窓からぶん投げそうになった本「イニシエーションラブ」 |#読書の秋2022
#読書の秋2022 に参加させていただきます。
乾くるみさんの小説 #イニシエーションラブ を読んだ感想です。
今はもう味わうことのできないであろう甘酸っぱすぎる恋愛模様を感じながら、次第にストーリーは不穏な展開へ。苛つきと違和感に意識が引っかかり始め、最後の最後で脳が爆発しました。
※以降ネタバレ含みます。
あの純情な感情を返してくれ──
えー、順に書かせていただくと…この小説はA面とB面に分かれています。まずはA面。本の前半部分。
若い男女による、ひと夏の淡い恋。飲み会から始まりテニスをして海に行き、みんなに内緒で連絡先を交換し合う。その後隠れて2人で食事をするようになり、お互いにちょっとした嫉妬でヤキモキしちゃったり…
そして電話で気持ちを告白。
「今すぐ会いたい」「…来て。部屋に来て。」
この2人のやりとり。会社のトイレで読んでいた俺は体調を崩しました。早退しかけました。本当に。甘酸っぱすぎて。
たっくんとマユちゃん。この2人が幸せになれないなら、この世に愛なんていらない。人は気持ちなんて持たなくていい。全員アンドロイドとなって死ぬまで働け。そこまで考えたほどです。
そして小説は後半へ。B面にと続きます。
前半の甘酸っぱさが嘘だったかのように。俺の感情は憤りへと変わっていきます。
酒を飲んで暴れだし、ごちゃごちゃ言いながらもしっかり浮気してしまうしょうもなさ。相手が彼女持ちだと知ってても色目使ってくる女。何より最悪なのは、酔って女性に手を上げたって…
たっくん、東京の何がお前を変えた…?
読んでいて俺は悔しかった。悲しかった。かわいそうな、マユちゃん。。大丈夫、心配いらないよ。あんな男忘れて幸せになれええええぇぇぇえええぇぇ!!??
まさかのA面とB面は別の男で、しかも同時進行。マユちゃんもしっかり二股していた、というオチでした。
窓から本をぶん投げそうになりました。
確かに読んでいて違和感はありましたよ。マユちゃんが夕樹(ゆうき)の呼び方を決めるとき、『夕方の夕って、カタカナのタと同じに見えるからたっくんってどう?』って。
正気ですか?もう感性が芸術家のそれですから。歯科衛生士をやめて芸術関連に転職しろ。そこで成功しろ。
…なんて感想として色々言ってしまいましたが、素晴らしすぎるどんでん返しでした。この小説、大好きです。
私もイニシエーションラブを経験してきた人間の1人。本当の愛を見つけるには誰もが通る「甘くも切ない回り道」なのかもしれませんね…
ということで #読書の秋2022 テーマ「 #あなたが窓からぶん投げそうなになった本 」の紹介でした。