アセアンの人達の働き方 #2 「お金への意識」
※本投稿は株式会社デンソーデザイン部の自主研究活動であり、
弊社の開発案件や事業をご紹介するものではありません
こんにちは、デンソーデザイン部の宮地です。
「働くモチベーションと幸せ」をテーマにインドネシアのジャカルタに焦点を当て投稿しています。先回は、テーマ動機を記載しました。
今回はジャカルタの人達の「お金と仕事の捉え方」を述べていきます。
ジャカルタの平均世帯月収は低く、4~6万円ほどで、大学卒の平均月収を日本と比べますとおおよそ1/5~1/3となります。
一方で超富裕層と呼ばれる550億円以上の資産を持つ人たちもいます。
こうした貧富の差は、高層ビルが乱立するオフィス街からすぐのところに平屋のバラックのようなエリアがあったり、高級ショッピングモールの数百m先に伝統市場と呼ばれる屋外または半屋外で冷蔵装置も不十分な市場があったりして、観光者でも感じることが出来ます。
高層ビルが乱立する市街地エリアから車ですぐの場所にバラックが立ち並ぶ
冷房が効いていて、保冷設備も近代的なスーパーマーケットと冷房もなく
保冷設備も不十分な伝統マーケット(パサール)の両方が市内に共存する
一方で「月収が低いわりに、貯蓄志向」「余裕のある人が食事など奢る」
など、ジャカルタのユニークで特徴的なお金と仕事に対する考え方で、日本人があまり知らないものもあります。
【貯蓄志向】
インドネシアでは、外食費は屋台なら夜ご飯でも一人100円以下だったり、タクシー初乗り60円と日本に比べれば圧倒的に物価は安いです。
一方で、バイク世帯保有率85%、携帯電話保有率120%など、中国製など安価なものが多いとはいえ耐久消費財への支出はそれなりに必要です。
物価が安くても、そこそこ支出はあり、収入があまり多くない状態なので、生活に金銭的余裕があるとは思えません。
それにもかかわらず、2019年アンケートでは収入の半分以上貯蓄している人が50%、1/4以上貯蓄している人では75%になります。貯蓄大好きな日本人からしても驚きの割合と思います。
この理由は、失業時や病気・ケガの保険・保証が確立されていないこと、政治的安定性や一時期激しいインフレがあったりと、社会や政府に頼らず、自分の身は家族・同族で守る意識が強いからとインタビュー回答から得られています。
【相手に寄付・奢ること】
ムスリムの教えの一つである喜捨は、持つものは持たざる者へほどこしをすることです。元々は戦争未亡人などの互助会的な役割だったようなのですが、この考え方が習慣化して、持っている人が持っていない人に食事を奢ることが一般化しています。
お金を持っている人が持ってない人に奢ることは普通のことで、大金持ちが誕生会をやっているレストランで、偶然同じタイミングで食事していただけの見知らぬお客さんも一緒に奢って頂けることがあると、聞いたことがあります。
誕生日の支払う仕組みは日本と逆で、誕生日の人=祝われる人=幸せな人が、招待者に幸せを与えるという意味で全員分奢るそうです。
食事や飲み会では、誘った側が全額支払うことが、一般的だそうです。
ジャカルタの人にとっては、これがすごく当たり前のことなので、奢ってもらったお礼を言わなかったり、そっけない感謝の人もいます。こうした習慣を知らない日本人の中には、こうした対応に不快な思いをしたりトラブルになることもあるので、注意するように言われました。
街中の普段の行動や様子からはわからなかったのですが、ジャカルタの人達は、高い貯蓄志向からお金に対する意識は節度良くしっかりしていることが見えてきます。
一方で、単にがめつくお金を保有するだけでなく、お金を持っている人から持っていない人へ、水が高い所から低い所へ落ちるような、ものすごく違和感のない自然な習慣が出来ているようです。
また、相互に奢ったり・奢られたり、見知らぬ人にも奢ったりするようなお金に寛容な一面もあることが見えてきます。
こうしたお金に対する意識から、仕事はお金を稼ぐために重要だけど、それだけではない日本人同様の感覚がありそうですが、日本ほど複雑な感情・環境・事情が混ざっていないシンプルで自然な動機のように見えてきます。
「高い起業意識、ユニコーン企業が多い」「副業・起業への投資」の視点から、次回はお伝えします。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。