190 大漁
はじめに
今、秋刀魚が大量にとれるとのことで、北海道の網走周辺は秋刀魚を釣りあげようと多くの釣り人が集まってきているようです。
近年、不漁で困っていた秋刀魚ですが、今年は安くておいしい秋刀魚がたくさん食べられそうということで、喜びの声が上がっているそうです。
今日の教育コラムでは、食料生産に関わるお話を少ししてみたいと思います。
秋刀魚が大漁
北海道の網走港に大量のサンマの群れが現れているというニュースを目にしました。実は、こうした現象はこの2年連続で起きているそうです。
ニュースに映っている釣り人のクーラーボックスにはサンマがびっしりと入っていて一人で何百匹も釣っている人もいました。
沖合にいるはずの秋刀魚が、沿岸に来ているのは、水温が低めになってきているためだそうです。
一方で、近年、秋刀魚は記録的な不漁でした。水産庁の検討会は不漁の原因として、サンマ自体の数の減少を理由の一つに挙げています。また、地球温暖化による海水温の上昇や、潮流の変化の影響を受けて漁場が変化していることも2021年の報告書の中で説明しています。
日本の沿岸からプランクトンなどのえさの少ない沖合に離れていったため、秋刀魚が小型化していることも話題になってきました。また、外国船による漁獲が増加していることで、水産資源の減少につながっていることも原因の一つではないかと考えられてきました。
現象を客観的にとらえる
秋刀魚が北海道の網走や根室でたくさん捕れているのも事実ですが、一方で不漁が続いていることも事実なのです。
2022年は、漁獲量の過去最低を更新した年でもありました。昨年の約1万8千トンと今年の漁獲量は同水準だと見込まれています。10年前と比べると約1割になっている現状をどうみるかと言えば、やはり不漁ということになるのでしょう。これまで有力だった秋刀魚の漁場で思うよう漁獲量が上がらない一方で、北海道や東北の沿岸に新たな漁場が現れていることで、関係者は資源回復に期待をつないでいるような状況なのです。
アインシュタインの予言
アインシュタインは、天才的な頭脳の持ち主でいくつもの物理原則を発見してきた人物で有名ですが、未来を見通した発言をいくつも残しています。その中に次のような言葉があります。
「もしも、地球上からミツバチが消えたなら人類は4年で滅亡するだろう」
現在、いくつかの研究でミツバチの減少が確認されているようです。ミツバチのように受粉を助けてくれる昆虫も減少しているとのことです。この影響は農作物の栽培に大きな影響を与えます。実際に果樹栽培の現場では、ミツバチの減少に伴い、人工的に受粉したり、養蜂業者が育てたミツバチを畑に放ったりして受粉をさせるという対応がとられています。
食糧生産は、私たちの命とかかわる大切な営みです。特に自然環境の変化や気候変動がダイレクトに影響してきます。一時の一部地域における秋刀魚の大漁に喜んでもいられないという状況を私たちはしっかりと認識しておく必要があるのでしょう。