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障害者雇用のポイント 精神障害 気分障害編

障害者雇用を進める中で、どんなポイントで配慮すればよいのかわからないというお声をよくいただきます。障害者雇用は障害者と一括りにすると絶対に成功しません。障害の種類はもちろん、部位や特性によって求められる配慮やできる事は違うためです。ただ、どこがどう違うのかと言うのは経験や知識がないと難しいと思います。こちらでは障害の種類や部位によって配慮するポイントや検討ポイントをお伝えしたいと思います。

今回は目には見えない精神障害についてです。精神障害も疾患によって特性は異なり、身体障害以上に個人の差が出るため疾患名でまとめる事は困難です。その対象の方の背景や特性をしっかり理解して必要な配慮をするようにしましょう。そのためには採用面接で漏らさず確認し自社内で必要な配慮が可能か判断する事がとても大切です。

気分障害の特徴

今回は精神障害の中でも発達障害を除いた、うつ病・双極性障害・統合失調感情障害などで見られる気分障害と言われる障害をお持ちの方のポイントについてお伝えしたいと思います。気分障害とは気持ちの波をコントロールすることが難しい障害です。ここでは雇用のポイントなので症状を詳細には記載しませんが、統合失調症の場合は妄想や幻覚・思考障害など気分障害以外の症状もあり、それらの症状が出ている場合は就労は難しいため、直ちに休養させ、産業医や主治医に相談をする方が良いと思います。あくまで私の管理経験上ですが。。
気分障害で大事なのは安定した精神状態を保てるかどうかです。そのため、ストレスの管理が第一課題となります。健常者の方でも仕事がハードだとストレスがたまり、回復するのに時間がかかりますよね。気分障害を持っている方は回復しにくい為、気分が下がってしまうと長く続き、耐えられなくなり体調を壊してしまったり集中力や注意力が低下しパフォーマンスが低下するなど悪循環に入ってしまいます。その状態が続くと自分の力では回復できず、療養が必要になってしまいます。双極性障害の場合は気分の波が激しく、落ち込んだ状態から急にエネルギッシュな状態になります。この場合は心身は疲れているのにとてもハイテンションやアクティブになる場合もあります。そのため、元気だから大丈夫かなと言う判断はとても危険です。

就業上の配慮

対象者の発病の背景と似た環境を防ぐ

発達障害以外の精神障害の場合は多くの場合、途中で障害を発症しています。そこには原因となる何かしらの事象がある事が多いです。例えば大切な人との別れや生活上の悩みで壁を乗り越えられなかった経験など様々です。特に注意をしないといけないのが仕事が原因で発症した場合です。大きな失敗、強い叱責などパワハラ、同僚との人間関係、過剰労働など、その方がどの様な環境で発症してしまったのかを確認し、同じような事態にならないようにすることが大切です。多くの方が発症時から復帰をする時にしっかりと治療をし、リワークプログラムなどで同じことが起きないように自分でコントロールできるようにしています。しかし、障害が完治したわけではないので企業側も配慮をすることで再発の可能性を下げることが出来ます。強い叱責など明らかな原因がある場合は、周りでも似た環境がないようにしましょう。隣の人が大きな声で怒られているのを見て思い出してしまうと言う事もあります。

業務の管理

業務の量と難易度を適切に管理することが大切です。業務量により就労時間は変化しますし、就労時間が伸びると心身への負荷は大きくなります。難易度については簡単であればいいというわけではなく、その人に適した難易度の業務を与える事が大切です。難しいと負荷が強いのは想像しやすいですが、その人にとって簡単すぎる業務を与え続けると、自分の存在価値を見出せなくなり、自己肯定感が下がり気分が落ちてしまう原因となりかねません。これは障害に関係なく健常者もそうですが、気分障害がある場合は気分が落ちてしまうと回復が難しいため特に注意しましょう。とはいっても最初からどれくらいできるかわからないという場合は、本人にステップを提示し、まずはこれから始めていこうという声かけをすると安心してもらえると思います。業務を管理するには指示系統を複数作らない事が大切です。組織で仕事をしていると360度から仕事を頼まれることが多くあります。そうなってしまうと管理者がその方の抱えている業務を把握できず、気づいたらオーバーワークになっていたという事態に陥ってしまいます。そのため、仕事の指示は必ず管理者を通すようにすることをお勧めします。また業務の進捗状況も定期的に確認をし、時間外労働をするのかどうかも管理者が判断するようにした方が安全です。

定期面談

業務の管理と共に健康状態の把握も重要になります。そのため、定期的に面談をして状況を確認することで変化に気づけるようにしましょう。業務以外の時間でもストレスとなることはたくさんあります。プライベートの事を細かく把握する必要はありませんが大きく気分落ちてしまってないかを把握しておきましょう。また、気分障害のシグナルとして、十分な睡眠がとれているかがあります。精神的なダメージは睡眠をとることで回復できるため、睡眠がとれていない場合は要注意です。また、何か不安があると眠りにつきにくくなりますので睡眠時間が取れていない場合はその原因を確認することで、どんなことに不安を感じているのかを確認することもできます。
 面談以外にも日頃の行動や業務を観察することも有効です。ミスが増えてきたときは注意力や集中力が低下しているサインかもしれませんし、遅刻続いたら睡眠をしっかりとれていないのかもしれません。急に多弁になったり話しかけても気づかないなど集中しすぎている(過集中)場合は躁の状態かもしれません。少しでも変化を感じた場合は面談をして確認をし、必要に応じて産業医などにつなぐようにしましょう。また、管理者一人だけではすべてに気づくことは難しいので部署のメンバーにも協力をしてもらうと良いかもしれません。

通院について

気分障害がある場合は定期通院をしている方も多いので必ず通院については配慮が必要です。通院の後は面談を行い、主治医から就業について意見があったかどうかを確認するようにしましょう。もちろん強制的に情報をきくことはできないので日頃から話が出来る信頼関係を築くことが前提となります。また、薬の処方がある場合は処方薬の種類や量に変化がないかを確認します。薬が変わったと言う事はそれ相応の理由があります。症状が出ないから薬の量を減らすなどであればいいですが、その場合も減らした後に変化がないかは確認が必要です。薬は身体との相性があるため、種類が変わった場合は体調などに変化がないかも気にしておくと良いと思います。

最後に

今回は気分障害の方を雇用する際に検討すべきポイントをまとめてみました。精神障害の方を雇用するうえで一番大切なのは信頼関係です。信頼関係が出来ていないと面談をしても本当のところを語ってもらえず、大丈夫だと言っていたのに急に休みに入ってしまったなんてことになってしまいます。また、精神障害の方は病院のほかに支援施設を持っている場合があります。その場合は支援施設の担当者とも密に連携をとることで、ご本人には気づいていない兆候なども確認できるかもしれません。 
 あくまで私のこれまでの経験と知識も範囲で書いているため、これが全てではないと言う事は補足させていただきます。もし、こういう場合どうすればいいの?と言う疑問などあれば弊社の無料メール相談にお送りいただければ回答させて頂きますのでお気軽にお問い合わせください。

障害者ではなく、こういう特性を持った人なんだという視点で考えていただくと企業にとっても障害を持つ方にとってもWinWinな職場、多様性のある職場になると思いますし、一つでもそういう素敵な職場が増える事を目指していきたいと思います。


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