波瑠の主演映画「ホテルローヤル」感想
朝ドラの「あさが来た」(2015年)以来、波瑠が出ているTVドラマや映画はできる限り観るようにしている。「グラスホッパー」(2015年)も「流れ星が消えないうちに」(2015年)も「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」(2018年)も観た。(「コーヒーが冷めないうちに」(2018年)は見損ねた)
今年の3月に公開されていた「弥生、三月-君を愛した30年-」はコロナ禍で見逃したので、今回の「ホテルローヤル」は公開されたらすぐに観に行こうと思っていた。
「羅小黒戦記」を観た次の日、「やっぱり映画はいいな~」と改めて感じたのもあり、2日連続で観に行った。「ホテルローヤル」は公開3日目。ちょうど「映画の日」で安かったのものはラッキー。
誰にも言えない秘密や孤独を抱えた人々が訪れる場所、ホテルローヤル。そんなホテルと共に人生を歩む雅代が見つめてきた、切ない人間模様と人生の哀歓。誰しもに訪れる人生の一瞬の煌めきを切り取り、観る者の心に温かな余韻と感動をもたらす。
私が観る映画を選ぶ基準は「出演している女優に興味があれば観る」「いなければ観ない」で、観ると決めたらざっとした紹介記事は別として、なるべく予備知識を入れずに観るようにしている。
この映画の場合、ラブホテルを舞台として、何組もの登場人物が入れ替わり登場し、さまざまな人間模様を演じていく喜劇だと思って観に行ったが、どっちかというと悲劇だった。
意外に長い期間を描いた大河ドラマで、さまざまな人にさまざまな事が起こり、次々に退場している中で、波瑠が演じる主人公だけが変わらずに淡々と過ごしている。
いろいろあった最後に、松山ケンイチとのラブ(?)シーンがあり、そこで遂に「胸が痛い」「悲しい」と言う感情の動きがあり、それでも、主人公は(表面上は)変わらず、舞台であった「ホテルローヤル」を去って行く。
カタルシスを感じるような場面はなく、異なる時代の人物が同じカットで描かれる演出がやや難解だったが、北海道の自然の移り変わりと共にホテルの「生涯」が静かに描かれていて、観終わった後にしんみりした気分になった。
波瑠は、どんなタイプの女性を演じても作ったように見えないのが凄いと思うが、個人的には「サバイバル・ウェディング」の婚活OLが好きだったので、コメディーをもっと観てみたい。