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「マンガでわかる ポン・ジュノ」を読んで、学習コンテンツとしての「マンガ」を思う

学習コンテンツ開発部 プロデューサーの新田真紀です。
昭和の古(いにしえ)から続く「学習マンガ」の体で世界のポン・ジュノ監督の半生記(?)が出たと聞き、早速読んでみました。

■子供時代は想定内の天才ぶり

内容をざっくり説明しますと、
・ポン監督の半生記(映画&マンガが大好きな少年時代~現在まで)
・作品解説(「パラサイト」でのアカデミー賞受賞まで)
を軸に、制作時のこぼれ話などがふんだんに盛り込まれています。

ここでは
「好きなものをとことん追求すること」「意志を貫く大切さ」
などが語られます。
どんな成功も本質は同じということでわりと想定内ではありましたが、
子供時代、サッカーの審判なのにキーパーを巻き込んで「良い画角」を探っていた、というマイペースエピソードが微笑ましかったです。

■「職業紹介」コンテンツとして、わかりやすく映画制作を解説

同時に、「学習マンガ」にありがちな、案内役である監督志望の少年がベタなストーリーと共に出てきますが、この少年を通して「映画制作」の仕組みが学べる内容にもなっています。

<監督><編集>など基本的な役割から、<広報><出資者>など実践的な職業や立場が分かりやすく解説されており、
「スノーピアサー」では、ハリウッドの現場に<ストーリーボードの貼り出し>や<現場編集>を取り入れ、場面をスタッフと即時に共有することで言語や文化の壁を乗り越える努力をしたなど、
現役の制作者にも有効なポンジュノメソッドが随所に盛り込まれています。

ポン監督の現場はすべてのスタッフが「やりやすい」と評判ですが、それは監督の努力の賜物であったという事が分かります。
帯文で細田守監督が「偉人かよ!」と書いてましたが、まさに偉人。引き込まれます。


■「学習マンガ」のテンポ感と解説文のメリハリ

このように<現実的な職業紹介の学習コンテンツ>として非常に実践的であるという感想です。

・現役の旬の人物を取り上げている
・CGやVFXなど、最先端の技術が盛り込まれている
ので関心を持ちやすいことや、
・解説文でより詳細な説明をしている
という構成も、更に詳しく知りたい人にも満足感があります。

マンガとしては、昭和世代が慣れ親しんだ「マンガ日本の歴史」が近いかと思います。
テンポ感はゆるく、展開もベタで恥ずかしいくらいですが(チャンチャン♪な感じ)、「分かりやすい」「用語が入って来やすい」という意味では有効だと思いました。

そこで思い出したのが、かつて読んだ「ストーリーが面白すぎる学習マンガ」です。


■伝説の(?)「手塚治虫監修」学習マンガ

1983年に出版された「中公コミックス 世界の歴史」(全15巻)。


監修が手塚治虫であり、1巻ごとに漫画家が違うという力の入れよう。
(がっつり少女漫画な表紙もあったり)

歴史の観察で地球にやって来た、宇宙人の兄妹ウィープとトリープが案内役となって世界の歴史をたどって行くのですが、市井の人々が主人公になって恋愛ドラマが繰り広げられるなど、マンガとしてのクオリティが異様に高いのです。

うろ覚えですが、自分的に印象に残っているエピソードは
・「クフ王のピラミッド」を作る際、王妃と技術者が道ならぬ恋に落ちており、ミイラの技術を模索するにあたって王妃が自分を献体にする(どこかで聞いたことがある話…)
・「フランス革命」では、マリー・アントワネットの召使の目線で人間くさい王妃の話が展開(思い出の指輪もらったり)

とにかく一つ一つの人間ドラマが濃い。歳を重ねてもたまに「読みたいな…」と思ったこともあります。

だがしかし。
史実としての何かはほとんど覚えていないのも事実(年号とか固有名詞とか)。マンガとして面白すぎるのもどうなのか…。
ただ、歴史に興味は持ちました。

以上、とりとめもなく思索しましたが、「学習マンガ」の体を取ったコンテンツに可能性を感じております。
個人的には「マンガでわかる テレビ東京・佐久間宣行」を読んでみたいです。


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