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459 学校にプールはいらない⁉

はじめに

今、学校のプールが消えつつあるという話を最近よく聞きます。今日の教育コラムでは、夏の風物詩であった学校プールを取り巻く状況の変化について少しお話してみたいと思います。

学校にプールはもういらない

学校プールの廃止が各地で進んできている背景には主に3つの要因があります。それが次の3つです。

1 猛暑や雷雨で、屋外プールでは授業を実施できない日が増えていること
2 教員の長時間労働の要因になっていること
3 施設の老朽化が進んでいること

神奈川県の海老名市では、2011年度までに19小中学校のプールをすでに全廃しています。学校プールが無くても市内に市営の屋内プールがあるため授業はできるわけです。同市では、この市営プール4カ所に児童や生徒は徒歩やバスで移動して授業を受けています。もちろん学校の敷地よりも遠い所にありますので、授業の時間割を2コマから3コマ続けて設定することで、指導時間の確保を進めています。
また、夏に限らずに行える点でも屋内プールは向いています。夏の天気の様子は読みにくいため実は、年間で何回か予定を組んで行った方が実施時間が確保できる場合が多いのです。
また、千葉市などでは民間のスイミングスクールを利用する方法もとられています。民間の指導者が授業を受けもってくれるため教員にとっても仕事の軽減となります。また、水泳の指導はかなり経験の差があらわれますので指導する教員が泳げる程度では指導として重要な点がおろそかになりかねません。
安全面でも技術的な指導面でも、プロの手を借りることは指導を受ける側の意欲や泳力を高めることにつながるのです。

コストの面からも

学校に屋外プールを設置、または修繕するときの建設費としてかかる2億円から3億円を予算として確保するのも難しいのです。また、年間にして約700万円ほど維持費にしてかかります。一方民間に委託した場合は、移動などの手間はかかりますが年間500万円ほどで水泳指導を受けることができます。その上、公立学校の多くが使いにくい老朽化した設備に苦しんでいます。教員たちによる管理や維持のための清掃活動や修繕なども時間が必要な業務の一つになっています。

学校に1つなくても大丈夫

一方で、学校にプールが無いのはあまりに悲しいと心配する声も年配の方々からは聞かれます。まだ、市民プールや民間の水泳事業者の少なかった時代を小学校で過ごした方々にとっては夏の学校プールはとても楽しみで大切なものだったでしょう。山間部や市街から距離のある地域では今でもプールは少ないかもしれませんが、学校に1つという考え方は捨ててもいいのかもしれません。せめていくつかの学校の中間地点に授業ができる程度のプールを建設するなど一校につき一つではない状態を目指してもよいように思います。

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