文豪たちの怪しい宴:鯨統一郎:太宰、読まなくては…
年間、文庫本で、小説ばかり、約150冊を読み続けているGGが、今年は読んだ本の読書感想文を書いていこうかと
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「文豪たちの怪しい宴」(007/2020年)
漱石、太宰、宮沢賢治、芥川。ヤバい、あまり読んでない、特に太宰は……という危機感。
一般的に「事実」と認識されていることを完全にひっくり返す鯨の一連の作品、今回の対象は「文学作品」です。文学作品は、読者それぞれが、それぞれの解釈、思いで理解し、楽しめば良い、とはいうものの、ど~しても「正解」と言われる解釈に引っ張られてしまう。自分が「正解」に近しい読み方をしていると安心してしまう。そんな風潮への、ささやかなアンチテーゼです。
「こころ」「走れメロス」「銀河鉄道の夜」「藪の中」に対する新解釈はどれも意表をつくもの。ある種の「二次創作」に近いノリかもしれません。対象作品が、どれをパワフルだから、どんな解釈を当ててもブレないというか、しっかり受け止めてくれる。さすが名作。
「こころ」の『百合小説』説が一番しっくりきました。ラストで提示された最大の根拠に、合点!芸術作品に対して、もっと自由な、既成概念にとらわれずに、向き合えたら良いですね。