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アウト&アウト:木内一裕:遂に始まる、ハード・エンタメ・ボイルド。
「アウト&アウト」(80/2022年)
あれからどれだけの月日が流れたのでしょうか、「名探偵」矢能が動き出していました、ボチボチと、あの栞ちゃんとも同居しながら。本作は著者自らが監督をしての映像化されているのですね。これは見ても良いかも。
矢能さん、ヤクザからの転職組ということもあって、まあ、やり口が自由です。設定が実に効いている好例かと。「元ヤ」だから許される行為の数々を実にうまく使ってエンタメしています。ハードボイルド系なんだけど、この設定でハードボイルドを越えたところで展開させている著者の巧みな技、楽しいです。
そしてキャラ設定が本当にうまい。あり得ない、リアリティが薄いキャラにちょっとだけファクトの粉をかけてを正面からぶつけてくる、上手です。シリーズ全体の軸となる栞をはじめ、本作の主人公、数馬も目の前に浮かび上がってきます、その雄姿が。
物語は矢能が仕事で行った現場で死体とその殺害犯に遭遇するところからスタート。前作同様、ポンポンと人が死んでいくところは変わらず。政治家からみの事件ということが判明してからの展開はスピーディーに。でも最後の落とし前の付け方は「元ヤ」でしか出来ない見事な着地。本当に一気読みでした。