね。
高橋: そうですね。ぜひ。でもそれはちょっと観どころ満載だと思います。
菊地: いや、満載でしょうね。
高橋: 楽しかったですもん、観てて、僕が。はい。なので、ぜひよかったら手に取って観ていただけるとと思っています。
菊地: はい。初回限定発売の豪華版という名前なんだよね…正式名称豪華版でいいんだ。
高橋: そうですね。
菊地: の特典ディスクには秘蔵映像が多数…そっちに入ってる。
高橋: そっちに入ってます、はい。
菊地: 映画完成報告イベントや公開記念舞台挨拶、ルーブル美術館での出演者インタビュー。このパッケージでしか観ることができないメイキング映像は、日仏ロケに完全密着した撮影の裏側を長時間3時間収録と。その3時間の観たいですよね。
高橋: はい。これはほんとに。
菊地: あんなに日本のカメラが。しかも映画のカメラがあんなに長時間ルーブルに入ったことは…
高橋: そう。あんまり現場のスタッフさんたちも緊張してました最初。
菊地: あー、なるほど。
高橋: で、ご飯は必ず外で食べてくれぐらいのことを言われてたんですよ。
菊地: なるほど。
高橋: 一回外へ出て…たんですけど、途中からルーブルのスタッフさんとも仲良くなっちゃって。「ここで食えよ。」みたいな感じの…
菊地: はいはい。
高橋: すごい有名なミケランジェロとかの前で普通にサンドイッチ食っちゃって。
菊地: (笑)。
高橋: 「大丈夫かな、俺ら。」みたいな感じはありました。
菊地: ロケ弁なれどパリのロケ弁当ですからね。
高橋: はい。パンでグズグズになっちゃうようなやつを、ズルンって落ちちゃいそうなやつを。「ここでいいよ。食って。」とか言われちゃって。
菊地: ヤバいですね。
高橋: 最初はめちゃめちゃ目光らせてたんですけど。「外出ろ。」とか言われて。
菊地: はいはい。
高橋: でも全然最後の方仲良くなっちゃって。
菊地: フランスってそういう感じですよ、なんか。
高橋: そうなんですよ。
菊地: ケータリング自慢だからね、結構。
高橋: はい。なんかいい意味で、僕がすごい好きな雑さがたまんなかったですね。うん。
菊地: というわけで、こちらをぜひお買い求めいただきたく。
高橋: はい。ぜひぜひ。
菊地: というわけで、東京銀座の一角にありますウルトララグジュアリーな空間、アストンマーティン銀座からお送りしてまいりました「From Q presented by Aston Martin Ginza 」。今回のゲストは俳優の高橋一生さんでした。ありがとうございました。
高橋: ありがとうございます。
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