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街の人と農家をつなぐ架け橋となるため。街の人たちと一緒につくったドレッシングブランド「gocci」。

まるくぷりっとした瓶に、採れたての季節野菜がごろごろと入ったドレッシング。ドレッシングとは言ってはいるけど、ほぼ固形なので、スプーンですくってかけるしかない。パッケージはなく蓋を包むラベル紙のみ。しかも子供の落書きのような。
なぜ、このドレッシングはこんなにも固形なのか。なぜ、パッケージに落書きされているのか。今回はそのお話を少しさせてください。

勝山浩二 Coji Katsuyama | monodachi
合同会社オフィスキャンプ デザイナー/アートディレクター。1986年生まれ、大阪市出身。グラフィックを軸にした広告デザインやWEB、プロダクト、ブランディングなどを手がける。地域プロジェクトや企業ブランディングなどを手がけるデザイン事務所を経て、現在は奈良県奥大和地域にフィールドを移しローカルデザイナーとして活動。木材産地で地域にねむる林業や木工産業、農業、地域に関わる起業家たちと共にプロジェクトを進行中。




ドレッシングは謎の液体ではない


奈良県の北西部、生駒山を挟んで大阪との境目にある、生駒市にあるオーガニックカフェ&エシカルショップ「nijiiro*cafe(ニジイロカフェ)」が新しくつくる加工食品のブランド「gocci(ゴチ)」。

まるくぷりっとした瓶に、採れたて野菜がごろごろと入ったドレッシング。ドレッシングとは言ってはいるけど、ドバっとかけれない、ほぼ固形なので、スプーンですくってかけるしかない。いわゆるみんながイメージする液状の「ドレッシング」というものとはかけ離れたものでしょう。だからこそ、素材の味や食感がそのまま楽しめます。

これでドレッシング

ドレッシングの成分は、油+野菜汁 or 果汁(水分)+αでできている商品だということ。僕らが知ってほしかったのは、ドレッシングは謎の液体ではなく成分は比較的シンプルなものだということ。


街で育った子供たちは、土の中に埋まってるタマネギは見たことがない


gocciをつくるのは、大きな加工所があるドレッシングメーカーではなく、街のカフェの小さなキッチンです。自分たちにしかできないことではないかと、カフェで提供するサラダや野菜の仕入れ先の農家さんの野菜を、その特徴を残したまま(野菜をゴロゴロ残したり、輪切りにしたり)ドレッシングにしました。

JA農協に卸したりしない農家さんや、家族や近所のためだけに小規模でつくっている、いわゆる兼業農家さんたちも、生駒にはたくさんいらっしゃいます。ただ、規模が大きくないために、まちの人たちの口には入らなかったり。
まちの子供たちは、白菜は年中採れると思ってるし、土の中に埋まってるタマネギは見たことなかったり。

ぼくらのミッションはここにあります。

まちの中にあるたくさんの農家さんたちが、小さくて少なくても自分たちの作物が、地域の人たちの食卓に届くことで、これまでスーパーに並んだ野菜しか見たことがなかったまちの子供たちが、晩ごはんを食べる時に、農家のおっちゃんたちの顔を思い浮かべれるようになること…。野菜の得意な季節や旬を知ること…。
日本一野菜のことにめっちゃ詳しいこどもがいる地域になっていくこと…そんなことを夢に見ています。

トマトの苗を植えに
いちごの花


まちの人たちと一緒にパッケージデザインをつくる


今回、デザインも撮影もクリエイティブチームをすべて奈良の近いところで生活している、かつ、近い世代の人たちだけでつくりました。これはわりと初めの段階から決めていたことです。そんな人たちにこそ食べてほしいし、子供たちに伝えていってほしいから。すべて“つながり“です。

カフェに1ヶ月ほどスケッチブックを置いて「自由に描いてね」と言って、ラクガキしてもらい、それらを元にメインビジュアルやパッケージに使うイラストをつくりました。カフェに関わる人や地域の人たちと一緒につくったデザインです。
楽しげで賑やかなこと。子どもからお年寄りまで、みんなが共感を得て、親しみを感じてくれること。その2点を意識して作りました。「この文字は私が描いたで」「このイラストの野菜はワシの作ったやつや」というように、デザインをきっかけにして、街の人たちとの対話やコミュニケーションが生まれるきっかけになったと思います。

5歳の息子も手伝ってくれました

当初はイラストをカラフルにする案もあったのですが、あえてモノトーンに仕上げました。主役は農家さんの野菜。お店やブランドは脇役に徹するべきです。
ドレッシングの瓶も、できるだけラベルなどを簡略化させて、中身を見せるようにしました。その結果、「オレンジ?」「今度は何のドレッシングなの?」と近所の方が尋ねてくださるようになったのも嬉しいことですね。

デザインとは、デザイナーだけがつくれるものではありません。このデザインは、街の人たちすべてがクリエイティブに関われるきっかけになったのではないでしょうか。商品やブランドを通じて、その循環の中にいれることを誇りに思います。


ごちそうさま の意味


ごちそうを食べたときに思い浮かぶのは、ただの「美味しい」だけじゃない。

料理をしてくれたひとの顔はもちろん、野菜や果物が育てられている畑や、つくったひとの顔や表情なんかも浮かぶかも。そんな“つながり”を感じながら、手を合わせて言う結びの言葉。

「ごちそうさま」

gocciは「ごちそうさま」がつないでいく想いに、
いつも答えられる存在でありたい。
そう願っています。

gocci たまねぎのドレッシング
gocci にんじんのドレッシング

それでは、今回はこのあたりで。ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。また機会があれば他の記事も読んでください。




Client: kotonowa inc , nijiiro*cafe
Art director: Coji Katsuyama
Designer: Reika Ohara
Illustrator: Everyone in the Ikoma city
Photographer: Yuri Nakagaki

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