バードドッグ:木内一裕:ヤクザだねぇ
「バードドッグ」(104/2022年)
元ヤクザ探偵、矢能シリーズの第3弾です。「水の中の犬」「アウト&アウト」「バードドッグ」、そして「ドッグレース」「ブラックガード」と連なる激エンタテインメントです。
普通の探偵じゃありません。元ヤクザですから通常ルールとは異なった方法で事件を解決していきます。その前提条件が楽しめない人は読まない方が良いと思いますが、読んだ方が良いと思いますよ。
今回は現役のヤクザからの仕事依頼で物語が始まります。幹部の一人が連絡が取れなくなった。探して欲しい、という親分からの依頼です。最初は当然のごとく拒否しますが、様々な理由、その理由の中の一つであり最大のモノが「可愛い」のが本シリーズの醍醐味なんですが、により事件解決に着手します。
後継者争いとか、自分の処遇に対する不満とか、理不尽な人事に対する怒りとか、普通の世界もヤクザの世界もやってることは同じです。レイプ事件の身代わりで18年間服役して、出てきたときの対応や周囲の自分を見る目に納得がいかないとか、ちょっと切なすぎると思いませんか。親分が身代わりに選んだ時点で、この男は、今消えても組の運営に支障をきたさないという判断をされたわけですよ。ムショに入って箔をつけてのし上がるヤクザの世界なんで、身代わりに選ばれたこと自体には名誉を感じたかもしれませんが、よくよく考えれば戦力外通知ですよね。戻ってきて、それなりの地位にはついたものの納得がいかない。でも、自分に力がないことも分からないわけではない、そこまで馬鹿じゃない。だから悩み、苦しむ。
このシリーズ、ネフリ、アマゾンとかでオリジナルドラマ化してくれないかな~って妄想キャステイング。
矢能は長瀬智也にやってほしいな。おばあちゃんは浅田美代子。
で、「私」は妻夫木聡がいいです。