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アイスランド編~”アイスランドから見る風景”より

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アイスランドでの日常についてのコラムをまとめました。
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#北欧暮らし

アイスランドから見る風景:vol.25 レイキャネス半島での噴火 2023/24年編 火山活発活動期の到来① グリンダヴィークの歴史

2024年1月1日夕方16時ごろ、能登半島の珠洲市近辺でマグニチュード7.3に当たる地震が発生し、多くの家屋が倒壊・破損、それにより住民約240人が死亡、約1300人が負傷、また道路・電気・水道などのインフラが壊滅的な損害を受けた。過去3年群発地震が続いていた地域であったのにも関わらず、その異常な頻度で起こる地震のニュースが、逆にわたしたちの警戒心を薄らせて、地殻活動の異様な発現が能登の日常に埋没した観さえあった。これだけ頻繁に地震が起こっていれば歪みは解消されるはずだから、

アイスランドから見る風景:vol.24 アイスランド人の職場を俯瞰する

今回は少し視点を変えて、アイスランド人の労働観や職場での様子について、自分自身の経験を交えながら書いてみたいと思う。わたしは学生時代のアルバイトを除き日本での雇用経験はなく、ドイツで2年間日系企業で働いただけ、あとは自営という職歴の人間だ。ドイツの日系企業も現地企業だったため、ある程度日本色は薄れていただろうが、それでも日本の労働価値観はじっくり社風に根を下ろしていたように思う。 このようなトピックで今回コラムを書こうと思ったのは、今年の3月から、日本観光客をアイスランドに

アイスランドから見る風景:vol.23 Fimbulvetur (フィンブル ヴェートル)-真冬の中の冬 

昨年2022年12月と今年の1月のアイスランドの天候は、20年ほどアイスランドに住んでいるわたしにも、異常に厳しいものだった。メキシコ湾暖流が流れ込んでいる島の西南部ーつまり首都のレイキャヴィークでさえも、日中の気温が氷点下のまま、夜は氷点下10度~15度まで下がった。クリスマス直前に降った雪もそのまま溶けず、およそ60日間巨大冷凍庫に閉じ込められているような状況だった。 気象庁の発表によると、今年の1月の平均気温はマイナス1,8度で、1995年以来の冷え込みだったそうだ。

アイスランドから見る風景:vol.22 シングヴァトラ湖でのダイビング

2022年12月31日年の瀬。ギリギリのこのタイミングで、今年最後のコラムをアップしたい。新年の抱負に反して昨年よりもコラム投稿数は減ってしまったが、仕事や経営に関する知識を増やすことで自分の視野を広げることができ、今年はそれなりにいい年だったと思う。今回は特に印象に残っている、シングヴァトラ湖にて今年の8月にダイビングをなさったご夫婦の手配に焦点を当てて、お話をしていこうと思う。 シングヴェトリル国立公園内にあるシングヴァトラ湖、その一部シルヴラ(Silfra)では、シュ

アイスランドから見る風景:vol.21-2 レイキャネス半島での噴火 2022年8月編

さて、今回も引き続きレイキャネス半島での火山の噴火について書いていこう。後編のこのコラムでは、2022年8月3日に始まり同月21日に終わった短い噴火にも言及する。昨年の噴火とほぼ同じ場所で起こったことから、同エリア内での地殻変動から生じた火山活動であることは間違いない。昨年の噴火の写真を見て気が付いたのだが、わたしはきっかり1年の日数をあけて両火山の噴火を撮影していたようだった。その感想も交えてお話していこうと思う。 まず、前年2021年の噴火は、その年の12月18日に終息

アイスランドから見る風景:vol.21-1 レイキャネス半島での噴火 2021年3月編

今回は2回に分けて、アイスランドでの2021/22年の噴火について書いてみたい。この前編は2021年の噴火が主題で、以前配布していた会社のニュースレターを基にしているため、すでに読んでくださった人もいるかもしれない。その場合はご容赦いただき、2022年の2度目の噴火を扱う次回のコラムを楽しみにしてくださると有難い。 2021年3月19日の22時ごろ、781年ぶりに、レイキャネス半島で火山の噴火が始まった。ここは、ケプラヴィーク国際空港やブルーラグーンなど、観光には欠かせない

アイスランドから見る風景:vol.2 夏の嫌われもの

アイスランドで庭を持つひとたちに、蛇蝎のごとく嫌われている植物が2種類ある。それはアイスランド語でルピナ (lúpina) と呼ばれるマメ科ルピナス属の多年草と、もう一つはスコウガールケルヴィトル (Skógarkerfill)・ セリ科シャク属の多年草だ。これらの野草が一本でも庭に生え次第、アイスランド人たちは、躊躇なく根こそぎ除去しようとするだろう。 わたしがアイスランドに移った1999年時には、外来種の両植物はすでにアイスランド全土にテリトリーを広げていた。シャクは1

アイスランドから見る風景:vol.19-1 アイスランドで簿記を勉強する -前編-

アイスランドでは、再就職やキャリアアップを念頭に、再度教育機関に足を向ける社会人が多い。高校・大学の卒業後に就職をしてはみたものの、仕事に慣れて業務がルーティン化するにつれて、この国の人たちはキャリア転換や転職を考えるようになる。アイスランドにおいては、育児休暇や職場での昇進・昇給の頭打ちが、キャリア転換の機会になる。アイスランド人は転職に対する抵抗感はまったくない。転職した、と報告すると「そりゃ、おめでとう」という返答が返ってくるお国柄だ。 社会人の再教育の目的は、高等専

アイスランドから見る風景:vol.19-2 アイスランドで簿記を勉強する -後編-

さて、前編からかなり時間が経ってしまったが、あれから2つ大きな変化があった。ひとつは、アイスランドでの簿記・中級コースを無事終了したこと、そしてもうひとつは、6月の一時帰国時に簿記3級の試験に合格したことである。今回はこの2つのトピックに焦点をあてながら、コラムの続きを書いてみようと思う。 初級のおばあちゃん先生のコース終了後すぐに、次の中級コースが始まった。最初の4回はエクセル。簿記に必要な関数に重点を絞った授業内容だ。本来は簿記の先生が教えるはずだったのが、他で受け持っ

アイスランドから見る風景:vol.6 ラビット・ホール

レイキャヴィーク市は、幾つかの住宅地区に区分されており、隣接する地区の間には住居のない自然エリアが設けられている。その区画整備は、新しく都市開発された市の裾野部分、つまり街の中心から離れた、これまでは住宅が建てられていなかった場所において、特に顕著である。もともと手つかずの自然があった場所を住宅地に変えるのだ。私有地のまま残された土地はあるにせよ、自然保護の立場を念頭に、市が都市開発をしていることは明らかである。 この自然エリアは、その地域に住む住民にとって、身近に自然と親

アイスランドから見る風景:vol.15 女性警察官の躍進と男性看護師の嘆き

先回に引き続き、今回も男女賃金差解消に向けたアイスランドでの試みについて考察してみたい。その中でも看護師と警察官の例を取ることにする。選んだ理由は、最近この2つの職種が交差する現場にわたし自身がちょうど居合わせたことだ。その上、偶然ではあるが、ここ10年来の男女比の是正に関し、看護師と警察官では大きな差が生じている。職業に対する世間一般の抱くイメージが、いかに職種の男女比に影響しているか、またそれを是正する努力をどのように行っているか、今回のコラムに綴っていこうと思う。 少

アイスランドから見る風景:vol.16 2022年2月24日 欧州新秩序・冷戦2.0

今回のコラムでは、2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻がもたらした欧州でのパラダイムシフトについて、アイスランドから考察してみたい。本来であれば、もっと早い時期にこの題材でコラムを書き上げたかったのだが、わたし自身が今日まで欧州で戦争勃発の事実を消化しきれていなかった。ロシアのウクライナへの進軍とその衝撃、数分ごとにアップデートされる戦争の状況一刻一刻に、頭と心が完全に麻痺してしまった。 疫病と戦争が双子であることは、人類の歴史を紐解けば明白な事実ではあるものの、それ

アイスランドから見る風景:vol.14 男女平等の縦と横

先日、大変興味深い記事を読んだ。アイスランドでは、女性起業家が興した会社よりも男性起業家の会社のほうが、投資先に選ばれる割合が断然高いらしい。アイスランドの技術開発ファンドが投資先に選んだイノベーション会社26のうち、女性起業家の会社は1社のみ、男女混合は3社、男性起業家の会社は22社だった。これは出願者の30%が女性だったことを考えると、あまりに少ない割合ではないか、という疑問が提起された。 この状況について、女性起業家の一人が次のように考えを述べた。イノベーション分野に

アイスランドから見る風景: vol.5 秋の到来と子羊のスープ

1年を通して雨が多いのはアイスランドの常だが、その中でも晩夏から秋にかけての強風を伴った冷たい雨は身に沁みる。この鬱々とした天気が通日続くと、木々はあっという間に葉を散らす。人の目を楽しませることもなく、色褪せた葉は風にさらわれ、雨に地べたへと打ちすえられる。それと同時に日照時間は日に日に短くなり、気温も10度を越える日が少なくなっていく。 数年前から、アイスランドでも”秋”と呼べる時期が長くなった。全体的に季節が1カ月ほど後ろにずれ込んでいる様子だ。年によっては、8月より