音楽としての記憶#6
前の記事
ヘッドフォンの中の小宇宙
ある日mushroomでスタッフをしていた友達の家に数名で遊びに行くことに。
その子の部屋には二台のターンテーブルがあり、沢山のレコードもあった。
好奇心からDJってどうやってやるのか聞いたところ、こうやってやるんだよと
二枚のレコードをターンテーブルにセットし教えてくれた。
今流れているレコード(A)にもう片方のレコード(B)の音をヘッドフォンで聴いて最初のビートに頭出ししておくこと
片耳でレコード(A)の外音を聴きながらヘッドフォンでレコード(B)のピッチが(A)と重なり合うよう速さを調整すること
両方のピッチが合ったらレコード(B)の音をミキサーで少しづつ出していきレコード(A)の音に混ぜていくこと
(DJってブースの中でこんな面白いことやっていたのかー!!)
楽器が弾けなかった私は大興奮して(これなら自分でもできるんじゃないか)と思ってしまう。
Wラジカセに次ぐ三種の神器・ターンテーブルの魔法にかかった瞬間だった。
ヘッドフォンの中で、二枚の異なるレコードがひとつに混ざり合って聴こえたときの感動は今でも忘れられない。
ひたすらレコード屋を回る
本格的にDJをやるためにはとにかく沢山のレコードが必要になる。
当時周りのDJがみんな通っていたのが大阪アメ村にあったレコード屋CISCOで、
私も月に数回はCISCOまで足を運び、繰り返し試聴の列に並ぶようになる。
確か一度に試聴できる枚数が5枚までとかだったので、レコードの最初・真ん中・ブレイクの溝・最後の位置に矢継ぎ早に針を落としては、また次の5枚を手に取り試聴の列に並ぶ。試聴の列に並んでいると知り合いに遭遇する確率が高かったので、これめちゃ良かったよ〜と情報交換もできた。
12インチのシングルは安い物だと1000円までで買えたので、今とは大違い。
それでもそれまで大好きだったファッションに使っていたお金や食費を削って、レコードにお金を使う暮らしに変わった。
時系列ではもう少し後になるが、大阪に住んでた時にはCISCOの他に
Riverside ・DMR・BAOBAB・JELLYBEAN・ソレイユなど
回遊魚のようにレコード屋を巡り、家にはいろんなお店のレコード袋があった。
今では家に居ながら空気を吸うようにネットで音楽を試聴することができるが、
90年代は自分の足で歩き回らなければ何も手に入らない時代だった。
mushroomに捧げるリスト
・Acen - Window in the Sky (Kingdom of Light)
1993年 mushroomで最初に通っていたラスのパーティで、ラスがよくかけていて好きだった曲。当時ラスのパーティに行ってた人は絶対聴いたことあるはず!
(シンセのキラキラメロディと壮大な曲のストーリーに震えていたな。)
・Primal Scream - Don't Fight It, Feel It
Primal Scream「Screamadelica」はmushroomを象徴するアルバムの一枚。
Love & Unity!
・X-Press 2 - Muzik Xpress
The Dust Brothers、Underworld「Rez」もJUNIOR BOY'S OWNからリリースしていた時代を代表するレーベル。
・The Orb - Perpetual Dawn (Ultrabass II)
Orbの中でもいちばん思い出深き曲。
・Sabres of Paradise - Smokebelch II (David Holmes Mix)
この曲でミラーボールが回ってみんなが手を挙げて笑顔になってた光景は忘れられない。
やはりDJというものが何なのかを体現していたKIHIRAとプロデューサー
Andrew Weatherallは偉大だ。
・The Martian - Stardancer
そしてこの曲でみんな昇天!
おまけ
(あの好きだった曲なんだったっけ??)と思い出せずにいた曲があった。
おそらくレーベルが「Blue Planet」で、青いジャケットの記憶しか無くてググっても出てこなかったが、
Discogsで検索してそれっぽいものを片っ端から聴いてみたら見つけたので置いておく。
(90年代後半によくかけてた一枚)
・The Bowling Green - Strange (Plug Remix)
次の記事