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手作りのクリスマス会

 もう半世紀前の大昔の話です。小学4年生の12月、終業式の時にクリスマス会をしようと、学級会で決まりました。その時の担任の先生は、白髪頭のサンタクロースのようなおじいちゃん先生でした。その先生は、生徒たちの発案にニコニコしながら頷いていて、特に反対はされませんでした。その当時のクリスマスは一般的になりつつある年中行事でしたが、今ほど華やかではありませんでした。クリスマスツリーの存在は知っていますが、田舎だったので、家で飾っている家庭はそれほど多くなかったと思います。

 学級会の中では、班ごとの出し物などが決められていきました。最後に、クリスマスツリーをどうしよう?、と話し合いが続けられました。近くに手頃なモミの木はありませんし、人工(市販)のツリーを買うお金もありません。最終的な結論は「を切って来て、クリスマスツリーもどきを飾ろう」となりました。

 家の近くに竹藪がある子が手を挙げて、その子がクリスマス会の2-3日前に笹を持ってくることが決まりました。飾りつけのための手作りオーナメントは、図工の時間にみんなで作りました。終業式の前日には、飾りつけを終え、七夕飾りみたいな奇妙なクリスマスツリーが完成しました。

 終業式が終わって、通知表が配られたあとは、いつもはすぐに帰宅します。しかし、その時はこれからがクリスマス会の本番でした。それまでに秘かに練習してきた班毎の出し物が披露され、クリスマス会は盛況のうちに幕を閉じました。

 それまで、ニコニコとクリスマス会を見守っていた先生が、「みなさんにプレゼントがあります」といって、どこかに隠していたプレゼントを持ってきました。それは、小さなお菓子が詰まったクリスマスブーツでした。下の写真のように立派なものではありませんが、今まで一度も買ってもらったことのない”はじめてのクリスマスブーツ”でした。

 いまでも、このサプライズプレゼントのことは、よく覚えています。その時の先生は、一瞬、サンタクロースに見えました。もちろん学校から予算が出るわけではないので、全額、先生の自腹(ポケットマネー)です。高価なものではなかったと思いますが、クラス全員の40人分です。結構な出費だったろうなと、今では想像ができますが、その時はただただ嬉しいだけでした。先生、ありがとうございました。死ぬまで忘れません。

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