【「はじめに」公開】『性格4タイプ別 習慣術』
はじめに
「なぜ、続かないのか? 」の謎は、性格タイプにあった!
私が習慣化を探求し、たくさんの人をコーチングしてわかったことは、「続ける」に「絶対解」「唯一解」はない、自分にとっての「最適解」があるだけ、ということでした。そんな中で、習慣化には「行動の技術論」ではなく、「性格のタイプ論」が必要なのではないかという思いが生まれてきました。
これが私に本書を書かせる動機になりました。そして、
何をやっても三日坊主、勉強もジムも続いた試しがない
嫌なことは期限が迫るまで先延ばしにしてしまう
誘惑にすぐに負けてしまう。ネット、YouTubeを見て、今日も夜更かし……
食べないと決めたのに、スイーツに手が伸びる
このようなことに思い当たる節がある人、
なんで自分は決めたことを続けられないんだろう
どうしたら意志が強くなるんだろう
もっと自制心があればいいのに!
と悩んでいる人、そんな方々のために、本書はお役に立つことと思います。
申し遅れました。ここで、自己紹介をさせていただきます。
私は、習慣化を専門としたコンサルティング会社を経営しています。
オリジナルの習慣化メソッドを開発して、12年間で5万人のビジネスパーソン、個別コーチングでは1000人以上の方の習慣化と密に関わってきました。
単に続けることをゴールにするのではなく、「人生を変える習慣化とは何か」を追求するため、受講生と毎日関わる習慣化講座も10年間行い、習慣化を通じて人生をよりよくするサポートをライフワークにしています。
これまで開発してきたメソッドは「続ける習慣」「やめる習慣」「早起きの技術」など。それらは22冊の書籍として発売され、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイなど海外を含め、100万人の方にお伝えしています。読者の方からの声も知見として取り入れ、習慣化メソッドに反映しています。
さらに、私が運営する月額制の会員制コミュニティ「習慣化オンラインサロン」には、200名の方が在籍し、習慣化の部活、朝活などを自発的に行ってもらえる仕組みをつくりました。
このように、習慣化のプロとして活動する中で、多くの人が見落としがちな「続かない謎」を打破するあるポイントがわかりました。
そのポイントこそが、本書で紹介する「性格4タイプ別 習慣術」です。
「続かない謎」を解く鍵の1つは、「自分に合った習慣化のやり方を追求していないから」と、本書では強調したいと思います。
この習慣術では、「誰かが成功した習慣化」ではなく、「自分に合った習慣化」がわかります。
独自に開発した、習慣化タイプメソッド「童話マトリックス」で、行動と動機を4タイプに分類・診断。自分のタイプを知り、習慣化の適性を知ることで、自分に合った習慣と、習慣化へのアプローチをつかむことができます。
どんなに優れた習慣術でも「 自分の性格」と合わなければ意味がない
習慣化がうまくいかない人の多くは、
「なんで自分は決めたことを続けられないんだろう」
「どうしたら意志が強くなるんだろう」
「もっと自制心があればいいのに!」
と、自分を責めたり、自己嫌悪に陥ったりして悩みを深めてしまいます。
しかし、続かないのは、本当に「自分が悪い」のでしょうか。
私はそうではないと考えます。
続かない原因は、自分の行動と動機のメカニズムを知らずに、闇雲に習慣化を試しては挫折する、これを繰り返してしまっていることなのです。
習慣化は、「性格タイプ」と「習慣化の技術」を組み合わせれば、無理なく自然に高確率で実現できるのです。
これを2階建ての家にたとえると、上の図のようになります。
1階が「性格タイプ」、2階が「習慣化の技術」です。
2階(習慣化の技術)が成立するためには、1階(性格タイプ)が必須です。
つまり、習慣化を成功させるためには、性格タイプを前提にする必要があります。
性格タイプの行動と動機に違いがあることを知り、自分の性格タイプを理解した上で、習慣化の技術に取り組めば、ストレスが小さいアプローチを選び、習慣化できるのです。
「性格タイプ」が異なれば、「行動」も変わる
「習慣化を成功させるためには、性格タイプを前提にする必要がある」。この気づきのきっかけは、社内での何気ない雑談、「夏休みの宿題はどのように終わらせていたか?」から生まれました。
社内のメンバーからは、4通りの回答が返ってきました。
[ ① Aさんの場合 ]
● 最初の1週間で終わらせて、残りの期間は気持ちよく遊ぶ
● 早く終わらせて楽になりたい、やるべきことを片づけないと楽しく遊べない
[ ② Bさんの場合 ]
● ギリギリ最後の1週間で追いつめられて、一気に終わらせる
● ゲームや友だちとの遊びなどを先に楽しんで、後半に追い込まれながら物事を進める
[ ③ Cさんの場合 ]
● 最初に計画を立て、1日の勉強量を決めて、計画通りにコツコツ進める
● とくに苦もなく、やるべきことを淡々とこなせる
[ ④ Dさんの場合 ]
● 一応計画をしてコツコツ始めようとするが、気分にムラがあり「やりたくない!」「気分が乗らない」と計画がズルズルと遅れて、先延ばしが増えていく
● 最後の最後で、想定以上に積み上がった宿題を終わらせるためにバタバタする
Aさん〜Dさんでは、行動傾向と、その動機がそれぞれ異なっています。
Aさんの行動傾向は「やるべきことは早く終わらせる」、その動機は「やるべきことを残すと楽しめないから」。一方、Bさんの行動傾向は「やるべきことは後回し」、その動機は「まずは楽しみたいから」など。
そこでひらめいたのが、『イソップ童話』に出てくる「うさぎとかめ」「アリとキリギリス」のキャラクターをタイプ別に当てはめる「童話マトリックス」です。
「童話マトリックス」って何?
童話マトリックスは、行動傾向を「うさぎとかめ」、その動機を「アリとキリギリス」として、マトリックスに整理したものです(上図)。
その詳細を社内のメンバーに説明したところ(詳細は第1章にて)、全員がそれぞれのタイプに「腹落ちした」と答えました。
そして、近くで長く一緒にいるメンバーなのに、全く違う世界観を持っていることがわかり、互いをより理解するきっかけにもなりました。
性格タイプは、行動を起こすときの「心理的前提」になるので、物事をうまく進めるためには、性格タイプごとに行動(技術/習慣化)を変える必要があります。
そのため、童話マトリックスで、まずは性格タイプを知ることが重要です。そして自分や他人にどんな行動傾向・動機があるのかわかれば、物事をスムーズに進めることができます。
「 童話マトリックス」を1200名で検証
童話マトリックスは、これまでの知見や実践を10年以上にわたって洞察して、ひらめいたものです。そして、信ぴょう性を確認するために、2つの検証を行いました。
①習慣化のコミュニティで性格タイプ別の続け方を検証
→会社員、経営者、個人事業主、主婦、学生、外国人まで幅広く、20~70代の男女200 名で実践、検証を重ねた
②法人研修で性格タイプ別への対応変化を検証
→マネージャー職の立場にある人の中から300 名のモニターを募り、本人、そして部下への対応でどのような変化があったかを調査
検証の結果、①では80%、②では70%の人が、「パラダイムシフトが起きて、具体的に自分の行動変容、そして、周囲(部下・子ども・パートナー)への行動変容にも効果があった」と回答しています。そして、次の感想をいただきました。
熱しやすく冷めやすい、三日坊主の自分を責めていたけれど、それも性格タイプの特性だとわかったことで、「自分の長所を活かして、課題を克服すればいいだけ」と思えるようになり、本当に楽になった。
これまで自分に合わない続け方をしていたことがわかった。性格タイプを理解して、ようやく習慣化ができるようになった。
4つの性格タイプの違いがわかって、他人と比較せず、自分らしく続ける方法が見つかった。
親から期待されていた自分と、本来の自分の違いがわかった。無意識に抱いていた劣等感が和らぎ、自分らしく生きられるようになった。
部下に4つの性格タイプを適用したら、モチベーションと結束力が高まった。自分もイライラしなくなった。
「他人は違う」とわかっていたけれど、本当の意味で長所と短所を客観視できた。部下や妻、子どもへの接し方が変わって関係が圧倒的によくなった。
このように、タイプを知ることで、必ず気づきと行動変容を起こせます。
「 童話マトリックス」が習慣化に効く3つの理由
この童話マトリックスが習慣化に有効な理由は、3つあると考えています。
理由① 自分に合った習慣術がわかる
習慣化とは、「行動と動機をどうマネジメントするか」に尽きます。
つまり、習慣化には、「行動」と「動機」の2軸でアプローチする必要があり、さらにそのアプローチは、性格タイプによって変える必要があります。
「童話マトリックス」では、性格タイプ別にアプローチを説明するので、自分に合った習慣化の技術を身につけられます。
理由② 応用範囲が広い
童話マトリックスは、シンプルなマトリックスですが、これまで漠然と感じていた「自分(あるいは他人)の傾向」が、明確かつシンプルな行動・動機パターンとしてわかります。
そのため、行動の習慣化だけではなく、「仕事」「時間管理」「目標達成」さらには「人間関係」へ応用することもできます(詳細は2〜5章にて)。
理由③ シンプルで直感的に理解できる
私は、さまざまなタイプ論を研究し、習慣化に応用してきました。
その過程でわかったのは、「タイプ論はなるべくシンプルで、わかりやすいほうがいい」ということ。
さらに、タイプ論を日常に活かすためには、結果を忘れずに覚えておける「楽しさ」「チャーミングさ」があればベストだと考えました。
童話マトリックスには、複雑な表や、膨大な質問はありません。
シンプルな2軸のマトリックスで内容を説明でき、結果の「4つのキャラ」は、誰もが馴染みのあるイソップ童話から引用しました。そのため、直感的にタイプの特徴やキャラがわかるでしょう。診断は、20個の設問に答えるだけなので3〜5分でできてしまいます。
そのため、自分だけではなく、家族や上司・部下、組織間など、複数人で利用するときにも使いやすいツールです。
「 性格4タイプ別習慣術」で人生を変えよう
本書の目的は、「性格タイプ別に習慣化のアプローチを変えること」「自分に合った習慣化のやり方を見つけること」ですが、童話マトリックスは、あらゆるレベルの習慣を変えることを念頭に置いています。
そのため、応用的に活用すれば、目的の幅が広がります。
習慣化というと、早起き、運動、片づけ、勉強……など自己管理(第2章)に関するものを思い浮かべがちですが、自己実現(第3章)も習慣化と深く関係しています。
あるいは、自分の習慣化だけではなく、「上司が部下に」「親が子どもに」……など、身近な人に何か習慣を取り入れてもらいたい場合(第4章)もあるかと思います。
童話マトリックスでは、自分を知り、相手を知ることで相手にあったアプローチができます。
すると、相手のタイプが自分と同じだという間違った前提から抜け出すことができ、相手をうまく習慣化へ導くことができます。
繰り返しになりますが、まとめると次のことが言えます。
性格タイプがわかれば、続けられるようになる(習慣化)
続けられれば、心身ともに自分を整えられる(自己管理)
自分が整えば、自分を大切にできる(自己実現)
自分を大切にできれば、周りの人も大切にできる(人間関係)
私は、習慣化コンサルタントの仕事と習慣化を通して、「真の自己実現」と「より豊かな社会づくり」に貢献することをミッションに活動しています。
その思いは、本書の根底にも流れています。
さあいよいよ、人生を変える「性格4タイプ別習慣術」を解説していきます!
2022年3月 習慣化コンサルタント 古川武
目次
はじめに 「なぜ、続かないのか?」の謎は、性格タイプにあった!
第1章 性格タイプで続け方は変わる
第2章 性格4タイプ別! 自分を整える「自己管理」の習慣
第3章 性格4タイプ別! 自分を磨く「自己実現」の習慣
第4章 性格4タイプ別! 違いを活かす「人間関係」の習慣
第5章 応用編 習慣化で人生を変える
おわりに
著者について
古川武士 (ふるかわ・たけし)
習慣化コンサルティング株式会社代表取締役。
関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。
5万人のビジネスパーソンの育成と1000人以上の個人コンサルティングの現場から「習慣化」が最も重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。オリジナルの習慣化理論・技術をもとに、個人向けの習慣化講座、企業向けの行動変容・習慣化研修を行っている。
習慣化の書籍は、22冊100万部を超え、中国・韓国・台湾・ベトナム・タイでも広く翻訳されている。また、NHK「ごごナマ」を始め、TV・ラジオ・新聞など150のメディアに出演している。
主な著書に、『図解 マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣』『力の抜きどころ 劇的に成果が上がる、2割に集中する習慣』『理想の人生をつくる 習慣化大全』(以上、ディスカヴァー)、『30日で人生を変える「続ける」習慣』『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』(以上、日本実業出版社)、などがある .