日本から2300km!!ウナギの壮大な大移動
日本人にとって馴染みの深いウナギ。
ウナギを食べる文化は江戸時代ごろから始まり、今まで日本人に親しまれてきた。
そんな日本文化の一つであるウナギは、将来食べられなくなるかもしれない危機にある。
日本における代表的なウナギであるニホンウナギ。
以下のグラフに世界のニホンウナギ漁獲量を示す。
グラフをみると一目でニホンウナギの漁獲量が減り続けていることが分かるだろう。1960年代の最盛期と比較すると、現在は10分の1以下までニホンウナギの漁獲量は落ち込んでいる状況だ。
このように、ニホンウナギは絶滅の危機に瀕しているとともに、ウナギを食べるという日本文化も消滅の危機にあるのだ。
1. ウナギの産卵場所が分からない!?
さて、早急な対策が必要となっているニホンウナギだが、その生態には多くの謎に包まれている。
最大の謎が、産卵場所が分からないことだ。
ニホンウナギの子どもはレプトセファルスと呼ばれており、透明で柳の葉のような形をしている。このレプトセファルスは日本から遥か遠く、フィリピン海沖で発見されるなど、ニホンウナギが外洋で産卵していることが昔から推測されていた。
しかし、外洋はとても広大であり、21世紀になるまで肝心の卵は一度も見つけられていない状況だった。
2. やっと見つけた!!ウナギの産卵場所
長年、見つかっていなかった。ニホンウナギの卵。
長年の調査を経て、2009年と2011年、ついにその卵が初めて発見される。
発見したのは、当時東京大学の教授で「うなぎ博士」の愛称でも知られていた、塚本勝己さんだった。
産卵場所を詳細な調査から推定し、そこで採取調査をした結果、見つけることに成功している。
ニホンウナギの卵はマリアナ海溝の西側、スルガ海山と呼ばれる海山の近くで発見された。スルガ海山は日本から2300km離れており、グアムの近くの海山だ。ニホンウナギは日本から遥々スルガ海山まで移動して、産卵していることが判明した。
ニホンウナギがなぜこのように遠い場所で産卵しているのか。まだまだ分からないことも多い。しかし、ニホンウナギの生態を解明する上で大きな一歩となったことは間違いない出来事だった。
塚本さんの研究で、ついに産卵場所が特定されたニホンウナギだが、その生態はまだまだ謎が多い。ニホンウナギがこれだけ急激に数を減らしている理由もまだ分かっていないのが現状だ。
日本文化に深く根付いてきたニホンウナギ。その文化を守るためにも、ニホンウナギの更なる生態の解明が期待される。