「朝と夕」~句点(。)のない物語 ヨン・フォッセの世界
2023年のノーベル賞作家~
ノルウェーのヨン・フォッセの「朝と夕」
「革新的な戯曲と散文で、言葉にならないものに声を与えた」
これが受賞理由だとあとがきに書かれてあった
そう、
何もかもが優しかった
こんな文体は初めて
人の一生を朝と夕に例えている
わずかに140ページ余りの
句点( 。)の無い物語
決して、朝と夜じゃない。。
夕方~暮れそうで暮れないトワイライトの頃
朝が 誕生 ならば
夕は静止になった「死」=夜ではなく
生きてるのか死んでるのかあやふやな幻想的な頃だと思った。
静かに主人公ヨハネスの声に耳を澄ます
穏やかなヨハネスの言葉が
私の体を通過していく
第一部の朝
ヨハネスの誕生
母さんと父さんがいて、産婆さんがいて
シンプルに表現される誕生
フィヨルド、氷、湖、ノルウェーの地で
ヨハネスが生業として選んだのは父親と同じ漁師
第二部 夕
幻想の中で、
死にゆくヨハネスと一緒に時間を過ごした気がした。
とりとめもなく
ヨハネスが呟く言葉に泣けてしまう
どうしてこんなに心を打つの?
何がどうの、だからこうだじゃない
そして、残された家族も描かれていて、
亡くなった事実を見るのが怖い娘の言葉も響く
高齢の母がいる私にとって
あまりにも身近で、
あまりにも自分ごとのようで身につまされた
さあ~とうとう、
光の中へ、あの国へ 神様のいる天国へ行く時間になった
ヨハネスには、一番の親友が迎えに来てくれたが、
私もこんな風に死ねるのかな?と思うと
その世界が輝いて見えた。
作者フォッセは、アルコール依存症になってから
カトリックに改宗したらしいが、
登場人物など聖書の逸話も思い出した。
この本の装丁の美しさが、物語の美しさに重なった。
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