人生の最後に心の友ができる、PERFECT DAYSとアメリカの友人の共通項
今年3月に滑り込みで「PERFECT DAYS」をロードショーで観ました。そして先日、Wowowで再び観ました。何度観ても考察に飽きたらない深みのある良質な作品だと思います。
ヴィム・ヴェンダース監督の古い作品で「アメリカの友人」という映画があります。1977年の作品です。テレビで放送した時にたまたま観てすぐに好きになりました。その後、繰り返し観ています。
アメリカの友人の原作は、パトリシア・スミス氏の小説。映像化でどこがアレンジされているのかは本を読んでいないため不明です。ただこの映画の核となる部分は、死期の近い一人の男性が望まない形で偶然出会った外国人男性と危険を共にしながら適度に距離を取りつつも心を通わせ、人生の最後の最後に親友に恵まれたことなんじゃないかと察しました。
死んだことにしている画家に絵を描かせ競売で売り捌くアメリカ人のトム(デニス・ホッパー)と暗殺計画に巻き込まれる額縁職人のヨナタン(ブルーノ・ガンツ)。トムがヨナタンにヌード写真のパラパラカメラを贈り鼻で笑い合ったり、ヨナタンが事件現場から逃げ去るトムをわざと車に乗せずにいたずらっぽく笑ったり、童心に帰っていたところも印象的でした。
その車の中でヨナタンは亡くなります。最後に男の子同士のような関係性の(殺人を共有しているのですが…)友情を結び、短い時間で作った思い出を冥土の土産に旅立っていった(胸熱です)。ヴェンダースはそのロマンを描きたかったのかなと解釈しました。
PERFECT DAYSでも近しい場面がありました。役所広司さん演じる主人公の平山が密かに心を寄せる小料理屋のママ(石川さゆりさん)の元夫(三浦友和さん)と川沿いで影踏みをしてはしゃぐシーン。元夫の男性もヨナタン同様に病で死期が迫っていた。そこに現れた平山さんとわずかな時間だけど思い出となる経験をする。この映画は平山さんの人生観がメインテーマと理解されていて、もちろんそうなのですが、わたしはアメリカの友人に通じるあの場面にもウェイトが置かれていたような気がしています。
人生の最後に純真になれる友だちができる。
孤独を愛する男がその友だちになる。
凄くエモいです。
同じことを感じた方がいらっしゃったら嬉しいです。最期に親友ができるってどんな感じなんでしょう。ただただ羨ましいです。
トップ画像・出典:https://wimwendersstiftung.de/film/der-amerikanische-freund/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(o^∇^)ノ
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