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障害者雇用のポイント 精神障害 発達障害編

障害者雇用を進める中で、どんなポイントで配慮すればよいのかわからないというお声をよくいただきます。障害者雇用は障害者と一括りにすると絶対に成功しません。障害の種類はもちろん、部位や特性によって求められる配慮やできる事は違うためです。ただ、どこがどう違うのかと言うのは経験や知識がないと難しいと思います。こちらでは障害の種類や部位によって配慮するポイントや検討ポイントをお伝えしたいと思います。

今回は目には見えない精神障害についてです。精神障害も疾患によって特性は異なり、身体障害以上に個人の差が出るため疾患名でまとめる事は困難です。その対象の方の背景や特性をしっかり理解して必要な配慮をするようにしましょう。そのためには採用面接で漏らさず確認し自社内で必要な配慮が可能か判断する事がとても大切です。

発達障害の特徴

今回は精神障害の中でも発達障害をお持ちの方のポイントについてお伝えしたいと思います。発達障害は自閉症スペクトラム(ASD)、限局性学習症(SLD)、注意欠如・多動症(ADHD)の三つに分けることが出来ます。しかしどれかの診断名がついていても症状は重複していることも多く診断名で症状を判断するのは難しいため、個人の特性をしっかり理解することが大切です。多くの場合は小学生年代までに症状が出始めますが、程度によっての線引きは難しく、大人になってから診断されることも珍しくありません。ASDの症状としては物事に対するこだわりが強く、自分の発想以外の想像性が乏しいと言われています。そのため新しいことに対して適応するのに時間がかかってしまったり、指示を違う形で解釈をしてしまう事があります。SLDはすべての学習が苦手と言う事ではなく、局所的な学習能力に障害が出ます。例えば計算や話の理解には問題ないが文字の識読は苦手で文章を読むのが苦手、読むことはできるが文章を組み立てるのが苦手で言葉にすることが難しいという様な感じです。ADHDについては注意力や集中力に障害があったり、落ち着きがない多動などの症状が見られます。また発達障害を持つ方は五感の神経が過敏であることがあり、視覚や聴覚などに感覚過敏がある場合は就労環境への配慮が必要となる場合があります。

就業上の配慮

業務の指示の方法

ASDの特徴にも上げましたが、発達障害の方に対しては指示の方法に配慮すする必要はがあります。指示を指示通りに理解できているかと言う点です。指示のニュアンスを読むと言う事が苦手なため、曖昧な指示をしてしまうと理解ができない事があります。指示は具体的にしましょう。例えば「これを明日までにまとめておいてください」と指示をした場合、健常者の方であればこれまでの習慣から、明日の定時まで、と判断できたり、わからなければ確認すると思いますが、発達障害の方はそのような判断が苦手です。明日までと言われると本当に夜中の12時までと思い込んでしまい、深夜残業をしてしまう事もあります。なので、明日の17時までにまとめてください、今日の終業時間に一度みせてください。など具体的に伝え、相手と同じ認識が出来るようにすることが大切です。ADHDの場合は一度の指示ですべて聞き取れていない可能性があるので、難しい場合は指示をメールなど文字で伝える事も検討しましょう。
また、発達障害の方はこだわりや、一つの事に集中できない優先順位をつけるのが苦手な事が多いです。そのため、いわゆるマルチタスクが苦手となるので、仕事は一つずつ下ろしていきましょう。仕事を一つずつ下ろすためには指示系統は複数作らない方が望ましいですね。
また、集中をして休憩をとる事を忘れてしまう場合もあります。過集中をしてしまうと疲労が蓄積し体調を崩す原因となりますので、定期的に休憩をとれているか確認をするようにすると良いと思います。

職場環境

先述の感覚過敏を持っている方には、職場のレイアウトなどを工夫する必要があります。聴覚過敏を持っている場合、プリンターの音など周りの音が気になってしまい集中できない場合があります。その場合はできるだけ静かな席で仕事ができるようにします。視覚過敏である特定の色が強く見えてしまう場合、その色が近くにない環境が良いでしょう。特定のフォントが苦手と言う場合などもあるので、パフォーマンスの問題が出た際は近々で働く環境に変化がなかったかを確認するようにしましょう。また、静かな方が集中できるかと言うと、ある程度周囲の音があった方が集中できる場合もあります。これは健常者の方と変わらないので、対象の方の一番適した環境をしっかり把握しておくことが重要です。

定期通院について

発達障害の場合は支援機関や主治医と定期的なカウンセリングがある事があります。また、障害により環境に適応することに大きな負荷がかかるためストレスがかかりやすいため、気分障害などを併発することが少なくありません。その場合は別記の気分障害の配慮も併せて行う必要があります。

最後に

今回は発達障害の方を雇用する際に検討すべきポイントをまとめてみました。あくまで私のこれまでの経験と知識も範囲で書いているため、これが全てではないと言う事は補足させていただきます。もし、こういう場合どうすればいいの?と言う疑問などあれば弊社の無料メール相談にお送りいただければ回答させて頂きますのでお気軽にお問い合わせください。

障害者ではなく、こういう特性を持った人なんだという視点で考えていただくと企業にとっても障害を持つ方にとってもWinWinな職場、多様性のある職場になると思いますし、一つでもそういう素敵な職場が増える事を目指していきたいと思います。


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