社会教育にもビジネスと戦略が必要である理由(社会教育経営論)
大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今回は社会教育士の資格取得に関する授業の1つ、社会教育経営論に関する内容です。
社会教育士とは
まずは社会教育士について、あらためておさらいです。教える人といえば学校の先生を思い浮かべますが、2者を比較して書いてみます。
学校教師:学校や教育機関で教える資格を持ってる人
社会教育士:学校以外の場で教える専門性を持っている人
なので、僕が取ろうとしている社会教育士は、学校で教える資格があるわけではないけど、学校以外の場で教える何かしらの専門性がある人として、文部科学省から資格が与えられるものです。
社会教育士の専門領域は人それぞれです。生涯学習が対象なので、防災・国際活動・地域交流・大人の学び・企業教育などなど、学びに関わるものすべてです。僕はデザインを専門として活動することになるのだと思います。(たぶんデザイナーとしての社会教育士はまだほとんどいないはず)
気になる方は資格取得を考えてみてください。
社会教育士に求められる専門性
社会教育士はまず、どのような専門性であっても、オーガナイザーとしての活動を推進することが求められます。
文部科学省のメッセージはこちら。
教育対象も何か1つの限定的な範囲ではなく、広く開かれた活動であるべきとされています。大きな観点でいうとこのような領域です。
人:子ども・若者・障がいがある人・高齢者・介護者・外国人…
めざす社会:多文化共生・ジェンダー平等・平和のあり方…
そうしたなかで、社会教育士に求められる共通スキルは次の3点です。
ファシリテーション能力
プレゼンテーション能力
コーディネート能力
企業であればこれらのスキルは、新規事業企画を立ち上げて実行するために求められる資質です。それと同じようなことが求められているので、社会教育士には、企業などで培った社会経験が強く活かされます。
教育にも経営視点が必要
もし社会教育士になれたとしても、安定した就職先があるわけではないし、実践できる場が用意されているわけではありません。
前にあげた公民館や図書館などの社会教育施設の議論をめぐっては「運営から経営へ」と、使われる言葉が変わってきているようです。ハコモノ行政への批判に代表されるように、ただ上から指示を受けてやるだけでは、地域や社会に根付かないものになり、税金の無駄遣いにもなります。
社会教育に関わりたい人は、何かの理想を描いているとは思いますが、今は慈善事業だけでできる余裕が現実ありません。
民間とは違う行政であっても、このような戦略的な活動が必要になっています。たぶんここが今の課題であって、行政主導だけではなかなかできない、でも民間出身の協力者が不足している。文部科学省が求めている人材は、ただ教えたがりの人ではなく、学びによる社会的効果を出せる人、ということではないかと思います。
なので、大学院ではこの経営論を履修することになっています。
学んだこと
M1前期の授業はもう終盤に入るので、とりあげた内容はいまさらではあるのですが、自分の忘備録の意味を含めて書いてみました。
社会教育士が増えることで、日本の学びがどう変わるのかは、僕はまだ正直なところ想像できないのですが、デザインを切り口に学校以外の場で、学ぶ機会を提供することの意義を考え続けてみたいと思います。
今日はここまでです。