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2023読書感想文①(1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書)

読書に関する記事として、昨年は2件書いてみました。
読書のススメ(22年上半期面白かった本の紹介)
読書のススメ(22年下半期面白かった本の紹介)

本を読むのは好きなので、夏休みの宿題の定番である読書感想文も昔から苦ではありませんでした。そのため、noteの1記事で数冊の本の感想をまとめようとすると、かなりの要約になってしまって、消化不良感がありました。

・この本を読んだ後に、こういった変化があった。
・この登場人物は、きっとこう考えていたと思う。
・そもそも何でこの本を読みだしたかというと など、
おもしろいなーと思う本について紹介したり、ここがぐっと来たという感想をまとめるには、それなりのスペースがいります。

そこで、今年は試行的に1カ月に一度、面白いと思った本1冊を取り上げて、その本だけの読書感想文をnoteに挙げてみようと思います。

1月は、1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(藤尾秀昭 監修)です。

1 3行で感想

その道のプロフェッショナルの仕事への向き合い方や、苦難を乗り越えた方の人生論など、生き方に関する指南書。365話すべてが刺さるわけではないけれど、読めば人生を変える一文もあるかもしれない。

2 読み始めたきっかけ

昔から、他人の仕事論を読むのが、結構好きです。仕事に対する向き合い方であったり、どうしてその仕事が好きなのか、続けていられるのかなどが書かれたものは読んでても、夢中になれます。

その理由は、仕事は人生と直結している部分が多いからだと思います。私は公務員ですが、大体月に20日、1日に少なくとも8時間は仕事をしています。160時間なので、自分が持っている総時間のうちの大体2割強は仕事をしている状態にあります。

人生の貴重な時間のうちの2割を占める貴重な仕事の時間をどうせだったら充実させたい。
→ただ充実のさせ方が分からない。
→充実しているであろうプロフェッショナルの仕事論を見てみよう。
本の中でも仕事論に関する本を好きになったきっかけは、上のようなものであったと思います。

そんな自分に、義父が今回紹介する本の出版元である致知出版社を紹介してくれました。

致知は、「いつの時代でも仕事にも人生にも真剣に取り組んでいる人はいる。そういう人たちの心の糧になる雑誌を創ろう。」という理念のもと、毎月、読む人の仕事力を高めるような様々な著名人や逆境を乗り越えた方のエピソードやインタビューを掲載しています。

致知は、普通の書店で販売はしておらず、読むには購読契約をする必要があります。数年前に、義父から2年間の購読をプレゼントされ、その後も自分で2年間購読を続けました。合計で4年間読んだ後に、他にも読みたい本がどんどん貯まってきたこともあって、購読を中断しました。

この本は40年以上に渡って、月に一度出版されてきた致知に掲載されている数多の仕事論の中から、365話に絞り込んでまとめたものです。しばらく読んでいなかった致知の中から、編集者がこれは!と思う仕事論を知りたく、読んでみようと思った次第です。

3 感想とポイント

この本に収録されている365話、全ての話に共通するのは、逆境を乗り越えた、苦難に打ち勝った、凄まじい実績を残したといった成功体験を掲載しています。

それぞれの持つ経験からの、仕事論であるため、一話一話が全く異なった価値観で書かれています。そのため、中には、今の自分には理解できない考え方、もっと言えば、一生分からないだろうと思う考え方もあります。

例えば、古豪と呼ばれ、かつての栄光を取り戻そうと奮闘する監督の話では、基本的な躾を身に着けさせるために、雑巾も使わせず、素手で自分が汚したトイレ掃除を命じたエピソードが紹介されています。

他にも、数年間、ほとんど寝ないで仕事(修業した)していたため、家にはほとんど帰らなかった。本当にやりたいことが分かったため、家族の反対を押し切って、今ある仕事を辞めた、など、正直なところ「いやいや、本人は良いかもしれないけど、周りの家族は幸せだったのか。」と思うような話も多くありました。

そういう意味で、自分は、この本でいうところの本気になっていないし、本物のプロフェッショナルにはなれないと感じました。

何かを極めたり、その道の第一人者となるには、何かを差し出すことが必要になるときがあります。それは、家族との時間だったり、周囲の理解だったり、巨額の財産かもしれません。

さらに、それらを差し出してもなお、夢破れる人は沢山います。きっとその人は、致知にも載らず、呪いを背負ったまま生きているか、今もなお夢を追いかけているのかもしれません。

自分が仕事に対して全くの不真面目、不誠実だとは思いませんが、こうしたリスクのあるチャレンジをしているプロと比べれば、真剣ではないのかもしれないなと思います。

そのため、まず、私がこの本を読んで感じたのは、圧倒です。きっと自分は何ものにもなれないという諦観のようなものを感じました。そして、人間ってここまで突き抜けることができるのだなという自分の想像力を打ち破ってくれる力を感じました。

例えば、この本では、ある囲碁棋士の談話が掲載されています。プロの棋士は、朝から夜遅くまで対局が続くことがあり、頭をフルに回転させていることから、体重が2~3キロ一度の対局で落ちてしまうことがあるそうです。そしてへとへとになった後でも、自らの対局を寝る前に反芻したり、疲労困憊の自分を叱咤激励して、インターネットで碁を打ったりするそうです。

勝負の世界にいる人の負けず嫌いさを物語るストーリーですが、自分はおそらく逆立ちしても、そうした努力はできないでしょう。まさに人生のすべてをかけている人だからできる努力です。

きっと自分にはできないけれども、やれる人がいる。そうした物語を知ることで、自分の可能性も少しは広がるのではないかと思います。

「あそこまではいけないけど、もう一歩くらいは。」
「あの人はここまでやっていた。その半分くらいならできるのではないか。」

頑張らないといけない時に、めげそうになる時に、少しだけ背中を押してくれるような物語が、この本にはいくつも眠っていると思います。もしかすると、この本の一つを読んだことで、少しだけ努力が増えて人生を変えるかもしれません。

そんな大げさでなくても、この本からくみ取れるものがあります。自分の仕事論や大切にしたいことをピタッと当てはめるような一文が見つかることです。

「散ることを知りながら咲くことを恐れず」
原文は「拝啓 サクラさく」(黒田征太郎 絵 日暮真三 文 )からだそうで、女優の宮沢りえさんが紹介して有名になりました。この言葉を知ったのも、致知がきっかけです。

何かを始めた時には、失敗することもある。けれどもそれを知ってもやるべきことだってあるんだ。桜が美しいのは儚く散るからだという言葉は聞いたことがありましたが、この言葉は、より前向きで自分は好きだなと思いました。

「金がないから何もできないという人間は、金があってもなにも出来ない人間である。」
宝塚歌劇団を起こした実業家の小林一三さんの言葉です。これもこの本で紹介されていますが、印象に残った言葉です。お金は大事だけど意志がなければ浪費しておしまいだろうし、その人自身が変わらなければ、意味がないと、先行きの見えない昨今だからこそ、余計に響くものがありました。

こうした人生訓や座右の銘的なものでなくとも、「正射必中」は、高校時代の弓道部を思い出しましたし、人を叱るための3つのコツは、子育て中の今の自分にはぴったりの内容でした。

多くの内容を網羅しているからこそ、今の自分にピタッとはまるような一言が見つかると思います。

4 まとめ

この本を読む人の職業はバラバラでしょうし、その人の状態もそれぞれです。暇だから手に取った人もいるかもしれないし、藁をもすがる思いで読んでいる人もいるかもしれません。

何が刺さるかは分かりません。私は斜め読みだった箇所は、誰かにとって人生を変えたページとなるかもしれません。この本は365人の色々なプロフェッショナルが、それぞれの立場から信条を述べているからこそ、共感できるポイントに巡り合える可能性が高いとも言えます。

ただ、「すべてのページが学びになる!」と期待をしすぎず、きっと数ページ、今の自分を肯定してくれるものがあると思って読んでおくと、「読んでよかった!」と思えるのではないでしょうか。

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