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ハリウッドのど真ん中で殺されかけた話。



バックパッカーで、アメリカ・ロサンゼルスに滞在したときの話。

私は地下鉄でハリウッドを訪れた。
確か駅名は"Hollywood&Highland Sta."。
私は映画産業の中心地であるこのハリウッドにて、一生忘れもしない体験をすることとなる。



<バックパッカー2日目の朝>


私はホテルの部屋にいた。
ホテルというより、民宿のような小汚い部屋のキングサイズベッドに横たわっていた。
2人部屋を一人で借りたので、少し広すぎるくらいだった。

今日はどこへ行こうか考えながらシャワーを浴び、支度を済ませた。

飛行機で隣に座っていたカナダ人から、ハリウッドにあるクッキー屋をオススメされたのを思い出し、ホテルがあるユニオンステーションからハリウッドまでは地下鉄で約30分ほどだったので行ってみることにした。



<ハリウッド到着>



駅を出ると、『サンセット大通り』やMARVELシリーズで見たことある光景が広がっていて、とても興奮した。



さっそく教えてもらった店に向かって歩いていると、コスプレしたMARVELヒーローから声をかけられた。
どうやら写真を撮ってチップを稼いでいるらしい。
見た目のクオリティーが高ければ良かったのだが、明らかに手作り感満載の中国ミッキーのようなヒーロー達だったので、丁重にお断りさせていただいた。


また少し歩くと、2mくらいの黒人から声をかけられた。
感じのよさそうな人だったので立ち止まると、日本人か と聞かれた。
そうだ と答えると、こんにちは、こんにちは!と拙い日本語で話し始めた。


陽気な人がいるもんだなぁとその場を後にしようとしたとき、気づくと私は3人の巨漢の男たちに囲まれていた。

すると、先ほどまで陽気にしゃべりかけてきた2m野郎が、

「We are rappers. So I want u to listen our song.」

と言って、CDを渡してきた。


私はヒップホップには興味がなかったので、ノーサンキューとだけ伝え、その場を去ろうとした。
しかし2m野郎は、CDを受け取るだけでもいいからと言ってきかなかった。

しぶしぶそのCDを受け取ろうとすると、先ほどまで「Free! Free!(無料だよ!)」と言っていた黒人が急に、「Fee.(チップくれ。)」と言ったのだ。一度だけ。


私は英語は苦手だが、発音が変わったことはすぐに気づいた。
これを受け取ったらチップをせがまれると思った私は、走って逃げようとした。

しかし、囲んでたうちの一人の歯抜け野郎に腕をつかまれ、

「Don't run away bro.」

と言われた。


何よりも怖かったのは、歯抜け野郎が持ってるカバンの中で拳銃を握りしめてるのが見えたことだ。
生まれて初めて生の拳銃を見た私は、相当パニックになった。

助けを求めようと周りを見渡すと、皆冷たい目をしてこちらを見ている。近くに警察もいたのだが、警察ですら見て見ぬふり。

(自分の身は自分で守れとはこういうことか…。)

私はどうこいつから逃げようか必死で考えていた。

その時、目の前にZARAがあることに気づいた。
(FOREVER21だったかもしれないが、焦りすぎてあまり覚えてない。)

私は歯抜け野郎の手を振り払い、必死に店に駆け込んだ。


奴らは店の中までは追ってこなかった。



<数分後…>


外に出てあたりを見回すと、奴らは違うアジア系の観光客に自分と同じことをしていた。

後日、日本に戻ってからこのことを調べると、どうやらラッパーのCD押し売り詐欺に巻き込まれたらしい。
拳銃も相手をビビらせるためのものだということも分かった。


この経験を機に、自分の知らない世界に足を踏み入れるときは、前もってちゃんと調べてから行動に移すことを学んだ。


この記事を読んでる皆さんも海外に行く際は、スリや置き引き、こういった詐欺があるかもしれないのでくれぐれもお気をつけください。

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