医師とのコミュニケーションが上手になる!電話健康相談エッセイ3選
病院に行くと、上手に症状を伝えられない・聞きたいことを言えないまま帰ってきてしまった…そんな経験ありませんか?
2022年に募集した「私の電話健康相談エッセイ」から、医師とのコミュニケーションに悩んでいる、患者力を上げたい!と思っている方に読んでほしいエッセイを3作品ご紹介します。
電話越しのお医者さん
(saya 京都府 27歳 女性)
「 電話のお医者さんに聞いてみさいや。」
祖母が余りにも真面目な顔で私に言うので、ついつい笑ってしまった。
電話のお医者さんとは、電話健康相談のことだ。
対応してくださるのは看護師さんや保健師さんといった医療関係者の方がメインであるが、3年前、初めて電話健康相談について祖父母に説明した時、彼らは「ほんなら、電話でお医者さんに繋がるんやね。」と納得していたので、家ではそう呼ぶことになった。
私の祖父母は人口3000人程度、大きな川と可愛らしい山々に囲まれた町に暮らしている。
自然豊かで作物をご近所さんと分け合ったり、温かい人々が沢山いるが、高齢化が進み、シャッターが下ろされたお店も多く、車必須の田舎である。盆と正月には必ず帰省するが、祖父母は年々体の不調が増えていると嘆いていた。
特に、事故や加齢による関節の痛みが酷いらしい。月に一回は持病の薬をもらいに行くらしいので、気になることがあるなら、その時にお医者さんに相談しないといけないよ、と毎回言うのだが、ついつい忘れてしまったり、このくらいならと言い出しにくい気持ちがあるらしい。
とはいえ、最寄りの病院までは車で30分もかかり、二人の体力も考えると、いつもの通院以外では気軽に通える距離ではない。私も片道5時間以上かかる場所に居り、何かあっても直ぐには駆けつけられないため、二人の健康はいつも気がかりだった。
「それなら電話健康相談を教えてあげれば?」
ある日会社の先輩と世間話をしていたら、偶然にも祖父母の話になり、電話健康相談の存在を知った。
無料でいつでも電話相談できるなんて、田舎の祖父母にピッタリではないかと思った。早速その話を祖父母にしたところ、冒頭の「電話のお医者さん」の話に戻るのであった。
初めての利用時は祖父母の横について様子を見守った。祖父は膝の痛みを、祖母は高血圧について相談しており、電話の向こうの女性は優しく丁寧にアドバイスしてくださっているのを聞いた。二人は大変満足したようで、今では気になることがあればちょくちょく電話をかけているそうだ。
医療に詳しい方と話すことで、自分の症状を客観視できるようになったらしく、普段の通院でも担当の先生にきちんと日常の困りごとや疑問を話せるようになったと喜んでいた。病院に行く前のワンクッションとして、電話健康相談をフル活用しているとのことだった。
「電話のお医者さんに聞いてみた?」祖父母によく投げかける言葉がまさか自分に返ってくるとは。すっかり電話健康相談が生活に馴染んでいるのだなと安心する気持ちになるのであった。
これからも、祖父母の健康をよろしくお願いします。
主治医と私の橋渡し
(団くり子 神奈川県 55歳 女性)
行きつけの病院の先生は少し強面で、私はいつも緊張する。そのため、診察後の説明では聞きたいことの半分も言えずに帰ってくることが多かった。気持ちのうえでは消化不良の状態。それを解消してくれたのが電話健康相談だ。
顏ナシで声だけで会話することで変に気を使うことなく、相談のハードルがぐっと下がる。
診断結果とともに聞きそびれたことを話すとテキパキと答えてくれる。それが自分にとってのセカンドオピニオンになることもあり、いまの私にはなくてはならない存在になっている。
先日、病院に行く支度をしながら鼻歌を口ずさんでいる自分に気づき、電話健康診断を利用するようになって、病院に行くことへのハードルが下がっていることを実感した。
以前は病院までの足取りが重かった。先生が怖いからというほかに、言いたいことを満足に言えなくなってしまう自分の弱さに対する嫌悪感もあったのだ。
「先生に聞けなかったら、電話で聞けばいい」 そう思えることで気持ちが暗くなることがなくなった。
気楽に先生と向き合えるようになった分、以前より先生と話せるようになった。そして、会話をしていくなかで、先生の不器用な優しさを垣間見るようになり、いまでは信頼感を持って先生に接することができている。
電話健康相談は私の弱気を退治し、主治医との間を繋いでくれている。
気づくこと話すこと決めること
(マサトミ 兵庫県 62歳 女性)
私の父は今年、九十六歳の誕生日を待たずに病気で逝きました。突然の脳内出血でしたが、それまでにも慢性白血病を患っておりました。
その経緯を思い出し、この度「わたしの電話健康相談」を目にして大きく頷いた次第です。
父は内科医の先生から勧められた治療薬が一か月経て副作用を起こし、異なる治療薬へ替わり、それも副作用で三度目の薬を亡くなる直前まで服用し続けていましたが、以前ほどでないにしろ不調は見られたものの、他に手立てがなかったのでした。
長年の高血圧や糖尿病を患っていた父にとっては、身体の負担が大きく、かといって白血病の薬を休止するわけにもいかない。
医療や薬は絶対に欠かせない状態で、一般病院ほどには個々へ長い時間は費やせない大型総合病院でもあり、また最善を考えて診て下さっているという気遣いから、医師や薬剤師への度々の相談は臆してしまいます。信頼して任せる中、年月が過ぎていったのですが、父と家族はやはり葛藤があり、顕著な副反応には不安が付きまとっていました。
わたしの電話健康相談のようなサービスがあるのは初めて知りました。お伺いすることで、内容によっては直接の解決へは至らずとも、医療の情報や安心などが得られる存在は有難いものです。
決断するのは患者や家族ですが、こうして気づき話すことで、誤りのない選択へ至ることが大切だと感じています。