「しゃべらないパーティー」の作り方
株式会社方角の代表の方山です。10月より弊社はプチ拡大移転をし、先日クローズドの移転パーティーを行ないました。
今回は初めて自分がパーティーを主催するので、せっかくならうちの会社ならではの移転パーティーにしたいと思い、こんなコンセプトを掲げました。
「しゃべらない」
従来のパーティーは、しゃべってたまにご飯食べてしゃべって飲んで・・・って感じが普通ですよね。
弊社はエキマトペやYY Probeといった、耳の聞こえない・聞こえづらい方々向けのサービスのデザインをすることが多く、社内にいるろう者のデザイナーや、その他たくさんの聞こえない・聞こえづらい方に支えられている会社です。
手話、筆談、slack、読み上げアプリ等・・・。口でしゃべることだけがコミュニケーションではない、ということを日頃から私たちはよく知っています。
「しゃべらないパーティー」を通じ、パーティーの新たな可能性を見つけた時の話をします。
※感染症対策を行なった上で開催しました。
日時
10月某日 17時〜21時 途中出入りOK
参加者
・聞こえない人:7人(ろう者の比重が多め。皆普段は手話を使用)
・聞こえる人:10人程度(手話で簡単なコミュニケーションが取れる人が3人)
開催までに準備したこと
簡単なWEBページを作成
こんな注意書きWEBを作って、聞こえる人も聞こえない人にもパーティーの趣旨をわかってもらうよう努めました。
耳栓のパッキング
聞こえる人には耳栓をしてもらったほうがテキストコミュニケーションや手話が捗るかなと思い、1つずつパッキングしました。
筆談器具の準備
当日は筆談が捗るよう、1人1冊小さなノートをプレゼントしました。またどこでもパッと筆談できるよう、ホワイトボードも100均で5枚ほど購入してその辺にナチュラルに置いておきました。
開催中に起こったこと
聞こえる人4人、聞こえない人2人という状況が最初でした。聞こえない人たちは手話で会話し始めました。私ともう1人の聞こえるスタッフは当初耳栓をしていたのですが、音が聞こえない環境に慣れていなさすぎて何をしていいかわからずアタフタしてしまいました。結局耳栓は外しました・・・・。
いざ外しても静かで何をしたらいいかわからなくなってしまったので、咄嗟にいつも作業している時にかけているyoutubeのLofi hip hop radioをかけて、邪魔にならない程度に音が常に入ってくるようにしました。
とまあこんな感じでぎこちなく始まりましたが、来た人を次々と空いている席に移動すると、聞こえる人の片側は聞こえない人、という神の席次が偶発する仕組みになり、だんだんと盛り上がりを見せてきました。
こんな人たちが散見された
手話を教えてもらいながら手話混じりで会話する聞こえる人&聞こえない人
ひたすら黙々とノートにみっちり字を書いて映画の話をする聞こえない人&聞こえる人
遠くの席の人と手話でおしゃべりする聞こえない人たち
音声認識アプリと筆談のハイブリッドでコミュニケーションする聞こえない人&聞こえる人
などなど・・・・。
よかったところ
聞こえる人と聞こえない人の割合が絶妙だった
聞こえる人の方が聞こえない人よりちょっとだけ多かったのですが、全員が1度に集まったわけではないので、聞こえない人の方が多い時間帯もありました。わざわざ耳栓つけなくても自然と筆談やテキストコミュニケーションを始める状態になっていました。
lofi hip hop radioが意外と機能した
耳が寂しすぎて慌ててかけたlofi hip hopでしたが、聞こえる人の「あーこの曲知ってるー」的な会話が出なかったのはケガの功名でした。聞こえる人だけで盛り上がっちゃってつまんないですからね。もし実践する場合はBGMは特定の曲ではないものをかけた方がいいかもしれません。
ノートが武器となった
参加者にノートをプレゼントすることによって、自分のノートを好きなように使って筆談する参加者がほとんどでした。配った瞬間「こんな武器を頂けるのですね・・・・」とつぶやいた聞こえる人もいたので、筆談に慣れていない聞こえる人にとっては、ある意味安心材料になりうるのかなと思いました。
改善したいところ
耳栓は必要ない
前述の通り、耳栓は私たち聞こえる人にとっては静かすぎて逆に何もできなくなるのでなくていいと思います。強引に聞こえない環境を作り出すのではなく、自然と筆談したくなる空間を引き出すことが大事なんだなと気づきました。
ご飯について
今回はおもてなしを考えすぎてお惣菜ケータリングを頼んでしまったのですが、筆談しながらのご飯なので片手でつまめるような軽いものの方がよかったかなと思いました。
ペンの種類について
ほぼ全員に黒のボールペンを配ってしまったのですが、せっかくなら1人1人違う色のペンを配って楽しくしてもよかったかもしれません。
まとめ
盛り上がっている間も常にlofi hip hopが聞こえるぐらいの適度な静寂なので、いつものパーティーのように声を張り上げて話さなくてもいいし、もぐもぐ食べながら話さなくていいし、話すことなくなった時に発生する独特の気まずい間みたいなのもないです。
そんな感じで盛り上がりすぎて結局予定の21時を大幅にすぎた22時半ごろのお開きになりました。
いやー、本っっっっ当に楽しかったなー。忘年会も同じスタイルで開催したいです。社員の皆さんよろしくお願いしまーす。
コロナ対策にもなりますし、皆さんもぜひ、今年の忘年会やクリスマスパーティーは、しゃべらないパーティーにしてみてはいかがですか?