【映画感想】報道カメラマンの執念を感じた「シビル・ウォー アメリカ最後の日」
政治不信から分離独立を表明した州の連合勢力と政府軍との間で勃発した内戦を報道カメラマンの目線で追ったロードムービー。
経済格差やイデオロギーの違いにより分断するアメリカの「起こり得る未来」を描いた作品で、正義感からの暴走だけではなく排他主義や無関与などの場面も盛り込むことで、現実の今の状況がエスカレートするとこうなっちゃうかもしれないということをリアルに示していました。
ただ、わたしはそうしたアメリカ社会の行方の可能性よりも報道カメラマンの卵である23歳の女性ジェシーの成長過程にこの映画の焦点が当てられているように感じてしまいました。
若くしてマグナム会員になるほどの腕利きでスター的存在の主人公リー(キルスティン・ダンスト)に憧れ、無謀にも現場に突入しカメラを構え暴動に巻き込まれるジェシー。リーの一行は彼女の熱意に押され、連合勢力のターゲットである大統領のいるワシントンDCへの旅に同行させることにします。
その道中で壮絶な場面に遭遇する。恐怖でフリーズしてしまいカメラを向けることが頭から抜け落ちてしまった自分に腹を立てるジェシーは、その後さらに身の危険にさらされ恐怖を味わうのですが、その過程を経て報道カメラマンとしての執着心と度胸を身に付けていきます。
一方リーは、これまで数々の戦場で悲惨な状況を果敢に写真に収めてきたのにも関わらず、それが自国で起き仲間にも及んでいることを目の当たりにし、足がすくみがちになる。リーの報道カメラマン魂が、時間と共にジェシーに移植され引き継がれていったように見えました。
リーの相棒であるライターの男性ジョエルは、遠くに戦火を見て性的興奮を覚えていました。ジェシーも最後の方では決定的シーンをshootするのに無我夢中になります。死と隣り合わせにある仕事に情熱や使命感を感じられる人たちは、平穏な暮らしに安住する我々とは全く違う感覚なのだな、そのくらいじゃないとできないのだなと改めて思いました(凄い仕事です)。
多くの方が注目されている "What kind of American are you?" と銃を持った迷彩服の男にリーたちが問い詰められるシーン。怖かったですねー。あの男はなぜフレームまで赤いサングラスを掛けていたのか謎です(トランプさんの赤いネクタイと同じでしょうか)。
後からあの男を演じていたのがジェシー・プレモンスだと知ってちょっと嬉しくなりました。ヨルゴス・ランティモス監督の「憐れみの3章」での狂気とはまた違った方向性での怖さがあるヤバい人の演技、堪能させていただきました~
公式サイトでの各業界の方々のコメントを読むと、やはりアメリカの起こり得る悪い未来について語られているので、わたしの感想はもしかしたら的外れなのかもしれません。そういう見方もできるねと思ってくださる方がいたらとても嬉しいです。
トップ画像・出典:https://happinet-phantom.com/a24/civilwar/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。(o^∇^)ノ
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