The Power of Names
少し前に、よく目を通す"Axios"というアメリカのニュースサイトに面白い記事がありました。ワシントンDCの政治のプロたちが一目置いてる、本当に簡潔でスッキリの記事。「スマート・シンプル」という書式で、いかにも今の時代の新聞って感じなんですよ。
は?「ブロッコリー」が「007のボンド」の全てをコントロールしてる?
一瞬目を引く記事です。全体の中央部分にこの段落が位置しているので先に目に入ったのですが全く意味不明。でもそのBroccoliはTheとfamilyに挟まれています。「ブロッコリー」家のことか。そんな名前あるの?
しっかり読むと『ブロッコリー一族が、アイデアから脚本から誰を007役にするかまで、ジェームズ・ボンドに関わる全てのことを第1作目から牛耳っている』と書かれています。
その上にある冒頭の部分を読むと、きちんとBarbara Broccoliとあります。
バーバラ・ブロッコリーさんという女性のようです。やはり野菜ではなく、人の名前でした。笑
どうやらバーバラ・ブロッコリーさんという方が映画007シリーズのジェームズ・ボンドのキャラクターの著作権を持っているようです。そんな人がいるんですね。そしてAmazonがボンドシリーズの映画の配布権を持っていて、ストーリーの方向性について両者の間でかなりもめていると。なんとややこしい関係、聞くだけで面倒くさそうな話しです。
しかし世の中にはそんな名前があるんですねぇ。皆さんも今までいろんな苗字の人に出会ってこられたと思います。クラスが変わる度に「そんな苗字の人いるんだ」ってありましたよね。中には漢字すら読めない名前も。
僕が英語の名前で今までで一番強く印象に残っているのは"Holmes"です。
イギリスの学生時代に図書館にいたイギリス人のLibrarian(司書)の苗字。そう、あの名探偵シャーロック・ホームズのHolmesです。本当にそんな人いるんだとちょっと感動しました。さすがイギリスと。
もしかしてこの国では普通の名前なのかなと思いませんか?聞いてみるとイギリスでも珍しいお名前なんだそうです。へー。そう聞くと余計にカッコイイと思えてきますよね。自分もあんな苗字だったらなぁなんて子供の頃よく考えませんでしたか?え、あの名探偵の?なんて言われてみたいですよね。きっと世界中どこ行っても言われるんですよ?いいなぁ。
イギリスやシャーロック・ホームズのことが好きな方ならご存知かもしれませんが、ロンドンの地下鉄に"Baker Street"という有名な駅があるんです。物語に出てくるのと同じ駅名。
ここを通過してPiccadilly Circus駅というロンドンの中心地に行くんですが、この駅で一時停車している時に車内の窓からホームの壁タイルの絵を見るのが好きでした。
写真からわかるように壁一面にパイプをくわえたホームズの絵。遊び感覚があって面白いでしょ。世界中にいるファンにはたまらないと思います。この駅の近くにはシャーロック・ホームズ博物館もあります。
このHolmesさんというLibrarian(司書)、皆さんの想像ではどんな人ですか?興味が湧いてきませんか?名前ってどうしてもイメージがついて回りますよね。その人は眼鏡をかけた物静かな男性でした。あまり笑った顔は記憶にありませんが、とてもソフトに話す方だった印象は確かに残っています。
名前って不思議ですよね。何か魅力を感じるとその人の名前を知りたくなってきます。「礼なんていらないぜ」と去っていくヒーローに「せめてお名前だけでもぉ~」と声をかけるような気持ち、わかります。
こんな話しを聞いたことがあります。いくらお気に入りの家畜がいても名前をつけない方がいいと。例えば愛嬌のあるブタがいたとしてもいつかはお別れの時がやってきます。名前をつけてしまうとその時がとてもつらくなるからと。そうですよね。不思議なことに名前をつけた瞬間に親近感が湧いてきます。命を吹き込むというか。夏目漱石の「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」なんていう一文を読むと、名前のない状態が少しかわいそうに思えてきますもんね。本当に不思議です。
当たり前すぎて何も考えることなく使ってきていますが、名前をもつというのは特別なことなのかなとも思えてきます。自己紹介も名前を言わないと始まりません。名前がないと関係が始まらないんです。興味ない近所の人なんて名前すら知りませんもんね。親近感どころの話しではありません。
興味が湧くと名前が知りたくなり、名前を聞くと興味が湧いてくる。
ブロッコリーと聞いて名前の不思議さに思いを馳せました。
これはシンデレラの映画にでてくるセリフです。
Until next time.
寺ピー
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この記事は2025年1月2日に#theLetterから配信されたニュースレター
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