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小説

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若造Kat
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#連載小説

小説: サリュの隔て 1

小説: サリュの隔て 1

「あの、すいません...サリュの方ですか」

「えっ...サ、サリュですか」「すいません...サリュとは...」

雨降りの木曜日 疲れ切った仕事からの帰り道

30歳を過ぎて、毎日が同じ 恋愛すらももう面到になりつつあるこの頃

いつものように最寄りのスーパーで、唯一の楽しみであるかぼちゃコロッケの会計を済ませ、さあ家に帰ろうという時だった。

「あっ..まだサリュをご存じない方ですか。」「匂い

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小説: カミールと名ゆ 2

小説: カミールと名ゆ 2

#1 はこちらからお願いします

「にい 名前は何ていうの…?」

「俺は…ノルだよ お前は?」

「ノール…僕はカミールっていうんだ」

「ノールじゃなくてノルだって!」

「あっ ごめんね…」

「いやっ 別にどっちでもいいけど そんな急に謝るなって…」「もう9時だしとりあえず寝ろ…俺ここにいて外見張ってから心配するな」

「うん ありがと でもちょっと…   寒い…」

「寒いのか…こっちも

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小説: サキと咲かない花 3

小説: サキと咲かない花 3

ザックざっくなあらすじ:13歳の娘サキが急に何もかもすることを辞めてしまった。振り返ると母である私(ユウ)も、自分が同じ年頃の時同じように全て投げ出してしまった時があった。そんな時私の母は、私を喫茶店に連れて行き、ある男性に会わせたのだった。そこで彼は私に言った。私は "狭間を超える少女"だと。私の人生には予め「狭間」があったと
#2 はこちらからお願いします

「人生にある物理的狭間」そんなこ

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小説: サキと咲かない花 2

小説: サキと咲かない花 2

#1はこちらからお願いします

確かに私(ユウ) が13歳だった時 急に自分をこれまで取り囲んでいた環境や社会が急にどうでも良くなってしまった時があった

そんな私の姿を見かねた母は 私をある夜急に喫茶店に連れて行った

そこには初老の男性が一人静かにカウンターに立っていた

彼は私たちを見た途端母に喋りかけた

「久しぶり 話は聞いていたよ 娘さんは あなたと同じだね 狭間があるタイプだ」「今は

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