歴史上初めて好奇心を持って動ける時代の中で、私たちはどのように生きていくのか?
「世界に対して好奇心を持って臨んでいける、初めての時代にいるんですよ!今って。」
株式会社COTENの代表、深井龍之介さんは、自身の出演するPodcast「a scope #04」で上のように話す。
深井さん曰く、「今までの時代は99.9999999%の人が好奇心も持って探求するチャンスがなかった。でも、20年くらい前から自由に動ける時代になってきている」とのことだ。
そんな深井さんが、自身初の書籍、「歴史思考」を3月29日に出版した。
深井さんが代表を務める株式会社COTENは、世界史のデータベースの開発と、歴史を面白く学ぶCOTEN RADIOを運営している。
COTEN RADIOはリスナーが17万人以上いる大人気の音声コンテンツだ。2019年には第一回JAPAN PODCAST AWARDで大賞とSpotify賞をW受賞した。
今回出版した「歴史思考」は、これらの活動を通して、深井さんが伝えたい思いを伝えている。
1. 歴史の学習で悩みから解消されよう!
本書では、「歴史を学ぶことで悩みから解放される」ことが繰り返し強調されていた。深井さん曰く、悩みを持つ人は世間の「当たり前」から外れる人だと語っている。
親から伝えられてきた「当たり前」、会社で語られる「当たり前」。
そのような形で、私たちの中に刷り込まれている「当たり前」だが、歴史的に、その「当たり前」は本当に「当たり前」なのだろうか?
2.「当たり前」が覆されるエピソードの数々
現代の私たちを悩ませる、「当たり前」。
歴史を勉強すると、その「当たり前」を疑う力を身につけることができる。
本書では、私たちの「当たり前」が歴史上、「当たり前」でないといったエピソードが多数紹介されている。
例えば、世界最大の帝国「元」を築いた、モンゴルの英雄 チンギス・カン。
チンギス・カンが育った環境は、現代では想像できないような、過酷な環境で育っている。不毛な草原で生きるモンゴル民族は略奪や強盗が日常茶飯事だ。
チンギス・カンの名前はチンギスの父親が戦争で殺した敵の名前から付けられた。また、チンギスの母親は元々、別の部族からの略奪によって奪われてきた女性だった。
現代の「当たり前」では、想像のできない過酷な環境だ。
また、聖人として有名なマハトマ・ガンディー。
インド建国の父として、イギリス植民地からの独立の流れを作った。
多くの人から尊敬を集め、当時のインドでもガンディーの行動が大きな注目を集めるような有名人だった。しかし、ガンディーの周りにいた家族は、ガンディーに大きな迷惑を受けていた。
特に長男のハリラールは、ガンディーに大きく反発、聖人の息子とは思えないような問題行動を繰り返した後、最後はホームレスのようになり、路上でのたれ死んだという。
過酷な環境から世界最強の英雄になった人物もいれば、周りから尊敬されていながら、身近な家族から疎まれた英雄もいる。
歴史を勉強すると、当時の「当たり前」が今では信じられないことばかりだ。
3. 歴史を学ぶことは悩みを相対化してみること
再び「a scope #04」の話に戻ろう。
冒頭の言葉を話した後、深井さんはさらに続ける。
「人は自分と違うものを見ないと自分が分からない。」
「海外に行ったこと無い人が、日本のことをよく分からないのと同じように、歴史を知らないと、今の時代は分からない。」
つまり、歴史を学ぶことは、悩みを相対化して比べることを可能にするとのことと考えられる。
歴史の出来事と自分の悩みが比較できるようになることは、悩みから解消される最大の手法になるのではないか。
a scopeと歴史思考の二つを見聞きしながら、そんなことを感じた。