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知るための方法(知の理論)
大学院で学ぶ「学習のデザイン」、今回は知の理論です。人はどうやって知っているのか?について書いてみます。
8つの知る方法
知の理論の主題となる問いは、どのようにして私(もしくは私たち)は知るのか?ですが、知る方法は勉強をする以外でも色々とあります。
例えばチョコの味を知っているのは味覚を使っているから。りんごが落ちるのは万有引力の原理を知っているから。あの人が怒っているのは感情パターンを経験しているから、など。
授業ではこのような説明から始まりました。
私たちが何かをしっていると主張できるのは、それを説明するために、合理性を使うからであり、何かを感じるからであり、創造的に物事を捉えることができるからであり、通り名と言葉があるから。
この中はいくつかの知る方法論が含まれています。知の理論では8つの分類で整理されています。それは理性・感情・信仰・想像・知覚・直感・言語・記憶です。それぞれ掘り下げてみましょう。
言語
単語や音声などの言葉だけでなく、ジェスチャーも言語に含まれます。人との伝達を通じて、文化圏を超えたり次世代につなげたりもできます。
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言語化できている=知っているといえます。なので自分の言葉で説明できているかは、その人の理解度を把握するための尺度になれるので、レポートや口頭発表は学習評価にも活用されます。
ただし、言語だけでは理解できないこともたくさんあります。例えば「誰がいったか?」によって意味合いが変わります。
理性
論理的にものごとを考えることで、帰納的推論や演繹的推論な思考法がここにあてはまります。いわゆるロジカルシンキング的な側面です。
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現代社会やビジネスでは理性が重要視されますが、常に万能というわけではないことも理解する必要があります。科学的な方法論がすべてなわけではないからです。
例えば人文領域やスピリチュアル領域は、理性だけでは断片的にしか知ることができません。
感情
芸術を知るためには感情が不可欠です。なぜあのピアノの演奏は美しいと思えるのか、小説は引き込まれるのかなどは、理性や言語の方法だけでは知ることができません。
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あるいは倫理観も感情に起因します。何かに対して怒りを感じるのは、社会において不正が生じている倫理的判断によるものです。
信仰
ここでの信仰とは宗教だけではなく、信用していること全般に対して広く適用されます。たとえば、あなたがいま座っている椅子は、すぐに壊れないからだと信用している(知っている)から、座っているわけです。
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信仰=信頼と考えた場合は、人や何かの対象や関係、あるいは宗教があてはまります。任せてもよい(と知っている)という意識です。
信仰=信念と考えた場合は、宇宙や経済の先行きなど、まだ明らかになってなけどこうであるに違いないということがあてはまります。自分の意思で強く思っている(信じている)という意識が信仰との違いです。
記憶
知っていることのほとんどは、過去の経験を記憶しているからです。ただし記憶は正確ではないので、歪んでいたりだまされたりもします。
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新しい知識を知るには過去の記憶がベースになります。なので時系列や学習ステップを意識することはとても大事であり、人とAIの違いの1つであるともいえます。
知覚
これは極めて個人的な知り方です。視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚・痛覚・平衡感覚など、自分の身体の中で感じることなので、本当の意味で知覚したことを外化するのが難しい領域の知です。
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でも、感覚機能を高める方法はあります。顕微鏡で細かいものを視たり、メガネをかけて視え方を補正したりすることで、技術によって知る力を増大できます。
一方でどんなに知覚を高めても、理性の領域を知ることはできません。
直感
本能や虫の知らせなど、これも知る方法です。好き嫌いなど、直感は瞬時に知ることはできるけど、なぜそうなのかが自分でもよくわからない(言語化や証明ができない)という特徴を持ちます。
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直感はまったくの適当というわけではなく、生物として備わっている防衛意識だったり、蓄積された経験によるものだったり、何かしら要因はあるのだとは思いますが、因果関係に基づくものとはいえません。
想像
何かと何かを結びつけて、新しい何かを知ることが想像です。つくったり問題解決をするために重要な役割を果たします。
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自閉症の人にはすばらしい想像力を発揮することがありますが、この結びつけて知る能力に長けている場合があります。
学んだこと
授業では8つの方法を知ったあとに、エクササイズであるニュース記事をもとにディスカッションを行いました。これがとても面白かったのです。
内容は秘密ですが(知りたい人は大学院に行こう)、現代では言語や理性ばかりが重視されがちだと思っていたけど、社会の中では感情や信仰が重要な意味づけを持っているなど、単純なことではないんだなということを学びました。
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実際のところ、1つのものごとを知るために使われる方法は1つではなく、人はいくつもの方法を使って知ろうとしています。学習においても、知ることは単に言葉を増やしたり法則を覚えることだけではない、という視点を持つことができました。奥が深い。
今日はここまでです。
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