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古代より続く火山信仰の里🌋阿蘇市歴史さんぽ③ 【中岳火口】

こんにちは。今回は阿蘇市散策シリーズの3回目です。今回は年間100万人の観光客が訪れる阿蘇観光のハイライト•中岳火口をレポートします!中でも活発な活動を続ける中岳第一火口は、古より神霊池とよばれ、火山神•健磐龍命の神宮とみなされてきました。神霊池の異変は天下国家の変災の前兆として太宰府から朝廷へ報告され、その都度火口で祭祀が行われてきた歴史があります。そんな活発な第一火口ですが、今回はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。写真多めの散策実況形式でレポートしていきたいと思います❣️(5500字)

今回の散策地はここ!

因みに古代より阿蘇で行われていた火山信仰の歴史は①②で殆どお話しましたので、今回は歴史の話はあまりない散策記事となっております🙇‍♀️草千里ヶ浜と阿蘇市の歴史文化をご紹介したシリーズ①並びに古坊中と阿蘇山上広場の史跡をご紹介したシリーズ②、未読の方は是非宜しくお願い致します。↓


散策ルート紹介

前回ご紹介した阿蘇山上広場から、火口まで続く遊歩道を歩き、まずは手前にあらわれる砂千里ヶ浜をレポートします。その後、中岳第一火口に向かいます。歩いたルートは下記イエローのライン(園路)になります。↓ (画像は現地案内板より拝借したので、「現在地」は無視して下さい。)

画像から分かるように、砂千里ヶ浜から第1火口までの間に第2火口〜第7火口が連なるように存在するのですが、第2〜第7火口までは現在活動しておらず、どこが火口かよく分からなかったのでレポートは割愛させていただきます。因みに案内板によると、第1〜第4火口の間は地下で火道(マグマの通り道)がつながっているそうなので、今後それらの火口の活動が活発化する可能性はあるわけですね🤔

それでは阿蘇山上広場の駐車場から遊歩道を登りましょう👟早速、遊歩道入り口の手前に注意喚起の看板が↓

火山活動に関する最新情報を確認すること、噴火警戒レベルに応じた通行可能ルート以外には立ち入らないことなどの注意事項が書いてあります。更に特に注意すべき事項として火山ガスが挙げられています。喘息等の呼吸器疾患、心臓病をお持ちの方、妊婦、幼児は低濃度の火山ガスでも発作を起こす可能性があるため登山はお控え下さいとのことです。因みにこの日は噴火警戒レベル1でしたので火口見学できましたが、レベル2で火口周辺1km範囲立入禁止、以降レベルが上がるごとに立入禁止範囲が広くなりますので、いつでも火口見学ができるとは限りません。火口見学を計画する際は火口規制情報のこまめなチェックが必要になります💡※阿蘇火山防災会議協議会のサイトで確認できます。

実は私、噴火警戒レベル1とはいえ火口にはあまり行きたくなかったんですよね〜、何故なら活火山が恐いからです❗️(←ヘタレビビリ)しかし阿蘇の記事を書くにあたり火口の取材は避けては通れないので一念発起しました。(←大袈裟😅因みに小さい頃と、学生の頃に2度訪れていますので今回が初めてではないです。)実際昭和以降、噴火(噴石)による死者21名、火山ガスによる死者7名、負傷者100名以上の人的被害が発生しています。現在は常時監視体制が取られていて、観測技術も昔と比べて発達しているので滅多なことはないと思いますが、相手は偉大なる自然ですから気を引き締めて参りましょう!

一面に広がる荒涼とした景色を眺めながら車道と並走する遊歩道をトボトボあるきます。↓

火口までは結構遠いし(1.5kmくらい)、火山ガスのにおいも結局するし、やっぱり火口まで車で行けばよかったかなぁとだんだん不安になってくる私。いや、私気管支弱くないし、みんな楽しそうに下山してくるから全然大丈夫なはずだ!と自分を鼓舞しながら進みます。途中すれ違った下山途中のアジア系の観光客の方たちが、「青森に似てるよね。」と話していました。行ったことないけど、多分恐山のことかな?

登山道には噴火に備えて、所々に避難壕が設置されています。↓

避難壕の横の岩は噴石と思われます。デカっ!恐っ!

600mほど歩いたでしょうか。右手遠方に何やら案内板が見えますよ💡行ってみましょう🏃‍♀️

砂千里ヶ浜

ここが砂千里ヶ浜か〜💡以前中岳火口を訪れた際は真っ直ぐに第一火口に向かったので、砂千里ヶ浜散策は私も今回が初めてです💓

砂千里ヶ浜は中岳火口の南東部に位置する広大な砂漠状のエリアで、古い火口の跡と考えられているそうです。広大な砂漠に真っ直ぐ一本の遊歩道が延びています。↓こんな道があれば誰しも進んでみたくなりますよね!早速行ってみましょう👟

砂千里ヶ浜を覆う火山灰は黒っぽい色をしているのですが、これは中岳のマグマが玄武岩質であるためだそうです。そして、所々に噴火の際に飛ばされた火山弾が点在しているのも見所です。中にはこんなに綺麗な紡錘形を残した火山弾も!↓

大きさ50cmくらい。みんな珍しそうに写真とってました

しかし、ほとんど別の惑星に来たような光景ですね〜🪐映画の撮影とかにも使えそうだなと思ってネットで調べたら、黒澤明監督の「乱」のロケ地になったそうです。SF映画とかにも使えそうですよね🛸

さて、遊歩道には所々に解説板が設置してあります。その内、植生について書かれた一枚をご紹介します。↓

     火山荒原(かざんこうげん)
 中岳火口の周辺は、火口から噴出する火山ガスや、噴火活動に伴う噴石•火山灰の堆積などの影響で、植物の生育にはきわめて厳しい環境です。そのため、限られた種類の植物がまばらに生育する荒れ地状の土地となり、一般に「火山荒原」と呼ばれています。
 中岳火口の南側に位置するこの地域の火山荒原は、一見砂漠のような砂礫地で砂千里ヶ浜(通称"砂千里")と呼ばれています。ここにはイタドリやコイワカンスゲ•カリヤスモドキなどの植物が生育しており、現在地の周辺にはイタドリが生育する小砂丘(イタドリ塚)やコイワカンスゲが生育する小砂丘(コイワカンスゲ塚)が無数に見られ、特異な景観が広がっています。

解説板の写真を参考にして周辺の植物を見渡してみました。冬なので枯れ草になってて夏の写真と照合してもどれがどれだか分からないのですが、植物がお好きな方もいらっしゃるかもなので以下に写真を載せます↓

これがイタドリ??
このコケみたいなのがコイワカンスゲ??

そしてこの解説板を過ぎ、坂道を登り切ったら砂千里ヶ浜の縁に到着です。その高台から砂千里ヶ浜を見下ろした写真がこちら↓

思えば遠くに来たもんだ

因みにここから先は、砂千里ヶ浜の縁を歩いて中岳山頂•高岳山頂へと続く本格的な登山道が続きます。中世の山伏や行者達はこれらの登山道を縦横無尽に歩き回って修行に励んでいたことでしょうね。私は本格的な登山はとても無理なので、元来た道を戻って中岳第一火口へ向かいます🏃‍♀️車道沿いの遊歩道に戻って500mほど歩くと中岳第一火口見学エリアに着きます。

中岳第一火口

遊歩道沿いを歩いて、中岳第一火口を間近で見られるBゾーンの手前のCゾーンと呼ばる場所まで来ました。↓

ここから「火の国橋」を渡れば火口は目の前なのですが、その前にCゾーンには防災に関する設備•施設がいくつか存在していて興味を惹かれましたので見てみましょう!

まずは火の国橋のたもとに設置してあるパトライト付きの警告板↓

こちらは火山ガス濃度を自動感知し、パトライトで知らせる装置です。SO2(二酸化硫黄)濃度が5ppmを超えたら危険で赤ライトが点滅するみたいです。ここを含めて観光客が立ち入る火口周辺には6基の火山ガスセンサーが設置され、その場所の火山ガス濃度をリアルタイムで測定していて、SO2濃度が5ppmを超えたときそのゾーンを立入規制するという対応が取られているそうです。これによって平成10年以降は火山ガスによる死亡事故は発生してないそう。

次に、阿蘇山ロープウェー駅舎の跡地に去年完成した「阿蘇山火口避難休憩所」↓

こちらはトイレや休憩室がある休憩所のようですが、噴火災害の2次避難所となるよう設計されているそうです。(1次避難所は避難壕)エアカーテンや自動制御換気システムで火山ガスの流入を防止し、屋根は直径50センチの噴石の落下に耐えられる構造だそう。救護室も完備されているもよう。

そして、Cゾーンの北の端には火山ガス感知システムを運用する火口監視所があります。↓

更に火口周辺に設置されたスピーカーからは常に火山ガスへの注意を促すアナウンスが数ヶ国語で流れ、火口見学エリアには数名の監視員さんが配置されています。緊急時には観光客は監視員さんの指示に従って退避するようになっています。現在は万全な安全対策が取られていると知って、ビビリな私も少し安心しました。しかし大自然は人智を超えたもの。気を引き締めて行きましょう!それでは火の国橋を渡って火口を間近で見られるBゾーンへと向かいます。

画像の先の、観光客が立ち並んでいる場所が火口の縁です

そして、こちらが古来より阿蘇社並びに西巌殿寺の人々が崇め奉った中岳第一火口です✨↓

自分の影が邪魔ですが💦

エメラルドグリーンの神霊池(湯だまり)を期待していらっしゃった方には申し訳ないです。今回は湯だまりは干上がった状態でした。私もできれば神秘的な神霊池を見たかったんですが、活動が活発な第一火口は日々表情が変化しますので、神霊池が見られるかどうかはその時の運次第です。とはいえ、せっかくなので皆さまにも湯だまりの状態の火口も見ていただきたい!ということで、私が学生の時に火口を訪れた際に、懐かしのインスタントカメラで撮影した湯だまりの写真がこちら↓

この時も池の水位は低く沸騰していますので、これから今回のように干上がるプロセスの途中だったのかも。因みに、湯だまりの美しい色は、微細な硫黄(青)と二価の鉄イオン(緑)によるものだそうです💡

さて古来神霊池とよばれた湯だまりは、活動がもっとも穏やかな時期に雨水によってできるものですが、火口横の案内板が火口の表情の変化について分かりやすく解説していたので下記に引用したいと思います。↓

   中岳第一火口で地球の息吹を体感!
 中岳第一火口は、世界で最も火山活動が活発な火口の1つです。地下のマグマだまりから供給される火山ガスやマグマの量によって、湯だまりから土砂噴出、火口底の赤熱、ストロンボリ式噴火、マグマ水蒸気爆発まで、プロセスが進む度に火口の様子は一変します。活動がもっとも穏やかな湯だまりの状態でも、火口湖には約60℃でpHが1〜0の強酸性のお湯をたたえ、火口からは毎日1,000トン程度の二酸化硫黄などの火山ガスを放出しています。
 火口周辺では、常時二酸化硫黄のガス濃度を監視し、来訪者の安全を確保しています。また、火口の地下では、供給される火山ガスやマグマの量に応じた、火山体の膨張や火山性地震•微動などが観測されており、火山活動の監視や研究が行われています。この火口は地球の息吹を感じられる場所であり、火山研究と火山防災の取り組みの最前線でもあります。

現地案内板より
火山活動のプロセス。また影が邪魔ですが💦

上の案内板画像によると、この日(2023/12/10)の火口の状態は「②湯だまり減少」にあたるでしょうか。と、いうことは、今後活動が活発化して噴火するプロセスに移行する⁉️かどうかは専門家じゃないので分かりませんが、本記事を書いている2024年2月4日時点では、噴火警戒レベルが2に引き上げられており、火口から1kmの範囲は立入禁止、火口見学はできない状態です。(年末に火口散策済ませておいてよかった〜😮‍💨)

因みに案内板にも記載がありましたが、阿蘇山では京都大学火山研究センターと気象庁が主体となって、火山ガスだけでなく地震•空振観測、マグマの膨張による地面の膨らみの測定、湯だまりの温度測定や成分分析など様々な観測•研究が行われています。

あとがき

阿蘇山上広場から火口に向かって歩き始めた時は、不安もありビクビクトボトボとした足取りの私でしたが、砂千里ヶ浜と第一火口を巡って山上広場に戻る頃には足取り軽くリズムよく歩いている自分に気づきました。きっと火口(火の神)からエネルギーをもらったからだと思います💡そして人間の足は本来、大地を歩くようにできているんだと思いました。(注:とはいえ、呼吸器が弱い方や体調に不安がある方には火口見学はおすすめできませんが。)ちょっと火口周辺を歩いただけの私でさえそう感じたので、火口山麓に坊中を構え、年中中岳をはじめとする阿蘇の山々を歩き回っていた中世の山岳修行者達はいつもパワーが漲っていたことだろうと想像します。

現在は文明の力による精密な観測機器で火山活動を監視して噴火予測をし、安全対策に繋げているわけですが、常に火の神と共にあり五感が研ぎ澄まされていた昔の山岳修行者達は、五感と第六感で火山の変化を感じとり、噴火予知的なことが出来ていたのかもしれないと思いました。そのような能力が、山岳修行で獲得できるとされた超人的な験力というものに繋がるのかもしれないと感じました。

次回の阿蘇歴史さんぽ④は中世に栄えた古坊中が滅んだ後、加藤清正によって麓に再建された麓坊中(新坊中)の散策記事を投稿予定ですが投稿までに時間がかかる見込みです🙇‍♀️間に別の軽めの記事を投稿予定です。次回も宜しくお願いします❣️

阿蘇山上広場にある阿蘇山上ターミナル売店で売っている火山灰ソフトクリーム。名前のイメージとは裏腹に、黒ゴマ風味でとっても美味です!

最後までお読み頂き、ありがとうございました😊

【参考WEBサイト】
阿蘇市HP
阿蘇火山防災会議協議会WEBサイト
内閣府 防災情報のページ

アクセス情報と火口規制情報はこちらから↓


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