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【AI活用】DifyでLLMを組み込んだSEOモニタリングツールを作ってみた

割引あり

SEOモニタリングはWebマーケターの基本的な業務の一つです。検索キーワードに対して自分のページの順位をモニタリングして、上位表示されるように調整していきます。
Ahrefsなどツールは様々ありますが、小さなチームで使うには割に高額ですし、成果物をスプレッドシートに整理するために手間が発生することもしばしばです。

また生成AIの時代ですから、検索順位を見るのはもちろん、その先のコンテンツ改善の示唆までAIで考えられるといいですよね。
ということで、Dify × スプレッドシートで作ってみました!

キーワードと自分のページ情報を元に、Web検索時の順位と検索上位ページと比べた自分のページへのアドバイスを出力しています。

今回は、ノーコードでAI機能を作れるDifyと、皆さんも使い慣れているスプレッドシートを活用して、生成AIのアドバイスまでを組み込んだ、SEOモニタリングツールの作成方法をご紹介します。
少しコーディングの要素もありますが、アプリデータを配布もしておりますので、非エンジニアの方も是非チャレンジしてみてください。

ツールを作成する具体手順

1. 目的を明確化

ツールを設計する際にまず行うべきは、ツールの目的の特定です。
今回の目的は以下とします。

  • 検索キーワードに対する自社ページの順位確認

  • 上位ページとのコンテンツ比較と改善点の抽出

2. IA設計:目的を果たすための入力情報と、出力情報を設計

今回はDifyとスプレッドシートで作ってみるという部分は決まっているので、スプレッドシートにどんな情報を置いて、Difyでどのようにそれを処理して出力するか、を考えます。

  • 入力情報

    • キーワード

    • 自社ページのURL

  • 出力情報

    • キーワードでGoogle検索した際の、自社ページの順位

    • 上位3ページのURLとコンテンツ分析結果

これが実行できれば目的が達成できそうです。

スプレッドシート上ではこのようなイメージになります(記入しているリストはDifyラボの記事です。)

3. Difyアプリの作成

最終的な完成イメージはこちらです。

それほど大きくなく、シンプルですね!

処理の流れは以下のような形です。

  1. キーワードからWeb検索を実行

  2. 自社ページのURLからページコンテンツを取得(Webスクレイピング)

  3. 検索結果から自社ページの順位と上位3ページのURLを抽出
    正確に比較したアドバイスを出すため、上位3ページに自社ページが含まれていた場合はそれを弾いた2つのリストを返すようにしました

  4. 抽出したURLから3つのページのコンテンツを取得
    ここではイテレーションブロックを活用しました

  5. LLMを用いて自社ページと上位ページのコンテンツを比較し、アドバイスを生成

具体的なブロックの内容については、いくつか抜粋で紹介しますね。有料部分にはDSLを配置しておりますので、ぜひそちらもご利用ください。

開始ブロックでは、検索ワードとしてkeywordsと、自社ページとしてmy_pageを入力フィールドで設定しています。
Web検索部分は前回の記事でご紹介した、SerperをAPIから実行する方法を利用しました。
LLMブロックは上位ページと自社ページのコンテンツ内容を渡して、課題や改善点を特定のフォーマットで出力させるようにしています。ここはプロンプトを調整すれば、フォーマットを変えたり、観点を設定したスコアリングの形にしたり、様々なカスタマイズが考えられますね。
終了ブロックでは自社ページのランキングとしてmypage_rankと、アドバイスとしてadviceを出力しています。

作成できましたら、「公開する」をクリックして公開後、「APIリファレンスにアクセス」→「APIキー」と進み、APIキーを発行してひかえておきます。

4. スプレッドシートとの接続設定

手前味噌で恐縮ですが、私たちが開発したツール「スプシディファイ」を活用することで、ノーコードでラクに接続することができます。(*利用しない場合は、GASを作成して設定する必要があります。)

スプシディファイをインストールしましたら、作業するスプレッドシートを開き、以下のように設定します。

右のパネルでツールを作成し、先ほどひかえたDifyのAPIキーを入力します。
入力範囲と出力範囲も上記のように設定し、実行します。

ツール完成!出力内容を確認!

それでは出力結果を確認していきましょう。

C・D列に順位とアドバイスがしっかり出力されていますね!

念の為順位が正しいか、シークレットブラウザで検索して確認してみましたがしっかり測定と同順位でした。
AIアドバイスについては、正直これはかなり可能性を感じました。もちろん、このままではまだ本当に実務で使えるかというともう一歩です。例えば上記の2行目に配置してある「dify 検索 ツール」が5位の件ですが、このページより上位のページは3/4がDify公式のページで、1/4がDifyのツール紹介のnoteページだったので、この2種類は分けてSEOの課題を検討して改善する必要があります。そこまでの分析はまだできていません。
ただこれもアドバイスの観点をシャープにし、プロンプトを調整することで改善できることになります。

つまり、業務の要点を言語化できる人であれば、マーケターは自身の知的労働を自動化できるようになった、ということです。

その他今回の取り組みで気づいた改善のアイデアをメモしておきますね。ぜひご自身やチームの方の業務に合わせて実験してみてください。

  • アドバイスを長文ではなく観点を決めたスコアとして出力することで、取り組むべきキーワード・ページを定量的に評価して取り組みに繋げる

  • 特定の競合の順位もあわせて計測し、負けているページへの競合と比較したアドバイスを出力し、取り組みに繋げる

まとめ

Difyとスプレッドシートを組み合わせることで、以下のメリットが得られました:

  • コスト効率:高額なSEOツールを購入せずに、効果的な順位計測・施策検討が可能

  • 効率化:データ整理や順位確認の作業が自動化され、時間の節約

  • 具体的な改善提案:LLMを活用したコンテンツ改善のアドバイスが得られる

このツールを活用することで、マーケターやSEO担当者は、より戦略的・効率的にSEO対策を進めることができます。ぜひ、ご自身や組織のSEO業務で活用してみてください!ばちばちDify活用していきましょう!

なお本記事で紹介しました「スプシディファイ」は、SEOモニタリングなどのユースケースにおいてますます利用しやすくするため、今後のアップデートとして定期実行機能を実装予定です。お楽しみに!(定期実行機能はサーバーコストが高額になるため有料機能となる予定です。)

有料部分

今回は作成したDifyのDSLを配布しています。時短したい方、また私たちを応援してくださる方は是非ご購入ください!

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