令和元年度国民生活基礎調査:”体の気になる症状”第1位:腰痛について。
こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。
前回、肩こりに関して記事を書きました。
今日は、令和元年度国民生活基礎調査で、
43項目ある症状の中の第1位、
”腰痛”
について書いていきます。
僕も腰痛症を持っている1人。
椎間板の水分が抜けて、
MRIで真っ黒に写ります。
疲れると、腰に違和感が。。。。
腰痛で悩んでいる人、
ぜひ、読んでください。
そして、改善につながる
”知識”を得てくれると嬉しいです。
腰痛診療ガイドライン2019から腰痛の基礎情報を知る。
まず、腰痛とはなんなのかを知りましょう。
自分の腰痛の症状が
”どのようなもので、何が原因か”
をかを知ることで、
その対策が見えてきます。
次に、腰痛を改善する方法
・薬物療法
・物理療法
・運動療法
に関しての研究報告について触れていきます。
日本整形外科学会
日本腰痛学会
が監修した
腰痛診療ガイドライン2019
を参考に話を進めていきます。
(内容は抜粋したものも含みます。)
腰痛の定義/分類
●腰痛の場所による定義
体幹後面(第12肋骨と臀溝下端の間)に痛みがあり、
一日以上、痛みが継続している。
片側、もしくは両側の下肢に痛みがある場合もある。
(お尻から脚に痛みや痺れがある場合は、
神経が関連している場合あり)
胴体の後ろ側(腰)に
痛みがあるかどうか。
当たり前のことですが、
場所で腰痛かどうかを判断します。
腰に痛みがないなら、
それは腰痛じゃありませんよね。
ただ、結構、
”お尻や脚にも違和感を持つ場合”
が多いと思います。
骨盤周辺から、脚に向かって
繋がっている筋肉が多いですからね。
腰痛と連動することは多々あります。
●発症からの期間による定義
急性 :発症から4週間以内
亜急性:発症から4週間以上、3ヶ月以内
慢性 :発症から3ヶ月以上
時期によって、対応が変わってきます。
・急性期⇨安静にすることと冷やすこと。
・慢性期⇨痛みを伴わない運動と温めること。
が基本になります。
●原因による分類・定義
・脊椎由来
・神経由来
・内臓由来
・血管由来
・心因性由来
・その他
背骨やその周辺の筋肉に、
何らかの問題がある場合がほとんどです。
ただ、
・悪性腫瘍
・感染症
・骨折
・重篤な神経症状
などが原因の場合もあり得ます。
強い痛みや、痛みがひかない場合は、
医療機関での受診、そして鑑別が必要です。
MRIなどによる画像検査
血液検査など
が必要になる場合もあります。
たかが腰痛の侮らないことです。
痛みは重要な”サイン”。
ほんとにしんどい時は、
迷わず専門医の診察を受けましょう。
しっかりと原因を突き止める。
これが改善への第一歩です。
腰痛の経過(痛みの変化)
腰痛の症状や治療の有無など、
条件が完全一致していないので、
比較は難しいという前提はありますが、
腰痛の臨床経過に関するレビューによると、
●急性腰痛の患者
痛みのスコア:平均52
6週間後 ⇨平均23に減少
26週間後⇨平均12に減少
52週間後⇨平均6に減少
●慢性腰痛の患者
痛みのスコア:平均51
6週間後 ⇨平均33に減少
26週間後⇨平均26に減少
52週間後⇨平均23に減少
ともに改善はしていくが、
慢性腰痛を持っていると、
痛みや違和感が残ると報告されてます。
急性期にきちんとケアをすること。
慢性になることを予防することが大前提。
もし、慢性になったら、
なかなか治癒が難しくなると認識しましょう。
腰痛が長引く要因
腰痛が改善しない理由には、
・治療の有無
・栄養状態
・生活スタイル
・身体活動量
などなど
さまざまなことが影響を与えます。
・きちんと治療すること
・栄養をちゃんと摂ること
・適度に体を動かすこと
・きちんと睡眠を取ること
といった、生活習慣を整えることが
腰痛改善につながることは間違いありません。
また、レビューの中には、
・心理社会的要因の関与
も触れられています。
”症状回復に対する
マイナス思考を持つ患者”
の場合、
”12週間以上、通常業務に復帰できてないケース”
が比較対象グループの2倍になると報告されてます。
他にも
痛みに対するネガティブな思考は、
”経過不良と関連し、
機能障害や日々の生活、
仕事/労働に制限をかける傾向がある”
と示されています。
「病は気から」
ではありませんが、
”自分の腰は良くなる”と、
前向きに考えることが大切。
(そう思わせてくれる
治療家と出会うことが大切ですね。)
腰痛の慢性化、再発の因子
ガイドラインによると、
以下のような方は
・腰痛の慢性化
・腰痛の再発
がしやすいとのこと。
・過去の腰痛の発症歴
・加齢/肥満
・喫煙
・うつ病
・認知機能障害
・170cm以上の高身長の女性
・重量物取扱に従事している人
あなたはどうでしょう?
既往歴があると、再発しやすい。
これはどんな病気もそうですよね。
やはり、普段からの予防が大切。
・年を重ねると身体機能が弱くなる。
・肥満になると、余計な負担が体にかかる。
・喫煙・飲酒・心因要因など、体にマイナスになる項目
は腰にも悪いということです。
当たり前と思えることを
どうやって解消していくのか。
大切なことです。
高身長の女性に多いというのは、
骨格を支える筋肉量が
どうしても足りなからの推測できます。
重量物を扱う仕事に従事している人は、
腰に負担がかかることを普段から行っているということ。
今は、機械化が進んでいる業界もありますが、
職種によっては、まだまだ肉体で行う業務もあります。
いかに腰に負担をかけずに業務を行うのか。
正しい姿勢を保持しながら業務にあたるなど
心がけることがあります。
多くは日々の習慣で予防できるものです。
・必要な栄養をとる。
・適度に運動をする。
・きちんと休養をとる。
・体に必要ないものは控える。
ダイエットにも通じる部分ですね。
腰痛の改善・予防に役立つこと
腰痛改善には、
・運動習慣
・年齢が若い
・良好な健康状態
・身体機能が高い
・精神的機能が良好
などが影響を与えると報告されています。
年齢はあらがえないですが、
それ以外のことは、取り込みを変えていけます。
繰り返しになりますが、
・必要な栄養をとる。
・適度に運動をする。
・きちんと休養をとる。
・体に必要ないものは控える。
です。
また、ガイドラインで示されている、
影響を与える4項目にも触れていきます。
●体型
「標準体重が一番好ましい
BMI18〜25」
低体重(痩せすぎ)でも
肥満でも、腰痛発症と関連性があり。
痩せている(筋肉量が少ない)と
体幹(背骨)を支えることが難しくなり、
太っていると、
背骨に余計な負担をかけてしまう。
バランスの良い体型が、
一番健康的と言えます。
実際、あらゆる生活習慣病が、
BMI適正範囲内にあると発症率が低いです。
(BMI:22が一番発症率が低いので標準体重とされてます。)
●飲酒/喫煙
「研究数が限定的だが、
喫煙や飲酒も腰痛と関連あり。」
ニコチンやアルコール自体が
どうこうというよりも、
こういう生活習慣が肥満や
基礎疾患につながる。
そうすると、生活習慣が崩れるので、
腰にも影響が出るということだと思います。
全てはリンクしているということです。
●運動習慣
「運動をしないグループの方が、
腰痛のリスクが増加する。
運動と腰痛予防には関連あり。
適度な運動を取り入れた生活習慣が推奨される。」
これは言わずもかなですね。
特に慢性腰痛で悩んでいる方は、
体幹部分の強化や、
股関節周辺の柔軟性は重要です。
●マインドフルネス/ストレス低減
「ランダム化比較試験で有効と報告
社会的因子も影響する。
仕事のストレスも腰痛改善に
マイナスに影響と報告があります。」
何らかのストレス発散方法、
瞑想やリラクゼーションは活用できそう。
穏やかなストレスの少ない生活の方が
腰痛の予防につながると示されています。
これも喫煙・飲酒と同様で、
直接的というよりは、
間接的に腰に影響が出る
ということだと思います。
いろんな調査・研究で出ている傾向です。
そこに相関関係はあると言えます。
腰痛を予防するなら、
やはり見直す部分です。
腰痛治療/予防対策に関するよくある質問
このガイドラインには、
よくある腰痛に関する質問に
対する回答をまとめています。
研究報告の内容などを確認して、
・科学的根拠が強いもの、
・監修している専門家が推奨できるもの
をまとめてくれています。
すごく参考になります。
ということで、腰痛の治療に関わる、
・薬物療法
・物理療法
・運動療法
に関することをまとめていきます。
●腰痛に対する薬物療法
全体として、
「投薬は疼痛減少や機能改善に有用」
とまとめています。
以下は、現段階で最も効果が
期待できる薬剤です。
<急性期腰痛に対する推奨薬>
・非ステロイド性抗炎症薬
<慢性期腰痛に対する推奨薬>
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
・弱オピオイド
・非ステロイド性抗炎症薬
<坐骨神経痛に対する推奨薬>
・非ステロイド性抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬は、
急性期、慢性期、神経痛に対して、
有効性が高いと報告する論文数が多いとのこと。
薬を処方してもらったときに、
ちょっとチェックするといいですね。
●腰痛の治療(物理療法や装具の使用)
腰痛のお持ちの方は、
リハビリや接骨院などで
治療やケアを受けている人も多いと思います。
主な治療方法は、
・牽引療法
・超音波療法
・TENS(電気治療)
・温熱治療
・コルセット等の活用
などです。
ガイドラインによると、
「有用な物も存在するが、
高品質な研究は少なく、
推奨される治療法は限定的である。」
となっています。
研究報告によると、
どの治療も、
”そこまで大きな有意性が見られない”
ようです。
また、専門家の方たちの意見も、
どの治療に対しても、
「行うことを弱く推奨する」
といった意見になっています。
いくつかの研究報告を比べたものなので、
このガイドラインは信用度が高いと感じています。
でも、この結果は、ちょっと意外・・・・
僕自身も少しだけですが、
物理療法の勉強もしました。
また、実際に自分の腰のために、
整骨院や鍼灸院に
お世話になったこともあります。
それなりに、効果を体感しています。
物理療法自体の効果とプラスして、
「施術者にケアしてもらっている」
というメンタルの部分もあるのかなと。
プラセボじゃないですが。
物理療法等で、
トータルで痛みの軽減や、
状態の改善につながるなら、
活用はアリと個人的に思います。
●運動療法の有効性
「慢性腰痛に対する運動療法は有効。」
これは、間違いですね。
・薬の処方のみ
・薬の処方と運動(体幹トレーニング+ストレッチ)
のグループで比較したん場合、
運動を含んでいるグループの方が、
腰痛関連の生活の質が、
有意に改善していると報告されています。
運動指導に関わる者として、
はっきりとエビデンスや専門家の意見の
サポートがあると頼もしい。
慢性腰痛の改善・予防に向け、
自信を持って、運動を提供していきます!
ただ、急性期腰痛の場合は、
「運動療法に関するエビデンスが不明」
とまとめられています。
運動療法での効果や患者の満足度など、
有意な効果は認められず、
日常生活を継続することが
唯一、有益な介入だったと報告されいます。
急性期ややはり無理をするなということですね。。。。
治療に専念がいいと思います。
まとめ。
専門家が監修しているガイドライン。
腰痛で困っている人には、
とても有益な情報です。
いろいろな調査・研究を
まとめてくれているので、
科学的根拠に基づき、
・関連があること
・有意性があること
を教えてくれます。
(公財)日本医療機能評価機能のサイト
で、さまざまな病気・傷害のガイドラインが確認できます。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
腰痛に関しては、
・医療機関の受診
・自分の症状にあった治療
・腰痛の予防のための生活習慣の改善
これに尽きると思います。
腰痛自体で外科的な手術をするケースは稀です。
(骨自体に問題がある、内臓疾患を伴うなどは別)
基本的には保存療法。
処方薬と物理療法がほとんどです。
それ以外は、自分でケアをしていかないといけません。
結局、
・栄養
・運動
・休養
・必要ないものを控える
が大切。
・タンパク質を中心としたバランスいい食事。
・適度な運動
・睡眠時間の確保
・瞑想などのマインドフルネス(ストレスマネジメント)
・喫煙/飲酒/暴飲暴食を控える
自分の健康維持・体型維持が、
腰痛予防につながります!
腰痛予防の運動は、
・体幹トレーニング
・ストレッチ
が定番です。
筋肉量/筋力の維持して、
背骨をサポート。
腰椎や股関節の柔軟性を確保して、
ストレスを分散って感じです。
ただ、姿勢保持という点では、
一般的な腹筋運動よりも、
スクワットやデッドリフトなどの
下半身トレーニングの方が有効です。
腰痛予防・改善のためにも、
ウェイトトレーニング、
ぜひ取り入れてください!
よろしければ、サポートをお願いします。情報発信するためのトレーニングセミナー開催費用や、ジュニア世代へのコオーディネーショントレーニング指導などの活動費として活用させていただきます。